きょうから、「鳥類保護連絡協議会」(現「日本鳥類保護連盟」の母体)が設けた「愛鳥週間」(5月10日~16日)が始まる。地元の自然観察会に入会して、月2回開催の探鳥会に参加してきたが、正直なところ、この愛鳥週間の催事について意識したことがなかったし、どんなことをするのかよく知らないでいる。
野鳥に関心ある広範な団体に、比較的カジュアルな「日本野鳥の会」がある。こちらは、中西悟堂氏ほか(文芸的色彩のあるひとびとを含めて)により創立されたことで知られている。メディアで、何かをカウントするイベントの際、(野鳥のカウントが得意である)会員が呼ばれたりする。
日本野鳥の会は、愛鳥週間に合わせてキャンペーン「愛鳥週間! 夏鳥をeBird*に投稿しよう」を実施するとのこと。
(*)eBird Japan:世界最大の野鳥観察情報のDB(日本では日本野鳥の会がサポート)
ー https://www.wbsj.org/activity/conservation/ebird/
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・5月10~16日は愛鳥週間(バードウィーク)です。野鳥の子育てが始まり、夏鳥も渡ってくるこの季節、日本野鳥の会では、期間中いつでも好きな時に野鳥を観察し、見た鳥を世界最大の市民科学プロジェクト “eBird” に情報を寄せていただくキャンペーン「愛鳥週間!夏鳥をeBirdに投稿しよう」を実施します。
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日本野鳥の会の主要な創立者である中西悟堂氏(当時82歳)とのインタビュー記事が、「文藝春秋デラックス 野鳥を楽しむ」(昭和53年(1978年)6月号)に掲載されている。その中から、興味ある話題を(長くなるが)抜粋する。
ー 日本野鳥の会 会長 中西悟堂、聞き手 読売新聞編集局参与 高野昭
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(小学生のころ寺に預けられ、厳しい修行を経験して仏教的な自然観を身につけたよう)
・ええ、結跏趺坐(けっかふざ)してますでしょう、すると、好奇心の強いヤマガラやヒガラといった鳥がやってきて、わたしの膝をつつくんですよ。まるで遊びましょうよ、というみたいに、ああ、こんなかわいらしい鳥と一生暮らしてみたいと思いました。
(武蔵野の自然に住み、野生の生き物に接すると同時に、多くの知己を得る)
・わたしの家の隣りが東京女子大学で、(鳥類愛護団体をつくるようにすすめた竹友藻風)彼はそこの英文学の教授をしていました。・・・私に相談もなしに、まず柳田国男さんに話をもちこんだのです。柳田さんも鳥が好きだし・・・。
(日ごろ使いなれている「野鳥」と「探鳥会」を造語している)
・考え出すのに、二カ月かかりました。最初は「山野の鳥」といったんです。柳田さんに、「野鳥というのは、いい言葉を考えてくれましたね」とほめられた。「探鳥会」という言葉も私がわたしが作ったのです。もっとも、はじめはこれも「鳥類見学旅行」といっていた。
(江戸時代と比べて、明治以降は鳥の暗黒時代)
・明治になって、「御留場(おとめば)」**の制度がなくなると、抑えられていた連中がワッと猟欲へかられる、そこへ村田銃が入る、的になりやすい鳥をどんどん撃とうというので大型の鳥は姿を消した。ツルは本州からいなくなってしまう、トキも佐渡や能登に隠れてしまうといった惨状でしょう。
それから、羽毛を輸出するために、鳥島のアホウドリが五百万羽ほど殺されている。アホウドリというのは少しのろい鳥で、人間のそばへ首をさしのべて寄ってくる、それをこん棒で殴って、どんどんトロッコで港へ運ぶ。本当にひどいものですよ。ですから、「鳥獣保護法」***が戦後にできるまでは鳥の暗黒時代です。
(戦後、空気銃の普及による被害)
・戦後は、農薬が散布したために、鳥の生命がどんどん絶たれている。それから、昭和二十五、六年には、空気銃が大流行した。そのころ許可を受けた空気銃は三十万丁、ヤミが百万丁。一人が一年に三十羽殺すと、三千万羽の鳥を殺している計算、加えて昔からカスミの被害も年に三千万羽くらいにのぼる。
(欲を六分に、心を風雅に)
・欲を六部くらいにして、もう少し風雅をもったらどうか、と思うんです。・・・
・不思議なことに、人間が澄んだ気持ちで近づくと鳥もよってくるんです。邪悪な気持ちだと逃げてしまう。そしてまた、鳥ほど悦ばしげに動いて、歌う動物はいないでしょう。あらゆる生物のうちで、もっとも幸福な生活をしているのではないですか。そんな鳥の生活をお手本にして生きてきたような気がします。
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(**)御留場: 一般の狩猟を禁止する場所。江戸時代、将軍の狩猟場をいう。
(***)1896年(明治28年)成立の「狩猟法」は、1963年(昭和38年)の法改正で、「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に名称を変更した。
地元の公園をフィールドにする探鳥会はありがたいことに、初心者が初心者のまま低迷していても、居心地悪くならず許容してくれる。