KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/17)に、文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第15回として、(日本の夏の「土用の丑の日」のような)夏の最も暑い時期を意味する「三伏(삼복)」について紹介された。
まず、三伏の起源について次のように始まった。
・一番日の長い夏至を過ぎると、本格的な夏が来る。韓国では、特に陰暦の6~7月頃の最も暑い時期を「三伏」といい、「初伏」、「中伏」、「末伏」の三つの日を合わせた言葉だ。また「伏」の字には、人も犬のように地面に這いつくばるの意がある。
陰陽五行で、「夏の火」に対し「秋の鉄」が三度屈服する説もあり、ことわざに、「三伏の期間には唇についたご飯粒も重い」がある。三伏の日は、仕事を休み、山川で涼み、精のつく料理を食べて一日を過ごす。
▼パンソリ「水宮歌(수궁가)」の中から、宴会での「鳥やけものたちの上座争い(날짐승 상좌다툼하는데)」の題目を聴く。パンソリ「兎鼈歌」・・・知恵あるウサギの肝か?
次に、三伏の食習慣(ケジャンクク)について次のように説明された。
・三伏の日に、屋外で食事をすることを、「ポクタリム(복달임)」、または「ポンノリ(복놀이)」といい、スイカやマクワウリの果物、小豆粥を炊いたもの、参鶏湯やケジャンクク(개장국、犬肉の煮込み)を食べた。
朝鮮時代後期の風俗を綴った、1840年前後の「東国歳時記」(洪錫謨著、東洋文庫版より)の旧暦6月の「三伏」の項の「狗醤」に、「狗(イヌ)肉を煮てそれに葱(ネギ)を和し、再びよく煮る。名づけて狗醤(クチャング)という。これに鶏肉や竹筍(タケノコ)をいれれば、更に味がよくなる。狗醤に胡椒をふりかけ、白飯を入れたのを時食として食べる。このようにして発汗すれば、暑気を退け、虚弱を補強するのに効き目がある。だから市中でも、これが多く売られる。」と記している。
(本ブログ関連:"東国歳時記")
・陰陽五行では、犬は東西南北の「西の動物」で、「鉄の気運」を持っており、「夏の火」の気運によって、体中の鉄の気運が溶け出すところ、犬を食べることで、「鉄の気運」を補うと説明する。
▼西道地方の民謡で、「狗打令(개타령)」を聴く。やっぱりイヌの鳴き声、夜も過ぎて朝にもなれば鶏のコケコッコー、何があったのやら・・・。
最後に三伏の日の行事について次のように解説された。
・昔は、休暇や旅行をすることはなく、谷や川辺で冷たい水につかったり、髪を洗ったりすることを行事のひとつと考えられた。ソウルでは、三清洞の井戸の水を飲んだり、川で行水をしたりしたという。この日に、薬水といわれる泉の水で髪を洗うと、病気が去り、できものも良くなると信じられた。そのため、この風習を「水に当たる」ともいう。
人に酷な夏の暑さも、田の稲には、初伏、中伏、末伏の度に一歳年を取るといわれ、ありがたがられた。農夫は、三伏の日に、お餅やチヂミを持って田に行き、豊作を祈願した。また農家では三伏の日の雨を「農事雨」と言い、豊作をもたらすとして歓迎した。暑い日の、かすかに吹く風、暑さを追い払うかのようなにわか雨(소나기)に、ありがたく感じる。
▼「風の花園(바람의 화원)」を聴く。・・・題名の通り今様である。
岸さんのことば、「微かな風、僅かな雨といった、小さな自然の恵みにも感謝の心を持つことが、実は夏を楽しむ方法のひとつかも知れませんね」。
2013年7月24日水曜日
2015年7月16日木曜日
KBS WORLD「国楽の世界へ」 三伏
KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/8)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、夏の最も暑い時期、旧暦6月から7月の間に入る雑節「三伏(삼복)」に関わる3曲を紹介した。
始めに、雑節「三伏」の字義と、それに関連する諺(ことわざ)について次のように紹介された。
・「三伏」は、夜が最も短い「夏至」から、2~3週間経つと初伏。その十日後が中伏、秋が始まる立秋が過ぎると末伏の三伏を指す。三伏の「伏」は、伏せるの意で人が犬のように伏せる姿に見える。また、あまりに暑いので秋の気運が伏している意もある。三伏の暑さに牛の角も曲がるとか、唇についた飯粒も重く感じるといった諺もある。今年の初伏は7月13日だ。
▼ 笛テグムとソグム、ピアノなど演奏の「太陽を呑み込む(태양을 삼키다)」を聴く。ケーナの乾いた雰囲気する今様だ。
次に、三伏の時期、魚獲りを題材にした歌「フィモリ雑歌 六七月(휘모리잡가 육칠월)」について次のように紹介された。
・三伏の暑さは、農作物にとって最適で、稲は三伏に歳を取るという。暑いから不満と思うわけにはいかない。暑さを乗り切るため、昔は渓谷に足をひたしたり、海辺の砂で体を温めたりした。熱を熱でもって治める方法だ。鶏肉を蒸した参鶏湯(삼계탕)やスイカを食べたり、川辺で魚を獲り直ぐに食べたりした。晴れた日より曇りの日に魚がよく獲れる。「フィモリ雑歌 六七月」には、両班にもかかわらず職も無く遊び暮らす、閑良(한량)身分の男が登場する。ある曇った夏の日、閑良は魚を獲り、通りがかった男の子に、魚を家まで運び、調理しておくよう伝えて欲しいと頼む。男の子は口をとがらせ、自分も雇われ人で、できるか分からないと答える。そんなやり取りをユーモアに歌う。
(参考:”キム・ウンハPDの音楽喫茶”に感謝)
▼ 歌「フィモリ雑歌 六七月」を聴く。語りに節を付けたようで素朴な感じする。パンソリよりは少しだけ具体的。
最後に、ソンビの体面と、あるときそれを越える話題について次のように紹介された。
・身分制社会では、暑さをしのぐ方法も身分によって違った。体面を保つことを自分の命より重視したソンビは、どんなに暑くても服を脱ぐことはなかった。ただ、扇子をあおぎ、読書したり詩作した。音楽の演奏や鑑賞もそのひとつだった。
・成大中(성대중、1732年~1809年)に、洪大容(홍대용)の別荘<留春塢(유춘오)>で開かれた音楽会の記録「記留春塢樂會」がある。洪大容はカヤグムを、洪景性(홍경성)はコムンゴを、李漢鎭(이한진)はテュンソを取り出すことから始まる。弦楽器ヤングムや、鳳凰を象徴する管楽器センファンも登場する。歌を歌う者の姿、また上座に座った年長者の様子もある。馳走と酒、多様な楽器の演奏、雰囲気も真っ盛りになる。すると、年長の金用譲(김용겸)が急にお辞儀をした。素晴らしい音楽を聴かせてもらい、年長の自分が辞儀をするのは当然なことではないかといった。
▼ ソンビが風流を楽しむ曲「短い霊山会上(짧은 영산회상)」を聴く。悠然とすれば自ずと時と風は通り過ぎる感じ。・・・<この曲は元々仏教音楽に由来する>とのこと。
(参考: ”トゥルムェ文学(들뫼 문확)”に感謝)
始めに、雑節「三伏」の字義と、それに関連する諺(ことわざ)について次のように紹介された。
・「三伏」は、夜が最も短い「夏至」から、2~3週間経つと初伏。その十日後が中伏、秋が始まる立秋が過ぎると末伏の三伏を指す。三伏の「伏」は、伏せるの意で人が犬のように伏せる姿に見える。また、あまりに暑いので秋の気運が伏している意もある。三伏の暑さに牛の角も曲がるとか、唇についた飯粒も重く感じるといった諺もある。今年の初伏は7月13日だ。
▼ 笛テグムとソグム、ピアノなど演奏の「太陽を呑み込む(태양을 삼키다)」を聴く。ケーナの乾いた雰囲気する今様だ。
次に、三伏の時期、魚獲りを題材にした歌「フィモリ雑歌 六七月(휘모리잡가 육칠월)」について次のように紹介された。
・三伏の暑さは、農作物にとって最適で、稲は三伏に歳を取るという。暑いから不満と思うわけにはいかない。暑さを乗り切るため、昔は渓谷に足をひたしたり、海辺の砂で体を温めたりした。熱を熱でもって治める方法だ。鶏肉を蒸した参鶏湯(삼계탕)やスイカを食べたり、川辺で魚を獲り直ぐに食べたりした。晴れた日より曇りの日に魚がよく獲れる。「フィモリ雑歌 六七月」には、両班にもかかわらず職も無く遊び暮らす、閑良(한량)身分の男が登場する。ある曇った夏の日、閑良は魚を獲り、通りがかった男の子に、魚を家まで運び、調理しておくよう伝えて欲しいと頼む。男の子は口をとがらせ、自分も雇われ人で、できるか分からないと答える。そんなやり取りをユーモアに歌う。
(参考:”キム・ウンハPDの音楽喫茶”に感謝)
▼ 歌「フィモリ雑歌 六七月」を聴く。語りに節を付けたようで素朴な感じする。パンソリよりは少しだけ具体的。
最後に、ソンビの体面と、あるときそれを越える話題について次のように紹介された。
・身分制社会では、暑さをしのぐ方法も身分によって違った。体面を保つことを自分の命より重視したソンビは、どんなに暑くても服を脱ぐことはなかった。ただ、扇子をあおぎ、読書したり詩作した。音楽の演奏や鑑賞もそのひとつだった。
・成大中(성대중、1732年~1809年)に、洪大容(홍대용)の別荘<留春塢(유춘오)>で開かれた音楽会の記録「記留春塢樂會」がある。洪大容はカヤグムを、洪景性(홍경성)はコムンゴを、李漢鎭(이한진)はテュンソを取り出すことから始まる。弦楽器ヤングムや、鳳凰を象徴する管楽器センファンも登場する。歌を歌う者の姿、また上座に座った年長者の様子もある。馳走と酒、多様な楽器の演奏、雰囲気も真っ盛りになる。すると、年長の金用譲(김용겸)が急にお辞儀をした。素晴らしい音楽を聴かせてもらい、年長の自分が辞儀をするのは当然なことではないかといった。
▼ ソンビが風流を楽しむ曲「短い霊山会上(짧은 영산회상)」を聴く。悠然とすれば自ずと時と風は通り過ぎる感じ。・・・<この曲は元々仏教音楽に由来する>とのこと。
(参考: ”トゥルムェ文学(들뫼 문확)”に感謝)
2019年7月12日金曜日
初伏、草市
今日は、「夏至」(6/22)から3週間経って訪れる「初伏(しょふく)」で、酷暑に農事を一休みするといった時期のようだ。また、旧暦の今日は7月12日にあたり、盆の行事に使う(盆)提灯や線香などを売る市の「草市(盆市)」が立ったという。
(本ブログ関連:”初伏”)
といっても、実生活でこれらの行事にあったことはない。言葉では知っているわけで、日めくりカレンダーの隅を見て思い出す。旧暦、陰陽五行ともとっくに離れている。
朝方小雨があったものの後は曇り空。近所の栗林の毬は、黄緑から緑色を増して実をしっかり膨らませている。やがて梅雨が明けて、盛夏が来るだろうというのに、心は何処かで栗の実に秋を感じている。連日の涼しさのせいか。
特に変わったこともない。
(本ブログ関連:”初伏”)
といっても、実生活でこれらの行事にあったことはない。言葉では知っているわけで、日めくりカレンダーの隅を見て思い出す。旧暦、陰陽五行ともとっくに離れている。
朝方小雨があったものの後は曇り空。近所の栗林の毬は、黄緑から緑色を増して実をしっかり膨らませている。やがて梅雨が明けて、盛夏が来るだろうというのに、心は何処かで栗の実に秋を感じている。連日の涼しさのせいか。
特に変わったこともない。
2018年7月25日水曜日
KBS WORLD「国楽の世界へ」 酒
KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/18)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、酒にまつわる話を紹介した。
始めに、陰陽五行説に基づく「三伏(복날)」について次のように紹介された。
・7月~8月にかけて、陰陽五行説に基づく「三伏」(初伏、中伏、末伏)がある。昔、三伏に田の稲が歳を取るといい、初・中・末伏ごと稲に節ができ、三つできて稲穂になると考えた。一年で一番暑い時期、稲が育つ間、農村ではしばらく仕事を休み、涼しい郊外に出かけて体に良いものを食べた。酒を飲み、歌まであれば、それ以上の幸せもない。
▼ 長寿を願う定型詩の平時調(평시조)による「萬壽山(만수산)」を聴く。永遠に続くかのよう朗々と。
次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」に登場する李夢龍(이몽룡)活躍について次のように紹介された。
・相手の長寿を願い、酒を勧める歌に「勧酒歌(권주가)」がある。妓生の娘の春香と、高官になった李夢龍の愛の物語パンソリ「春香歌」にも勧酒歌が登場する。李夢龍は、不正な官吏を探す任を受け、官吏たちの内情を探るため、物乞いに扮して宴会へ行く。民は食に窮し苦しむのに、彼らは馳走を前に楽しむ。李夢龍は機嫌よくなくて宴会を乱し、妓生に勧酒歌を歌わせた。妓生は、長寿を祈るではなく、彼をあざけり呪い歌ったが、李夢龍は引き下がることはなかった。
▼ パンソリ「春香歌」から、王の勅命を受けた「(暗行)御史出頭(어사출도」を聴く。
金樽美酒千人血
玉盤佳肴萬姓膏
燭淚落時民淚落
歌聲高處怨聲高
最後に、朝鮮中期の文人「鄭澈(정철、1536~1594)」の「将進酒辞(장진주사)」について次のように紹介された。
・朝鮮中期の文人「鄭澈」は、酒好きでも知られる。酒のため会議に出られず、非難を浴びたこともある。王は、そんな彼に小さな銀杯をひとつ渡し、今後は一日に一度、酒は一杯にしておくという命令だ。すると、彼は、杯を伸ばして、容量を増やして飲んだという。鄭澈の作品に、酒好きな文人だっただけに、勧酒歌の「将進酒辞」*がある。「飲まんかな 飲まんかな 一杯また一杯」で始まる、終末を想像し、みな泣き悲しんで送っても、世を去った私に誰が酒を交わすというのか・・・という内容。
(*「朝鮮の詩ごころ」(講談社学術文庫)に紹介されているとのこと)
▼ 「将進酒辞」にもとづいた「将進酒」を聴く。ゆるりと歌い流れる。
始めに、陰陽五行説に基づく「三伏(복날)」について次のように紹介された。
・7月~8月にかけて、陰陽五行説に基づく「三伏」(初伏、中伏、末伏)がある。昔、三伏に田の稲が歳を取るといい、初・中・末伏ごと稲に節ができ、三つできて稲穂になると考えた。一年で一番暑い時期、稲が育つ間、農村ではしばらく仕事を休み、涼しい郊外に出かけて体に良いものを食べた。酒を飲み、歌まであれば、それ以上の幸せもない。
▼ 長寿を願う定型詩の平時調(평시조)による「萬壽山(만수산)」を聴く。永遠に続くかのよう朗々と。
次に、パンソリ「春香歌(춘향가)」に登場する李夢龍(이몽룡)活躍について次のように紹介された。
・相手の長寿を願い、酒を勧める歌に「勧酒歌(권주가)」がある。妓生の娘の春香と、高官になった李夢龍の愛の物語パンソリ「春香歌」にも勧酒歌が登場する。李夢龍は、不正な官吏を探す任を受け、官吏たちの内情を探るため、物乞いに扮して宴会へ行く。民は食に窮し苦しむのに、彼らは馳走を前に楽しむ。李夢龍は機嫌よくなくて宴会を乱し、妓生に勧酒歌を歌わせた。妓生は、長寿を祈るではなく、彼をあざけり呪い歌ったが、李夢龍は引き下がることはなかった。
▼ パンソリ「春香歌」から、王の勅命を受けた「(暗行)御史出頭(어사출도」を聴く。
金樽美酒千人血
玉盤佳肴萬姓膏
燭淚落時民淚落
歌聲高處怨聲高
最後に、朝鮮中期の文人「鄭澈(정철、1536~1594)」の「将進酒辞(장진주사)」について次のように紹介された。
・朝鮮中期の文人「鄭澈」は、酒好きでも知られる。酒のため会議に出られず、非難を浴びたこともある。王は、そんな彼に小さな銀杯をひとつ渡し、今後は一日に一度、酒は一杯にしておくという命令だ。すると、彼は、杯を伸ばして、容量を増やして飲んだという。鄭澈の作品に、酒好きな文人だっただけに、勧酒歌の「将進酒辞」*がある。「飲まんかな 飲まんかな 一杯また一杯」で始まる、終末を想像し、みな泣き悲しんで送っても、世を去った私に誰が酒を交わすというのか・・・という内容。
(*「朝鮮の詩ごころ」(講談社学術文庫)に紹介されているとのこと)
▼ 「将進酒辞」にもとづいた「将進酒」を聴く。ゆるりと歌い流れる。
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