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2026年1月26日月曜日

新鉱物

朝のテレビで、群馬県の「茂倉沢鉱山」で新鉱物を発見したというニュース知った。同鉱山は、マンガン鉱床にあり、マンガン鉱物の産地で知られている。ただし、行ったことがないので、以前、石仲間からロードナイト(バラ輝石)の標本をいただいたことがある。

マンガン関連の鉱山で、都内で最も近場といえば、JR青梅線の終点「奥多摩駅」裏の山にある「奥多摩鉱山」だろう。図鑑にあるような、桃色~紅色にいたる各種マンガン鉱物を期待はできないが・・・。

(本ブログ関連:”新鉱物”、”鉱物趣味”、”鉱物好き”)

鉱物趣味の醍醐味は、現地鉱山跡で採集することだ(マニアとしての価値は、あくまでも国内産へのこだわりがある)。つい標本を増やしたくなるものだが、世界で約6.000種日本産は(幸運にも*)その2割ほどあるという。年間の新発見数は、世界で約100種前後日本で1~5種程度という(生成AI Geminiより)
(*)「日本は火山活動プレートの沈み込みが激しいため、狭い国土に多様な環境(高温高圧など)が揃っており、世界的に見ても新鉱物が見つかりやすい非常に珍しい場所といえます。」(Geminiより)

今回の発見は、レアアース(セリウム、ランタン)を含む新鉱物といったことで、話題を集めているようだ。むかし、長野県茅野市金沢にある「金鶏鉱山」に「セリウム・フローレンス」の美しい結晶を大いに期待して行ったことがあるが(結果は残念だった)。

(本ブログ関連:”セリウム”、”ランタン”)

ニュース記事を、記録のため次の通り保存させていただく。(山口大学の研究者が、どうして群馬の鉱山なのか?・・・ なんて思ったりした)

■ ITmedia NEWS
「レアアースを含む“日本産新鉱物4種”、山口大が発見 発見場所は群馬県」(松浦立樹、2026年01月23日 18時51分)
    ー https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2601/23/news117.html
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山口大学は1月23日、レアアースを含む新鉱物4種を発見したと発表した。発見場所は、層状マンガン鉱床である群馬県の茂倉沢鉱山だ。

今回見つかった4種の鉱物の名称は、
・「セリウムバナジン赤坂簾石(れんせき)」vanadoakasakaite-(Ce)
・「セリウム赤簾石」akasakaite-(Ce)
・「ランタン赤坂簾石」akasakaite-(La)
・「ランタンバナジン赤坂簾石」。vanadoakasakaite-(La)
このうち、セリウムバナジン赤坂簾石は2024年10月に国際鉱物学連合が新種として承認、残り3種の鉱物も25年5月に承認された。

石英中にみられる新鉱物「セリウムバナジン赤坂簾石」の暗褐色の柱状結晶 (東京大学物性研究所の浜根大輔博士が撮影)
ランタン赤坂簾石(この研究の論文から引用

4種類の新鉱物は、「バラ輝石」という鉱物を豊富に含む岩石中にある、石英の塊の中に存在していた。見た目はいずれも暗褐色の柱状結晶で、それぞれを区別するには化学分析と結晶構造解析が不可欠だ。またどの鉱物も「赤坂簾石」というグループに分類され、ランタンセリウムなどのレアアースを多く含む。

この研究成果は、科学雑誌「Journal of Mineralogical and Petrological Sciences」に同日付で掲載された**。
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(**)Journal of Mineralogical and Petrological Sciences: JMPS
「New epidote-supergroup minerals from the Mogurazawa mine, Gunma, Japan: akasakaite-(Ce), akasakaite-(La), vanadoakasakaite-(Ce), and vanadoakasakaite-(La)」
    ー https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmps/121/1/121_250927/_article/-char/en


そこで、生成AI Gemini に、山口大学の研究チームが群馬県の鉱山で発見したのかについて回答してもらった。

■ Gemini

Q.最近トピックの新鉱物の発見に、何で山口大学の研究者が、群馬の鉱山でと素朴な思いをしますが。
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A.「山口大学の研究チームが、なぜわざわざ群馬県の鉱山を?」という疑問、ごもっともです。物理的な距離を考えると不思議に思えますよね。

これには、日本の地質学・鉱物学界における <「研究の歴史」と、「研究室の専門性」> という2つの大きな理由があります。

1. 日本の「マンガン鉱床研究」の権威だから

山口大学(特に理学部の赤坂正秀名誉教授らのチーム)は、長年にわたってマンガンを含む鉱物や、それらが変成作用でどう変化するかを専門に研究してきました。

  • 茂倉沢は「教科書的な」場所 茂倉沢鉱山は、かつて日本屈指のマンガン産地であり、学術的に特異な元素(バナジウムなど)が濃集していることが古くから知られていました。

  • 「鉱物のカルテ」を読み解く力: 特定の山を深く研究し続けると、「この場所ならまだ未知の組み合わせの石があるはずだ」という予測が立ちます。山口大学のチームは、茂倉沢の石を数十年にわたり精密に分析し続けてきた、いわば <「茂倉沢のスペシャリスト」> なのです。

2. 分析機器の進化と「執念」

新鉱物の発見は、現地で石を拾うこと以上に、<「持ち帰った石をどれだけ細かく調べるか」> というラボでの作業が重要です。

  • 数ミクロンの世界: 今回発見された「赤坂簾石」などは、石英の中に埋まった数ミクロン(1ミリの1000分の1)単位の極めて小さな結晶です。

  • 山口大学の設備と情熱: 電子顕微鏡(EPMA)などを使って、その微小な粒の化学組成を一つずつ突き止める根気強い作業が行われました。地元の研究者でなくても、世界最高レベルの分析技術と「新種を見つける」という情熱があれば、遠方の鉱山の石でも世紀の発見に繋がります。

3. 「赤坂簾石」という名前に込められた意味

実は、今回発見された4種類の新鉱物の名前にある <「赤坂」は、この研究を主導した山口大学の赤坂正秀(あかさか まさひで)氏> の功績を称えて名付けられたものです。

背景: 鉱物の世界では、発見者自身が自分の名前をつけることはできません。通常、共同研究者や弟子たちが「これまでの先生のマンガン研究への貢献」に敬意を表して、師匠の名前を新鉱物に冠することが通例となっています。

つまり、<「山口大学の赤坂先生がずっと群馬の茂倉沢を研究してきたからこそ、その恩返しとして新鉱物に名前が残った」> という、非常に熱いストーリーがあるのです。

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2025年8月13日水曜日

新鉱物「アマテラス石」

今朝のNHKテレビのニュースで、新種鉱物「アマテラス石(Amaterasuite)」の発見について紹介していた。

(本ブログ関連:”新鉱物”)

新鉱物発見は、ある意味で生物学の系統分類学に似て、とても地味な研究であるが、いまだアマチュア*の協力が可能な分野の一つだ。アマチュアの鉱物採集をきっかけに、高度な分析(装置)が可能なアカデミーとのネットワークにより論文化する。たとえば、光学(電子)顕微鏡だけでなく、(アマチュア個人で所有がむつかしい)元素分析のための「X線回折装置」など種々ある。
(*)鉱物分野のアマチュアの神に、櫻井欽一(1912年 ~ 1993年)氏がいらっしゃる。

今回、東洋で尊ばれ、「国石」でもある「翡翠(ヒスイ)」の中に共存するという、めでたい発見から、日本神話で、神々の世界の高天原(たかまがはら)を統べる主宰神「天照大神(あまてらすおおみかみ)」にちなんで名づけられている。新元素「ニホニウム」も思い返す。

(本ブログ関連:”翡翠”、”ニホニウム”)


NHK NEWS WEB
「ヒスイの中から新種鉱物「アマテラス石」と名付ける 東大など」(2025年8月13日 5時15分)
- https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250813/k10014892741000.html
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・岡山県(新見市の山中)で採取されたヒスイの中から新種の鉱物(新鉱物)が見つかり、「アマテラス石」と名付けたと、東京大学などの研究チームが発表しました。
・東京大学や山口大学などの研究チームは、鉱物を詳しく分析した結果、ほかの鉱物には見られない独自の元素比率(Sr4Ti6Si4O23(OH)Cl)や、特徴的な結晶構造を確認したということで、「アマテラス石」と名付けて、去年11月、国際鉱物学連合から新種の鉱物として承認を受けました。
・命名の経緯について研究チームは、古くから日本人の生活に関わり国の石を意味する「国石」も選ばれている <ヒスイ> の中から見つかったことなどから、天照大神にちなんで名付けたとしています。
・「アマテラス石」はプレートの境界付近での地質作用によってヒスイとともに生成したと考えられ、ヒスイの生成過程を詳しく理解する上でも貴重な資料になるということです
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京都大学 最新の研究成果を知る
「新鉱物・アマテラス石の発見  ―日本の国石「ヒスイ」から見つかった新種の鉱物― 」(2025年08月07日)
- https://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research-news/2025-08-07
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● 画像
アマテラス石(黒緑色部)を含む鉱物集合体(褐色部はルチル、あんず色部はタウソン石)。画像幅は約2mm。
    - https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/inline-images/2508_main_shimobayashi-1e6518883caaf8a8291ed4c6b7f59b55.jpg


● 資料:詳しい研究内容について
「新鉱物・アマテラス石の発見―日本の国石「ヒスイ」から見つかった新種の鉱物」pdf
    ー https://www.kyoto-u.ac.jp/sites/default/files/2025-08/web_2508_Shimobayashi-63858e13a933b44653b8b42549510e4e.pdf
    ー 研究チーム:発表者・研究者等情報
    ・東京大学物性研究所:浜根 大輔 技術専門職員
    ・山口大学大学院創成科学研究科:永嶌 真理子 若手先進教授
    ・高輝度科学研究センター:森 祐紀 研究員
    ・京都大学理学研究科:下林 典正 教授
    ・株式会社リガク:アプリケーションラボ ライフサイエンスグループ  松本 崇 グループマネージャー
    アマチュア鉱物研究家: 大西 政之、田邊 満雄
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2017年7月28日金曜日

鉱物好きの心理

対象が「鉱物」というだけかもしれないが、鉱物好きの心理にどんな側面があるか、思いつくまま列挙する。鉱物好きのそれぞれにとって、以下の好奇心が多かれ少なかれ織り交ざっているだろう。とはいえ、鉱物マニアの集いでは、「理科(科学)的好奇心」だけを語らざる得ない。他の好奇心については、口外せずひそかに心にしまっておくようだ。

理科(科学)的好奇心:
・いわゆる鉱物マニアが賛同する、まさに好奇心の本流であり、基層を成す心理だろう。(アマチュアの世界)
・博物学の出発点であり、科学との接点を大事にする科学信仰がある。(科学者を頂点にしたピラミッドの世界)
・他の自然物(化石、昆虫など)採集マニアと太い共通点がある。(古典分類学の世界)

貴族所有的好奇心:
・ヴィクトリア/欧州貴族風な博物学を母胎とした、世界自然を把握(征服支配)する手段としての収集と陳列。
・財力と知恵が合一したサロン的世界に酔いしれることができる、うらやましい世界。
・知的孤高を貴種とする高踏的な社会。意識せずとも、世間から自然に遠ざかる。

美意識的好奇心:
・鉱物好きの原点に、結晶の美しさがあって、「水晶に始まって、水晶に終わる」とか。
・石から雲や水が湧き出るのを見るような超自然で幻想的(文学的)世界へ誘う好奇心。
・石の姿形(形態)に、自然との抽象的相似を感じとる凝縮された、水石的古来の美意識。

産業的好奇心
・鉱物と宝飾が混在した世界で、とくに女性の宝石好きとつながる。男は黙って見守る。
・鉱物を社会に産業として応用する。実は、好奇心を経済的に支えてきた土台骨。鉱物マニアは黙って見守る。

神秘的好奇心:
・石に霊的力(Power)を感じとる、鉱物好きにとって近寄りがたい、外来種グループ。


(本ブログ関連:”鉱物マニア”)


(付記)
鉱物採集マニアについて
・国内産の鉱物標本を最重視する。(完全な結晶、大きな標本は自慢になる)
・自分の手で採集した「標本」にこそ価値を置く。(仲間との標本交換もあるが)
・標本に「鉱物名・鉱山名」など記載した「ラベル」が必須。(日付は特に重視しない)
・具体的な「採集地点(位置)」については、仲間内でも秘匿するケースがある(多い)。
・鉱物鑑定(鉱物名を判別)能力により、身分はヒエラルキー化される。
・採集の際、身の丈に合った量を心掛ける・・・むやみに産地を掘り返し大量獲得しない。
・結局、健康でないと採集活動は続けられない・・・しみじみと。

2014年4月3日木曜日

新鉱物

主成分が「ランタン」の2種の新鉱物が発見された。毎日新聞の記事「新鉱物:レアアース含む2種類…山口大などのグループ発見」(4/3、柴山雄太記者)は、次のように報じている。(抜粋)
アマチュアの入門をひたすら停滞する私には、理解ままならないニュースだが、「新鉱物」という響きに耳だてる。
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・山口大、東京大、愛媛大などの共同研究グループは2日、三重県伊勢市(矢持町にある秩父帯に属する地質で,小規模な鉄マンガン鉱床)の廃鉱から、レアアース(希土類)を含む2種類の新鉱物が見つかったと発表した。レアアースの分布や蓄積過程の解明につながるという。
・山口大によると、鉱物は2011年4月、三重県の鉱物研究家が採集し、共同研究グループが分析。国際鉱物学連合が今年2月、新種と認定した。レアアースの「ランタン」が主成分で「ランタンフェリ赤坂石」、「ランタンフェリアンドロス石」と名付けた。
・同じ資料からは、山口大が13年3月「ランタンバナジウム褐簾(かつれん)石」と名付けた新鉱物が見つかっている。
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詳細は、山口大学、愛媛大学、東京大学共同のプレスリリース「レアアースを主成分に持つ二種類の新鉱物を発見 」(4/2)に解説されている。(抜粋)
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柱状結晶:新鉱物2種の顕微鏡写真
・山口大学大学院理工学研究科の永嶌真理子准教授,東京大学物性研究所の浜根大輔技術職員,愛媛大学大学院理工学研究科の皆川鉄雄教授と冨田宣光(博士前期課程),稲葉幸郎(鉱物研究家)らのグループが共同で・・・発見しました
・「ランタンフェリ赤坂石」・・・は、緑簾石族鉱物の結晶化学の解明へ大きく貢献してきた,島根大学の赤坂正秀教授にちなんで命名されました。
・今回の「ランタンフェリ赤坂石」・「ランタンフェリアンドロス石」の発見によって,伊勢市山中の鉄マンガン鉱床からは合計4種*ものレアアース・レアメタルを主成分とする新鉱物が見いだされたことになります。

(*)4種の鉱物: 「ランタンフェリ赤坂石」、「ランタンフェリアンドロス石」、「ランタンバナジウム褐簾石」と「伊勢鉱」
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ところで上記研究グループのメンバーに、「鉱物研究家」が加わっているが、普通、鉱物マニアと呼ばれるアマチュアだろうけれど・・・ただのアマチュアではない。その最高峰には、自ら「アマチャ」と呼び、料理店の主人であり続けた、桜井欣一博士がいらっしゃる。

桜井欣一博士のアマチャ精神については、ブログ「石さまざま」(こいぬさん)に紹介されている、著書「蟇石庵塵語」で楽しく知ることができる。その中で、「アマチュアの欠点」の一つに、「独占欲が強すぎる人がある」というのは笑ってしまう。(感謝)

(本ブログ関連:”薄田泣菫「石を愛するもの」”)

2011年6月5日日曜日

韓国の一般向け鉱物図鑑

ソウルの書店で、韓国産の鉱物図鑑をたずねたことがあるが、残念ながら見つからなかった。教保文庫では、洋書の図鑑や、その翻訳版を紹介されたが。また、韓国の古書インターネットに、日本の「楽しい鉱物図鑑」(堀 秀道著、草思社)が掲載されているのを見たことがある。

ところで、「わが国には、鉱物図鑑のような本がありますか?」という問いかけに対する回答が、Daum知識に載っている。
最初に紹介されている「岩石と鉱物(암석과 광물)」は、Smithsonian Handbooksの翻訳版だ。次に紹介されているものは、非売品の「鉱物岩石図鑑第2編硫化鉱物」(大韓鉱業振興公社、1990年)である。回答者によれば、他書も検索してみたがほとんど販売中止と表示されているとのこと。

(参考)大韓鉱業振興公社(KORES)のサイバー「鉱物展示館」で鉱物学分類を見ることができる。
(参考)韓国地質資源研究院(KIGAM)の地質博物館でサイバー「鉱物分類」を見ることができる。

(本ブログ関連:”韓国の鉱物資源”)

日本で鉱物関連の一般向け書籍が市販され始めたのも、ここ10年近くではないだろうか。おかげで見聞して鉱物の会に参加させていただいたわけだが。ソウルでも同様の一般向けの本を手にするのも間近と思う。

2014年6月9日月曜日

東京国際ミネラルフェア2014

何年振りだろうか、しばらく遠のいていた、「東京国際ミネラルフェア」に出かけた。新宿の小田急第一生命ビルの地階を主会場にして、世界各国(150社以上)の専門業者が鉱物、化石、宝飾素材など展示即売するフェアだ。

今回の第27回フェアは、特別展「ザ・シーラカンス」にシーラカンス及び関連の化石、実物大模型など展示され、公式ガイドブックには、その生態と化石について詳細が語られている。(化石マニアにはたまらないことだろう)
鉱物マニアにとって、何より素晴らしいのは、鉱物図鑑に載っている美しい鉱物結晶と、ここで出会えることだ。それらの産地は日本よりも海外が圧倒的多く、フェア出展者の半数が海外からというのも、むべなるかなだ。

今日の梅雨の蒸し暑さのせいか、それとも運動不足で水ぶくれのせいか、汗が止まらない。タオル地のハンカチがしとしとになってしまったほどだ。何かいいもの(標本)はないかと会場を2周した。

展示ブースには、アマチュア団体のものがあって、次のものを手に入れた。
・東京側団体のブース: 標本「自然鉄」(群馬県下仁田上蒔田)を求めた。
標本断面に、鉄の薄い脈状の筋が見える。綺麗に磨くと、もっとはっきりするといわれた。以前、この産地に団体で出かけたことがある。そのとき、岩の表面にぽつぽつ小さな突起があるもの探せということで採集した。展示品の中から、いくつか金属鉱物を示していただいたが、採集経験のある産地だけに、この自然鉄を選んだ次第。
・京都側団体のブース: 書籍「必携 鉱物鑑定図鑑」(藤原卓編著)を求めた。
サブタイトルに「楽しみながら学ぶ 鉱物の見方・見分け方」とある。何よりうれしいのは、書名の通り、鉱物鑑定、すなわち<同定ポイント>が各鉱物ごとに掲載されていることだ。結晶の形状、劈開(へきかい)の有無、希塩酸に溶けるかなど様々な観点でポイントを示してくれる。そして、<間違いやすい鉱物>に比較点があるなんて、まさに鉱物採集に焦点を当てた、今までにないユニークさを持っている。

(付記1)
鉱物に興味を持ち始めた頃、といっても随分と遅咲きだったが、一体何から・・・と手探りしていたときに出会ったのが、このフェアだった。当初、毎年通っていたが、恩知らずの私は財布と相談しているうちに次第に縁遠くなった。一つに、採集の味を覚えたからかもしれない。たぶん、永遠に手に届かぬ海外産の鉱物より、身近に手元に感じられる国内産に関心が移ったせいもある。

(付記2)
フェアの帰り道、地下道にある書店ブックファーストでDVD「大統領の理髪師(原題:孝子洞 理髮師、효자동 이발사)」(2004年、主演 ソン・ガンホ他)を購入。

2016年12月3日土曜日

新鉱物「豊石(ぶんのせき)」

「愛媛大と東京大、国立科学博物館の共同研究チームは1日、高知県いの町の(黒瀬川帯)山中で新種の鉱物を発見し『ブンノアイト』と命名したと発表した」と、愛媛新聞の記事、「『ブンノアイト』命名 新種鉱物を高知で発見、愛媛大など研究チーム」(12/2)は次のように報じた。(抜粋)

(本ブログ関連:”新鉱物”)

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・愛媛大ミュージアムの皆川鉄雄研究員(66)によると、約10年前に調査で訪れた「いの町」の鉱山跡で「見たことのない暗緑色の鉱物」を発見。皆川研究員が試料を提供し、チームが構造解析した結果、マンガンやアルミニウム、ケイ素などを主成分とし、新たな結晶構造をもつ鉱物だと分かった。
・国際鉱物学連合に新種の提案書を提出し、2014年4月に承認された。「ブンノアイト(Bunnoite)」の日本語名は「豊石(ぶんのせき)」。「地質標本館」(茨城県)の館長を務め、6種の新鉱物の発見に貢献するなどの功績がある鉱物学者の「豊遥秋(ぶんのみちあき)」博士の業績をたたえて名付けた。
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愛媛新聞に、<発見者>の皆川鉄雄氏の名が記されている。産地に詳しい、地元の発見者の直感がなければ、新鉱物に列することはなかっただろう。ペーパーに、そんなくだりが記されることはないかもしれないけれど。

(参考) 国立科学博物館のプレスリリース : 鉱物写真、結晶構造図

「新種の鉱物を発見、Bunnoite(豊石)と命名」(12/1)

2025年6月27日金曜日

(資料)植物と鉱物

■ 植物と鉱物

(山金、砂金、地質探査=ユーカリ、ヤブムラサキ)

① 山金:地中の金鉱石(石英)2~10g/t(t=1000kg)→ 隆起 → 砕けて川に流出(砂金)。
    - 鹿児島県菱刈鉱山(住友金属鉱山): 20~40g(産総研「地質標本館」標本: 3,600g)
        (「金鉱石」> ギングロ(黒色の脈)」> 金・銀(元素鉱物)が存在)
    ー 昔の佐渡・甲州・秋田の金鉱山は、非常に硬い石英脈の中に微粒子として含まれた。
        (石英を砕いて砂金採取、または水銀によるアマルガムを利用して金を採取した)
    ー 武田氏:甲州金(隠し金山)、佐竹氏:常陸 → 秋田転封(金山潰して美女を連れる?
    ー 大久保長安:武田家出身、家康に重用され金銀山開発 → 死後、一族は不正蓄で処罰

② 砂金水際の雑草を根付きのまま引き抜き(草根引き)、パンニングする(0.05g/粒)。
    ー 鉱物採集に見向きもしない奥さん方が、唯一関心を持ってくれる鉱物採集イベント。
    ー 大きな/高純度の砂金の粒を「ナゲット(天然の金塊 )」という。
    ー 米CA州ゴールドラッシュ(1848年~1855年)、最初5年間で約 1,200万oz=373t 採掘。
    ー 北海道・枝幸(えさし)町のナイ川支流(769g/粒)、
    ー 世界最大級 豪ビクトリア州 約72kg(約158ポンド)/粒、金の含有率は98%以上
    ー 金雲母(水中でフラフラ動く)に騙されない。(「愚者[馬鹿]の金」:金雲母、黄鉄鉱)

③ ユーカリ:根が金鉱脈に届き、葉に微量の金を含む(ChatGPT)。
    ー 地質探査(植物を使った鉱脈の探索):金は植物に毒のため末端の葉に送られる。
    ー ナショナルジオグラフィック「ユーカリの木で金鉱探査」(2013.10.23)
            https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/8475/

④ ヤブムラサキ:「ムラサキシキブ」の仲間。金鉱床の「植物地化学探査」で利用される。
    ー 金鉱床にある植物の中で、葉に金の含有が見られる。
    ー ニッセイ緑の財団「《森の植物の歳時記》 [234]【ヤブムラサキ(藪紫)】」(2023.12.05)
            https://nissay-midori.jp/news/details/1757


■ 植物に滲み込む鉱物

① 珪化木(化石)
・古代の倒木に珪酸(H2SiO3)の珪酸イオンが浸み込んで化石になったもの
    ー 地球組成:酸素(50%)、珪素(20%)、アルミニウム(約8%)
    ー 珪素酸素石英SiO2)→ 三方晶系のとき水晶(昔、アルプスで「氷の化石」)
    ー 珪酸イオン(陰イオン): SiO4−
4
    ー 米国AZ州北東部の「化石の森国立公園(Petrified Forest National Park)」が有名
        毎年約12〜14トンの木の化石が盗まれていること)
    ー ナショナルジオグラフィック「地球で最多量の鉱物、ようやく命名」(2014.06.19)
        地球で一番最多な鉱物、珪酸塩鉱物「ブリッジマナイト」(Mg,Fe)SiO3
        https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9371/

    ー Youtube「Unravel a Mysterious Outcrop of Rock with a Geologist.」
         https://www.youtube.com/watch?v=K_ssKHAPvlo


② アジサイ
・アジサイの花の色は、酸性の土壌では青色に、アルカリ性の土壌では赤色に変化する。
    ー アジサイに含まれるアントシアニン色素(デルフィニジン系)は、化学変化がない(中性の条件下)場合、本来の青紫・ピンク色をしている。
    ー 酸性の土壌で、アジサイの根は土壌からアルミニウム を吸収(アルミイオン(Al3+)酸性の土壌でよく溶け出す)し、アントシアニン色素と結合することで青色に発色する。
    ー アルカリ性の土壌では、アルミニウムが溶けにくい(アントシアニン色素と結合しない)ので、赤色・ピンク色を発色する。
    ー あじさい寺(明月院):第五代執権北条時頼が出家時建立最明寺が起源(「鉢の木」伝説)
        (研究者が古文書を返却しないこと)


■ Gemini Q&A

Q-1.特定の鉱物と相性がいい植物がありますか?
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A-1.特定の鉱物と相性の良い植物は確かに存在します。これらの植物は、特定のミネラルを効率的に吸収したり、高濃度のミネラルが存在する土壌でも生育できる特殊な能力を持っています。

特定のミネラルを集積する植物(ハイパーアキュムレーター):
一部の植物は、通常の植物よりもはるかに高い濃度で特定のミネラルを体内に蓄積する能力を持っています。これらの植物は、汚染された土壌の浄化(ファイトレメディエーション)や、鉱物資源の回収(ファイトマイニング)への応用が研究されています。
・ニッケル: アリッサム属(Alyssum)の一部の種
・亜鉛: ジンバイオレット(Viola calaminaria)、タラスピ・カエルレスケンス(Thlaspi caerulescens)
・カドミウム: インドマスタード(Brassica juncea)、タラスピ・カエルレスケンス(Thlaspi caerulescens)
・セレン: シダの一種(Pteris vittata)
・ヒ素: シダの一種(Pteris vittata)
・銅: 一部のサクラソウ属(Primula)
・ウラン: 一部のキク科(Asteraceae)、イネ科(Oryzopsis)、マメ科(Astragalus)

特定の土壌条件に適応した植物:
特定のミネラルが豊富、あるいは欠乏している土壌で生育するために適応した植物もいます。
・石灰岩土壌(カルシウムが豊富): 一部の高山植物、ワイルドフラワー
・酸性土壌(アルミニウムが多い): 一部のツツジ属(Rhododendron)、アジサイ属(Hydrangea)
・蛇紋岩土壌(マグネシウム、ニッケル、クロムが豊富、カルシウムが少ない): 蛇紋岩地帯特有の植物

ミネラルと植物の相互作用:
植物の生育には、窒素、リン、カリウムなどの主要な栄養素だけでなく、カルシウム、マグネシウム、硫黄などの二次的な栄養素、そして鉄、マンガン、亜鉛、銅、ホウ素、モリブデンなどの微量栄養素も必要です。これらのミネラルは、植物の様々な生理機能に関わっています。

土壌中のミネラルのバランスは植物の生育に大きな影響を与え、特定のミネラルの過不足は植物の生育不良や病気の原因となることがあります。

もし特定の植物や土壌条件についてもっと詳しく知りたい場合は、その植物の名前や土壌の種類などを教えていただければ、より詳細な情報を提供できるかもしれません。
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Q-2.昔、山師が鉱物の場所を特定するとき、指標になった野草や樹木があったら教えてください。
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A-2.山師が鉱物の場所を特定する際に、特定の野草や樹木を目安にしていたという話は興味深いですね。実際に、特定の植物が特定の金属を含む土壌に生育しやすい、あるいはその金属の存在を示す手がかりとなるケースは知られています。これらの植物は「指標植物」と呼ばれることがあります。

ただし、昔の山師がどのようにこれらの植物を利用していたかについての具体的な記録は、現代の科学的な知見ほど体系化されていないかもしれません。それでも、経験に基づいた知識として、特定の植物の生育と鉱物の存在を結びつけていた可能性は十分に考えられます。

以下に、いくつかの例と、関連する現代の科学的な知見を合わせてご紹介します。

特定の金属の存在を示唆する可能性のある植物:
・ニッケル:
    ー アリッサム属 (Alyssum) の一部の種:これらの植物はニッケルを蓄積する能力が高く、ニッケル鉱床の近くに生育することがあります。特に、蛇紋岩地帯のようなニッケルを多く含む土壌に見られることがあります。
・銅:
    ー ジンチョウゲ科 (Thymelaeaceae) の一部の種:銅鉱床の周辺で見られることがあります。
    ー 特定のコケ類や地衣類:銅汚染された土壌に特有の種が存在することが知られています。
・亜鉛・カドミウム:
    ー ジンバイオレット (Viola calaminaria) や タラスピ・カエルレスケンス (Thlaspi caerulescens):これらの植物は亜鉛やカドミウムを高い濃度で蓄積し、これらの金属を含む土壌に生育することがあります。
・ウラン:
    ー 特定のキク科 (Asteraceae) や マメ科 (Astragalus) の植物:ウラン鉱床の周辺で見られることがあると報告されています。
・ヒ素:
    ー 特定のシダ類 (Pteridaceae):ヒ素汚染された土壌に生育する種が知られています。

特定の土壌条件を示唆する植物:
鉱物の存在は、土壌の化学的性質(pH、特定の元素の濃度など)を変化させることがあります。そのため、特定の土壌条件に適応した植物も、間接的に鉱物の存在を示唆する可能性があります。
・石灰岩地帯: 石灰岩(炭酸カルシウムが主成分)の多い場所には、アルカリ性の土壌を好む植物が生育します。これらの植物は、特定の金属鉱床と直接的な関連はないかもしれませんが、地質的な特徴を示す手がかりとなります。
・蛇紋岩地帯: マグネシウムや鉄、ニッケルを多く含む蛇紋岩質の土壌には、特有の植物が生育します。これらの植物は、特定の金属鉱物の存在を示唆する可能性があります。

注意点:
・指標植物の存在は、必ずしもその場所に高濃度の鉱物が存在することを保証するものではありません。
・土壌の条件は複雑であり、植物の生育には様々な要因が影響します。
・昔の山師がどのようにこれらの知識を得て、活用していたかについての詳細は不明な点が多いです。伝承や経験則に基づいていたと考えられます。

もし、特定の地域や鉱物に関連する伝承などをご存知でしたら、教えていただけるとさらに興味深い議論ができるかもしれません。
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2015年6月4日木曜日

大華鉱山「灰重石」

それでも、石好きの端くれにいる。ところで、イ・ソンヒのコンサートで韓国を訪れたことはあるけれど、鉱山、地質博物館どころか、鉱物標本がありそうなソウル市内の自然史博物館すら行ったことがない。それも・・・なんだなあと反省している。

以前、ある物産フェアに、韓国の宝石・鉱物装飾商のブースがあった。ちょっと覗いて、鉱物採集に興味があるなどと(日本語で)話しているうちに、私が参加している石仲間の会の名前をあげたところ、様子が変わってしまった。そう・・・会の名前に、韓国では馴染めない単語が混じっていたのだ。

ソウルの大型書店で、韓国産のきれいなカラー版の鉱物図鑑を求めたが、洋書(=外国産鉱物)ならあるといわた。(Smithsonian Handbooksの鉱物図鑑を韓国語版にしたものはあったが)

(本ブログ関連:”鉱物図鑑”)

ブックフェアでも、韓国の出版社の人に同様の質問をしてみたが無いらしい。韓国の鉱物マニアは、一体どんな図鑑を持っているのだろうか。(もちろんアマチュア向けの図鑑だが)

あるとき、鉱物フェアで、韓国産鉱物標本の「灰重石」(CaWO4)が販売されていたので、早速購入した。産地は、忠清北道(충청북도)の中原郡(중원군)仰城面(앙성면)(現忠州市충주시)大華鉱山(태화광산)で、「楽しい鉱物図鑑」(掘秀道著)に記載されていて、代表的な産地のようだ。

(本ブログ関連:”灰重石”)

灰重石標本を、手元にあるチープな紫外蛍光ランプで照らしてみたが、蛍光作用しない・・・残念。

ちなみに、大華鉱山以外の韓国の鉱山(蔚山、月岳、山内、日光)と、日本の鉱山(喜和田)で産出された灰重石中のイットリウム(Y)含量を分析して、鉱床の違いを考察した資料がネットにある。(「韓国及び日本の6鉱山産の灰重石中のY含量」)

(付記)
<重石>の名の通り、タングステン仲間の「鉄マンガン重石」((Fe,Mn)WO4)は、何度も訪れた茨城県錫高野で手に入れた。山道に転がっていたが、今はズリでもあまり見つからない。(掘り返す気力のある人は別だが)

2012年4月15日日曜日

新鉱物の発見

子どもたちが成りたいものに、まぶしいほどのヒーロー、プロ野球選手がいる。もしかしたら夢の中で見た、グラウンド上のあの絶妙なプレーが現実になるかもしれないと、また夢を見る。やがて、子どもたちは夢を見なくなる。

今日、四谷で開かれた鉱物の会に出かけた。なのに体調が思わしくない。長引いた風邪は沈静化したものの今月いっぱい用心と思っていたところ、一昨日から腹をくだしているのだ。会場までの中央線車中、フラフラしているのに気付く。

鉱物の会では、総会および例会の後に、関西の若手研究者による「新鉱物発見の実際」というテーマで、国内で発見した2種の新鉱物を事例に講演があった。
図解や写真を多用して、新鉱物であることについて分かりやすく語られた。さらに、発見した鉱物の化学組成や結晶構造などをいろいろな観点で分析するための装置も紹介された・・・、何だかその気にさせていただいたのがうれしい。
新鉱物発見の夢は、子どもがプロ野球選手になる夢を見るようなものなんだろうな、実現するのは大変なことだ。

今回の集まりに、小学生の子どもを連れた親子が数組参加されていた。この子どもたちの中から、つぎの新鉱物発見者が生まれることを楽しみにしたい。彼らは鉱物の会の宝物だ。

(追記)
新鉱物の発見場所って、日曜ミネラルハンターお決まりの採集場所である「ズリ」でもいいのかなあと気になって、隣席の筑波の研究者にうかがったところ、「ダメ」との回答。講演事例の通り、採集場所は坑内、つまり確定した場所、産状でなければならない。いやあ、ズリでとんでもない夢を見るところだった

2025年7月15日火曜日

(資料)藍銅鉱(らんどうこう)と銅藍(どうらん)

先日(6/18)、青色の高価な顔料「ウルトラマリン」*について触れたが、安価な鉱物顔料に「藍銅鉱(らんどうこう)」や「銅藍(どうらん)」由来のものがあると記した。
(*)ウルトラマリン: 岩石「ラピスラズリ」から精製された顔料。

(本ブログ関連:”ラピスラズリ”)

鉱物採集のとき、地質図を頭に入れておくべきなのだが、あまり意識していなかった。両者は名前も似ているが、区別(鑑別)に混乱することがある。
・藍銅鉱: 銅の硫化物鉱床が酸化された地帯(酸化帯)の地表近く
・銅藍: 銅の硫化物鉱床の比較的浅い部分の富化帯(二次富化帯)で形成(二次鉱物)される

藍銅鉱と銅藍の <違い>と<見分け方> について、生成AIのGeminiにQ&Aしてみた。

Gemini ❶
Q-1.藍銅鉱と銅藍の違いを教えてください。
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A-1.藍銅鉱(らんどうこう)と銅藍(どうらん)は、どちらも美しい青色の鉱物ですが、化学組成、結晶系、産状などが異なります。

藍銅鉱 (Azurite)
・化学組成: 炭酸銅水和物 Cu3 (CO3)2(OH)2
​ ・結晶系: 単斜晶系
・色: 鮮やかな濃い青色(藍色)
・光沢: ガラス光沢
・硬度: 3.5 - 4
・劈開: 完全
・産状: 銅鉱床の酸化帯に、孔雀石などの他の二次鉱物と共によく産出します。自形の結晶をなすこともありますが、塊状で産することも多いです。
・用途: 古くから青色の顔料(岩群青)として利用されてきました。また、美しい結晶は装飾品としても用いられます。

銅藍 (Covellite)
・化学組成: 硫化銅(II) CuS
・結晶系: 六方晶系
・色: 濃い藍青色で、金属光沢を持ち、しばしば虹色光沢(玉虫色)を示すことがあります。
・光沢: 金属光沢
・硬度: 1.5 - 2(非常に軟らかい)
・劈開: 一方向に完全で、薄い板状に剥がれます。
・産状: 比較的産出量が少なく、黄銅鉱などの他の硫化鉱物に伴って産出することが多いです。自形の結晶は六角板状ですが、稀で、通常は鱗片状や塊状で産出します。
・用途: 銅の鉱石鉱物として利用されます。美しい金属光沢から、研磨して装飾品に用いられることもあります。

まとめ

特徴         藍銅鉱 (Azurite)                                       銅藍 (Covellite)
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化学組成 炭酸銅水和物 Cu3 (CO3)2(OH)2                 硫化銅(II) CuS
結晶系       単斜晶系                                                六方晶系
             鮮やかな濃い青色藍色                       濃い藍青色、しばしば虹色の光沢
光沢         ガラス光沢                                                 金属光沢
硬度         3.5 - 4                                                 1.5 - 2 (非常に軟らかい)
劈開         完全                                                         一方向に完全
主な産状 銅鉱床の酸化帯、孔雀石と共産                 他の硫化鉱物と共産、鱗片状や塊状
主な用途 顔料、装飾品                                         銅の鉱石、装飾品
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Gemini ❷
Q-2.鉱物採集で、藍銅鉱(らんどうこう)と銅藍(どうらん)の見分け方を教えてください。
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A-2.鉱物採集で藍銅鉱と銅藍を見分けるのは、見た目が似ているため注意が必要ですが、いくつかのポイントに注目することで判別できます。

1. 色と光沢:
・藍銅鉱 (Azurite): 鮮やかな濃い青色(まさに藍色)をしており、ガラス光沢を持ちます。光に当てると、キラキラとした透明感のある輝きが見られます。
・銅藍 (Covellite): より濃い藍青色で、しばしば金属光沢を持ちます。表面が油を塗ったようにテカテカと光ったり、虹色の光沢(玉虫色)が見られることがあります。

2. 硬さ:
・藍銅鉱: モース硬度は3.5〜4程度で、方解石(硬度3)よりも少し硬く、蛍石(硬度4)と同程度です。爪で傷つけることは難しいですが、小刀などで傷をつけることができます。
・銅藍: モース硬度は1.5〜2と非常に軟らかいです。爪で簡単に傷つけることができます。

3. 劈開(へきかい:特定の方向に割れやすい性質):
・藍銅鉱: 完全な劈開が1方向にありますが、観察しにくいことが多いです。むしろ、貝殻状断口(貝殻のような滑らかな曲線を描いて割れる)を示すことが多いです。
・銅藍: 1方向に完全な劈開があり、薄い板状に剥がれやすいのが特徴です。

4. 晶癖(しょうへき:結晶の形や成長の仕方):
・藍銅鉱: 短柱状、板状、塊状、鍾乳状など、様々な形で見られます。美しい自形の結晶を伴うこともあります。
・銅藍: 六角板状の結晶をすることがありますが稀で、通常は鱗片状や葉片状の集合体、または緻密な塊状で産出します。

5. 共産する鉱物:
・藍銅鉱: 銅鉱床の酸化帯で、孔雀石(緑色)= マラカイト褐鉄鉱などと共産することが多いです。
・銅藍: 黄銅鉱(黄色)閃亜鉛鉱黄鉄鉱などの硫化鉱物と共産することが多いです。

野外での簡単な判別方法:
・色と光沢を観察する: 鮮やかな青色でガラス光沢なら藍銅鉱、濃い青色で金属光沢なら銅藍の可能性が高いです。
・硬さを試す: 爪で引っ掻いてみて、簡単に傷がつくようなら銅藍の可能性が高いです。藍銅鉱は爪では傷つきにくいです。
・劈開を観察する: 薄い板状に剥がれるようなら銅藍の特徴です。
・共産する鉱物を観察する: 周囲に緑色の孔雀石が多く見られる場合は藍銅鉱、黄色の黄銅鉱などが多く見られる場合は銅藍の可能性が高まります。

これらの点を総合的に観察することで、藍銅鉱と銅藍を比較的正確に見分けることができるでしょう。ただし、微細な結晶や変質している場合は判別が難しいこともあります。
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2010年7月5日月曜日

輝きの科学

先日、NHK教育TVの番組「極める!」で、「佐野史郎のなぞの石学」(全4回)が始まったことを本ブログに記した。

(本ブログ関連:6/28

第2回の今日は、「輝きの科学」である。<鉱物学>の立場で、堀秀道氏から鉱物結晶の美しい世界が語られた。堀先生は、鉱物科学研究所長であると同時に、鉱物同志会の会長をされている。
番組テキストの解説とは別に、番組内では、美しい鉱物結晶の紹介や、瑪瑙採集がレポートされた。

<堀先生による鉱物の解説>
・鉱物標本の瑪瑙(めのう)、ペンタゴン石、霰(あられ)石、水晶、蛍石(紫外線照射で蛍光を発する)などの紹介。
・鉱物の属性について、金属光沢(反射)/非金属光沢(例:透明な水晶)、結晶と組成(水晶と瑪瑙は組成が同じだが結晶が違うこと)、鉱物生成の温度と圧力などについて説明。
・自然の水晶の種類と、合成水晶の現代の利用を「水晶時代」という言葉を使って紹介。

<佐野史郎氏の石への思い入れ>
・SF小説「結晶世界」(J.Gバラード)から鉱物結晶への思いを紹介。
・検波器に方鉛鉱を利用した鉱石ラジオの実験。

<お二人による瑪瑙採集レポート>
・三浦半島某海岸での瑪瑙の採集。
・瑪瑙採集のポイント:①大き目の砂石がある波打ち際、②透明度のある石、③縞模様がある石
・瑪瑙の生成について、火山の(温泉)熱水の珪酸成分が冷えてできることの紹介。

2011年4月24日日曜日

鉱物の会:喜寿の祝い

鉱物の会に行く。今回の大震災の影響で会場が四谷から新宿に急遽変更された。
年度始めであり、例会兼総会の内容だったが、会員の関心はどちらかといえば、新鉱物「千葉石(チバセキ)」の講演だった。講演者門馬綱一氏は、新鉱物発表時に独立行政法人物質・材料研究機構の研究員だったが、4月から国立科学博物館の地学研究部鉱物科学研究グループに所属している。ちなみに同氏は、中学時代に本会の会員であった。

・千葉石は当初、石英として珍しい、八面体の等軸晶系ということから分析が始まった。
・千葉石の写真から、鉱物の内部に白く霞んでいる部分にガスが溜まっていると思われるかもしれないが、実際は鉱物の透き通った《面》にある。
結晶構造はメタンハイドレートに相似で、酸素原子をケイ素原子に、水素原子を酸素原子に置き換えたものが千葉石の構造である。このケイ素原子と酸素原子で構成された《かご》状の結晶構造は強い構造でできているので、内部のガス(メタンの他に、エタンやプロパンなど)は容易に抜けない。
・産地は、保田層群の付加体の上部にある。一般的に、プレートが落ち込んだ堆積岩中の石英脈を探せば見つかるかもしれない。

次に会場を移して、本日の重要なイベントがおこなわれた。会長の喜寿のお祝いである。
会長は、鉱物関連の著書を多数著して、数多くの鉱物ファンを生み出した。また会員の中から、上記のように優秀な鉱物学研究者を育てられている。
お祝いは、立錐の余地もない会場で、感謝をまじえて盛況に催された。

(本ブログ関連:”千葉石”)

2012年7月8日日曜日

四谷で鉱物の会 12-7-8

今月から行動半径を拡大。どれ位いかといえば、四谷まで出歩いて、久し振りに鉱物の会の例会に参加した。今回のメイントピックは、会員の中で自慢の収集品をお披露目するコンテストと、鉱物鑑定練習だ。

・十数人がお披露目した中に、いつもお世話になっているxаякава氏が茨城県の朝日トンネルで採集した柘榴石・電気石の標本がある。なんと3位に入られたのだ。ところで同時期に採集された素晴らしい緑柱石も出品されたなら、どんな結果になっただろうか。それも気になるところだ。
・鉱物鑑定では、全問正解の1位が2名であったのに対して、一問だけ不正解の2位は何と26名もいて多すぎるため、2位には恒例の標本プレゼントはお預けになった。(周りの方のご意見を盗み聞きして、26名の中に潜り込んだのだのだが・・・)

会場を見て感心したことに、会員に小学生(もちろん付き添いの親も)の姿がぐんと増えてきたことだ。未来の鉱物研究者にもなるかもしれない彼らのために、上記の鉱物鑑定の標本プレゼントが優先されたことはいうまでもない。子どもたちの存在は会場を和ませ、鉱物の会の永続性が期待できる気がする。大切で貴重な会の宝物だ。

5月末に予定していた河津鉱山の鉱物採集に体調不良のために行けなかったが、お誘いいただいたйосики氏に次の採集には是非ともとお願いをした。
とはいえ、帰宅するやごろりと転寝をしてしまった。鉱物採集までもう少し体力の回復が必要か?

2024年12月12日木曜日

(資料)金鉱山: 菱刈鉱山

以前、体が丈夫なころ、鉱物採集のベテランの方に従って関東近辺の鉱山を巡った。基本的に閉山した跡地で、旧い「ズリ」*を探しては鉱物を見つけた。採集仲間の一部は、腰の深さまでズリを掘り返す者もいたが、私たちはもっぱら表面採集が中心だった。
(*)ズリ: 鉱山で選鉱後、不用になった岩石の捨て場(=坑道に入れぬマニアの採集場所になる)。

(本ブログ関連:”鉱山”)

ベテランの方は、ズリ場の傾斜地などで、目指す鉱物を含んだ岩石を見定め、ハンマーで割り進める。すると、見事な結晶を取り出すのだ。母岩付きの結晶の何と美しいこと。つねづね思うのだが、いずれの世界でも、ベテランといわれる人は「勘」と「記憶力」**がまるっきり違う。一方、勘どころのない私ときたら、やみくもに岩を叩き割るしかない。
(**)勘と記憶力: 鉱物の鑑別だけでなく、産地の道筋や地形、草木一本についても。

採集地につづく道の途中、つくば市にある産業総合技術研究所の「地質標本館」に立ち寄ったりしたことがある。アマチュアには及びもつかない鉱物標本が陳列されているのだ。いっとき、夢を見ることができる場所だ。分類展示室の順路の終わり出口近くに、(鹿児島県)伊佐郡菱刈町「菱刈鉱山」の「金銀鉱石」標本***が置かれている。いつも見ても感心する。
(***)標本データベース: https://gbank.gsj.jp/musee/#M12212

(本ブログ関連:”金山”)

標本ラベルに、金銀の含有量について「"Ginguro(銀黒)"  ore(鉱石); Au 3,600g/t、 Ag 9,720g/t」と表示されている。トン当たり、金(Au)が 3,600g/t 産出したというのだから、すごい標本だ。

ちなみに、鉱石とは「さまざまな鉱物や岩石が混在している状態のもの」であり、鉱石中に含まれる産業的な鉱物を「有用鉱物」という。
アマチュアが入手する、金を含む鉱物標本は「ギングロ」といわれ、名前の通り黒い筋しか見えないのが普通。金の粒の標本は、川辺で水と大きな皿を使って採取する砂金採り(パンニング)がもっぱらだ。

ところで、Youtubeを巡っていたとき、菱刈鉱山の金採取の紹介があった。
世界的に 1~2g/t のところ、400g/t 採取できる切羽(きりは)の場面があった。なにより、金鉱山の金鉱床に、まさしく潜入できる映像なんて珍しい。

■ Youtube(登録: 鹿児島ニュース - KYT鹿児島読売テレビ、2024年11月5日 20:23)
「【特捜隊】令和の鉱山は驚きの進化!Wi-Fiで遠隔操作も 日本一の金山・伊佐市の菱刈鉱山に潜入」
https://www.youtube.com/watch?v=EjPIx3Chy8o

現在の鉱山経営は、IT技術を使ったいろいろな工夫がされていることも知った。

2011年11月5日土曜日

鉱物の会の例会 11-11-5

四谷で開かれた、鉱物の会の例会に行く。少し早目に着くと、室内鉱物採集ができる。有志が持ち寄って陳列した鉱物標本をいただけるのだ。次回出かけたい採集地の鉱物標本を入手できたりするので、大変ありがたい。

・先日(10/30)の会主催による、秩父鉱山石灰沢の「採集会成果報告」があった。それにしても、当日の帰りのバスの中で、幹事さんが鉱物についていろいろ語られたお話の博識振りは素晴らしかった。
バスで席を隣り合わせた会員の方も出席されていて、そのとき話題になった鉱物採集地のコピー資料をいただいた。感謝至極だ。

・「夏休み成果報告」では、出席者全員が、夏休みを含めて最近までの鉱物採集の活動状況を報告した。いつもお世話になるхаякава氏が先に話されたので、付いて歩くわたしとしては、錫高野の蛍石採集のてんまつを述べた。何しろ、仰向けに転倒して、思いっきり背中を強打した苦い記憶の同採集場所に、再び訪れて採集したのだから。
「恋しくば訪ね来てみよ・・・うらみ蛍石」というわけで。

・「鉱物鑑定練習」では、配られた4つの標本を同定するものだ。わたしの正解は半分。会長の「今回は全問正解者が多かった」との講評に、ちっとも成長していないことを自覚する。

先日の採集会もそうだが、今回の会場に、小学校低学年のこどもたち(3名以上)が出席していた。本会の貴重な宝ものだ。
そうそう、採集会では厳しい幹事でいると発言された方が、子どもたちの前では、とても優しく対応していた。本当にいい場面を見た。

また、会員のёсики氏から、九州は宮崎県の土呂久鉱山にまで出かけて採集した標本をいただいた。感謝、感謝。

2015年7月3日金曜日

第22回 東京国際ブックフェア

最近、年を飛び飛びに出かけている東京国際ブックフェアに行く。10時過ぎ、埼京線の国際展示場前に着いたとき、激しく雨が降っていた。今日の金曜日に見に行くと宣言したわけだが、こんなに雨降りになろうとは思いもよらなかった。ちなみに、昼過ぎ帰るとき、雨足は一層強まり、まるで夕立の土砂降りのようだった。
ブックフェアは、今日明日の土・日曜日、一般公開される。予想以上に駅から会場の東京ビッグサイトまで大行列だった。会場に至る、雨よけ屋根の通路には人があふれた。

(本ブログ関連:”東京国際ブックフェア”)

目的は2つ。日本の科学読み物の入手と、韓国産鉱物図鑑の情報を入手すること。

目的の前者では、① 鉱物採集でお世話になる、産地情報が載った「鉱物 ウォーキングガイド 関東甲信越版」(松原聰著)。実は、鉱物採集の際、いつもS氏からコピーをいただいてる。同書の旧版は持っているが、なぜか採集場所が、新しい「関東甲信越版」のものしかないのだ。これ以上は申し訳なく思い購入した。 ② アリ(蟻)の社会性からイソップ風の話題探しをしているが、今回、アリ研究者(採集者)の情熱ほとばしる「フィールド生物学 アリの巣をめぐる冒険」(丸山宗利著)と巡りあった。主に東南アジアのアリの生態という本論とは別に、トピックがちりばめられており、その情熱の源も後述されている。拝読が楽しみだ。

目的の後者では、韓国出版関係のブースに押しかけて、<韓国産>鉱物を記載した(一般向け)鉱物図鑑はないものか相談したところ、教育科学技術部(교육과학기술부)(の頃)から「韓国動植物図鑑(한국동식물도감)」のシリーズが出ているので、それに関連してあるかもしれないということだった・・・さっそく調べたが、今のところ未見。

ところで、韓国の鉱物図鑑を探しているとき、ネットに「鉱物·岩石の用語の語源の国際比較研究(광물·암석 용어의 어원에 대한 국제 비교 연구)」(イ・チョンジ他、2011年)があり、付録に鉱物と岩石名称について、韓国語・朝鮮語・中国語・日本語・英語の一覧が載っている。

韓国のブースで、文学と縁遠いけれど、長編小説「なき王女のためのパヴァーヌ」(パク・ミンギュ著、吉原育子訳)を、勢いで求めてしまった。さて、どんな風に読んだらいいものだろうか。

2013年3月21日木曜日

石の楽しさ

鉱物趣味には、鉄道趣味ほど細分化されていないと思うが、いくつかの範疇に分類されるだろう。

ひとつには、鉱物採集がある。自ら行動し、他者より抜きんでた標本を採集することが目的となる。結果として、新発見にも通じるわけで、鉱物分類の一翼も担えることになって、博物学や鉱物科学につながることもできるだろう。採集に一途なひとを見ていると、他の採集趣味のひととどこか心情に共通するものを感じる。まさにマニアたる醍醐味なのだろう。

もうひとつは、採集された鉱物の鑑賞だ。採集から継続して鑑賞してもいいし、鑑賞だけ単独でもいい。博物学や鉱物科学的な分類や分析が主ではない。むしろ結晶鉱物の美しさに感応することにある。ある意味、鉱物採集が貴族の趣味から発達したと聞いているが、貴族趣味として、趣味世界の栄華を今も備えている。

最後に、石を自ら空想のなかに引き込み、石の持つ普遍性や不動性に対しいろいろなイメージを与えることだ。石そのものより、それを楽しむ想像力に価値があるのかもしれない。意味を知らなければ詩的でもある石の名前からイメージを膨らませたり、静止する石を動かしたり、あるいは石にまつわる奇聞からストーリーを紡いだりする。

石好きなひとには、以上のいずれかに執心するひともいれば、ただ何となくこれらを趣味とするひともいる。わたしの場合は・・・。

2018年7月22日日曜日

産総研の「地質標本館」

(まるで昨日の暑さそのままのような)今朝、電車を乗り継いで、石の師匠と落ち合い、筑波の産業技術総合研究所にある「地質標本館」へ出かけ、常設の「鉱物標本展示」と <プロジェクションマッピング> による「日本列島の立体地質図」を見てきた。

(本ブログ関連:”地質標本館”)

体調を整えて、ゆるりとお出ましして鉱物標本を鑑賞する、まるで王侯貴族の気分で訪問した。なにしろ鉱物趣味は、博物学の時代、貴族の楽しみの一つだったのだから。ちと大げさかもしれないが、リハビリを兼ねて鑑賞から始めることにした。

標本室の鉱物(といっても岩石や化石も展示されている)を、石の師匠と雑談しつつ巡っていたら、関係者(どうやらOBの方のよう)が、面白い話をしてくれた。
・ 鉱物学(標本)に、① 東京を拠点にしたドイツ系の鉱物科学、② 北海道を拠点にしたアメリカ系の鉱山開発の実学、③ 鉱物趣味を発展したものの3つの源流があるそうだ。(②について初めて聞いた)
・ 標本室の日本産鉱物標本は、鉱山業者が寄贈してくれたものが多く、他所の展示物と比べて大きい。(仰る透り!)
・ 日本に自然史博物館がないことを強調された。(仰る透り!)

(本ブログ関連:”自然史博物館”)

次に、昨日のブログに記載した、「プロジェクションマッピング」技術を利用してリニューアルされた「日本列島の立体地質図」を見た。従来と同サイズだが、白色の日本列島立体模型に、天井からプロジェクションマッピングすることで、どんな情報を得られるのか、どれくらいの高精細画像なのか関心があった。わがままな感想だが次の通り・・・。
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・ 子どもたちの食いつきが、正直気になる・・・キャラクター*が地図上を走り回り、紹介から始まるのはどうだろう。
(* キャラクター例:杏桃アンモちゃん・騎士ナイトちゃん)
・ 2分野別に複数の画像情報が用意されて、分野ごと一つずつ選ぶ組合せだが、自由に複数選択できないだろうか。
・ 地質図を時代別、深さ別に順次(重ねる・剥がす)動的表示ができたら面白いだろう。
・ 動的表示の例として、活火山や活断層の災害状況など考えられるが・・・。
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以上、技術的なこと(&コスト)を無視しての、しろうと感想をご容赦。

さて、石の師匠は、最近、富井鉱山で(実に上品な)紫水晶を見つけた人の話などして復帰するかどうか悩ませるのだった。

(本ブログ関連:”富井鉱山”)

2019年7月24日水曜日

石川町立「歴史民俗資料館」(鉱物標本見学)

久し振りに始発電車に乗る。鉱物仲間と福島県石川町にある「歴史民俗資料館」*を訪れ、展示の鉱物標本を見学しようというのだ。平日なれば、早朝の電車は混み合うこともなく快適に待ち合わせの駅へ進んだ。

(*)歴史民俗資料館: http://www.town.ishikawa.fukushima.jp/admin/material/

自宅から集合駅までは、多少の曇り空であったが雨の心配はしなかった。ところが鉱物仲間の車に同乗して、石川町に着くまでの間、天気の変化は目まぐるしいものだった。からっと晴れたかと思えば、土砂降りの雨に車体が打たれる、驚くほどの変転振り・・・幸い、石川町に着いて見れば快晴の空だった。

町役場で、歴史民俗資料館の場所を親切に教えていただき、同館へ到着。(昔、事前確認が足りず、休館だったときの正面玄関を思い出す、あのときのまま)

玄関受付で手続きを済ませ、スリッパに履き替えて入館、1,2階にある、石川町産の「ペグマタイト鉱物」をじっくり見学する。とにかく結晶が大きいのだ、そして美しい。水晶、鉄磐柘榴石、鉄電気石、緑柱石、そして普段、馴染みのない鉱物がずらりと並んでいた。石川町産出の「石川石」(柴田雄次・木村健二郎:福島県石川郡にあるペグマタイトで発見・報告、大正11年・1922年)は、地味ながらじっくり見るべき石だ。

上野の「科学博物館」や、つくばの「地質標本館」で見るときと違った迫力がある。この地、この周辺で見つかったという圧倒的な説得力があるのだ。自然に吸い込まれるように見入ってしまった。

(追記)
せっかくお誘いいただいたことだったが、今後の鉱物趣味をしばらく休止することにさせていただいた。帰路の車中、鉱物仲間にこれまでの感謝を繰り返した。あらためて感謝を申しあげる。