鉱物趣味には、鉄道趣味ほど細分化されていないと思うが、いくつかの範疇に分類されるだろう。
ひとつには、鉱物採集がある。自ら行動し、他者より抜きんでた標本を採集することが目的となる。結果として、新発見にも通じるわけで、鉱物分類の一翼も担えることになって、博物学や鉱物科学につながることもできるだろう。採集に一途なひとを見ていると、他の採集趣味のひととどこか心情に共通するものを感じる。まさにマニアたる醍醐味なのだろう。
もうひとつは、採集された鉱物の鑑賞だ。採集から継続して鑑賞してもいいし、鑑賞だけ単独でもいい。博物学や鉱物科学的な分類や分析が主ではない。むしろ結晶鉱物の美しさに感応することにある。ある意味、鉱物採集が貴族の趣味から発達したと聞いているが、貴族趣味として、趣味世界の栄華を今も備えている。
最後に、石を自ら空想のなかに引き込み、石の持つ普遍性や不動性に対しいろいろなイメージを与えることだ。石そのものより、それを楽しむ想像力に価値があるのかもしれない。意味を知らなければ詩的でもある石の名前からイメージを膨らませたり、静止する石を動かしたり、あるいは石にまつわる奇聞からストーリーを紡いだりする。
石好きなひとには、以上のいずれかに執心するひともいれば、ただ何となくこれらを趣味とするひともいる。わたしの場合は・・・。