KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/8)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、夏の最も暑い時期、旧暦6月から7月の間に入る雑節「三伏(삼복)」に関わる3曲を紹介した。
始めに、雑節「三伏」の字義と、それに関連する諺(ことわざ)について次のように紹介された。
・「三伏」は、夜が最も短い「夏至」から、2~3週間経つと初伏。その十日後が中伏、秋が始まる立秋が過ぎると末伏の三伏を指す。三伏の「伏」は、伏せるの意で人が犬のように伏せる姿に見える。また、あまりに暑いので秋の気運が伏している意もある。三伏の暑さに牛の角も曲がるとか、唇についた飯粒も重く感じるといった諺もある。今年の初伏は7月13日だ。
▼ 笛テグムとソグム、ピアノなど演奏の「太陽を呑み込む(태양을 삼키다)」を聴く。ケーナの乾いた雰囲気する今様だ。
次に、三伏の時期、魚獲りを題材にした歌「フィモリ雑歌 六七月(휘모리잡가 육칠월)」について次のように紹介された。
・三伏の暑さは、農作物にとって最適で、稲は三伏に歳を取るという。暑いから不満と思うわけにはいかない。暑さを乗り切るため、昔は渓谷に足をひたしたり、海辺の砂で体を温めたりした。熱を熱でもって治める方法だ。鶏肉を蒸した参鶏湯(삼계탕)やスイカを食べたり、川辺で魚を獲り直ぐに食べたりした。晴れた日より曇りの日に魚がよく獲れる。「フィモリ雑歌 六七月」には、両班にもかかわらず職も無く遊び暮らす、閑良(한량)身分の男が登場する。ある曇った夏の日、閑良は魚を獲り、通りがかった男の子に、魚を家まで運び、調理しておくよう伝えて欲しいと頼む。男の子は口をとがらせ、自分も雇われ人で、できるか分からないと答える。そんなやり取りをユーモアに歌う。
(参考:”キム・ウンハPDの音楽喫茶”に感謝)
▼ 歌「フィモリ雑歌 六七月」を聴く。語りに節を付けたようで素朴な感じする。パンソリよりは少しだけ具体的。
最後に、ソンビの体面と、あるときそれを越える話題について次のように紹介された。
・身分制社会では、暑さをしのぐ方法も身分によって違った。体面を保つことを自分の命より重視したソンビは、どんなに暑くても服を脱ぐことはなかった。ただ、扇子をあおぎ、読書したり詩作した。音楽の演奏や鑑賞もそのひとつだった。
・成大中(성대중、1732年~1809年)に、洪大容(홍대용)の別荘<留春塢(유춘오)>で開かれた音楽会の記録「記留春塢樂會」がある。洪大容はカヤグムを、洪景性(홍경성)はコムンゴを、李漢鎭(이한진)はテュンソを取り出すことから始まる。弦楽器ヤングムや、鳳凰を象徴する管楽器センファンも登場する。歌を歌う者の姿、また上座に座った年長者の様子もある。馳走と酒、多様な楽器の演奏、雰囲気も真っ盛りになる。すると、年長の金用譲(김용겸)が急にお辞儀をした。素晴らしい音楽を聴かせてもらい、年長の自分が辞儀をするのは当然なことではないかといった。
▼ ソンビが風流を楽しむ曲「短い霊山会上(짧은 영산회상)」を聴く。悠然とすれば自ずと時と風は通り過ぎる感じ。・・・<この曲は元々仏教音楽に由来する>とのこと。
(参考: ”トゥルムェ文学(들뫼 문확)”に感謝)