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2021年1月16日土曜日

(資料)九尾の狐の起源

本ブログの関心テーマのひとつに「九尾狐」(尾が九つに分かれた妖狐)がある。歌手イ・ソンヒが、愛弟子のイ・スンギが主演したテレビドラマ「僕のガールフレンドは九尾狐」の中で、テーマ曲「狐の嫁入り(여우비、天気雨)」を歌って以来のことだ。同ドラマは、2010年8月11日~2010年9月30日まで、韓国のSBSで放送された。

(本ブログ関連:”九尾狐”、”キツネ”、”僕のガールフレンドは九尾狐”)

九尾狐の起源は、中国古代の地理書「山海経」にまでさかのぼられるというのが通説である。人の命をあやめる妖狐であるが、狐そのものには異類婚姻譚につながる妖しい魅力、切なさがある。

(本ブログ関連: ”山海経 狐”)

ところで、韓国芸能トーク番組「英雄三国志(영웅삼국지)」に出演した韓国・中国人が互いに起源を主張したことがある。同番組は、2017年7月7日~2017年8月25日まで、韓国のテレビ朝鮮で放送されたが、最近同番組の再放送でもあったのだろうか?

(参考)
韓国経済の記事「『英雄三国志』チョン・ヒョンドン vs 張玉安、禁断の論争勃発...『我々が元祖だ』」(2017年7月21日)
( https://www.hankyung.com/entertainment/article/201707211372k )

このところ中国・韓国の起源論争に、キムチや詩人などが俎上に乗っていて、九尾狐も中国サイドのメディアから次のように蒸し返されたようだ。

中国のRecord Chinaの記事「『九尾の狐』も韓国のもの? 中韓で起源めぐる論争相次ぐ ― 中国メディア」(2021年1月14日)は次の通り。
( https://www.recordchina.co.jp/b867100-s0-c30-d0146.html )

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2021年1月13日、中国メディアの新浪娯楽は、伝説上の妖怪「九尾の狐」の起源をめぐり、韓国のテレビ番組で紹介された「九尾の狐の起源は韓国」という主張に反論する記事を公開した。

記事によると、韓国・TV朝鮮の番組「英雄三国志」の中で、中国出身のゲストが「九尾の狐」に関する中国の伝説を紹介した際、韓国出身のゲストが「九尾の狐の起源は韓国であり、韓国の妖怪」と反論した。また、韓国のネットユーザーが「『九尾の狐』が生息する『青丘』とは韓国のことを指す地名だ」と説明を補足し、「九尾の狐」の起源が韓国だと主張したという。

記事は「九尾の狐」の歴史上の記録を紹介。該当する最古の記録は、中国古代の地理書「山海経(せんがいきょう)」にあり、「九尾の狐」の容貌や生息地などが明確に記載されているとした。「山海経」の書物自体の成立年代や作者ははっきりしておらず、研究者の間では前漢(前202~後8年)の学者である劉向(りゅうきょう)とその息子・劉キン(キンは「音」と「欠」を合わせた文字)が編纂し、まとめるまでに長い時間をかけて、複数の学者が加筆、修正してきた書籍と見なされている。現存する最古の「山海経」の版本は、西晋(280~317年)の学者・郭ハク(王へんに僕のつくり)が注釈を加えた「山海経伝」で、同書の記述によると、「九尾の狐は太平の時代に現れ、人々に幸福をもたらす空想上の霊獣であった」とされる。

ほかにも後漢(25~220年)時代の儒学書「白虎通義」や歴史書「呉越春秋」などにも、同様の記録が確認できるという。しかし、明(1368~1644年)の時代に誕生した小説「封神演義(ほうしんえんぎ)」や、清(1644~1912年)の時代に成立した白話小説の影響により、今の「九尾の狐」の妖怪のイメージが広まったとのこと。日本の「玉藻前(たまものまえ)」インドの「華陽夫人」も、中国の「封神演義」の「妲己(だっき)」の影響を受けていると記事は紹介した。

記事によると、韓国でも「九尾の狐」は「クミホ(九尾狐)」の名で知られており、美少女の姿に化けて男性をたぶらかし、命を奪う存在として物語やドラマなどで何度も描かれている。韓国には、李氏朝鮮(1392~1897年)時代の「揆園史話(きえんしわ)」という書物に「九尾の狐」に関する記録が確認できるが、同書は多くの歴史学者から史料価値がない「偽書」と認定されている。また、「山海経」と同じ年代の記録は、韓国側では確認できておらず、「九尾の狐」が生息している「青丘」の地名も伝説上の東方の土地という意味だけで、時代によっては山東半島や遼東半島のことを指すこともあるという。

記事は最後に「中国文化が周辺国家に深い影響を与えた学説は、以前から提議されており、学界では、九尾の狐などの中国発祥の妖怪伝説も東の海を渡って、韓国や日本へと影響を与えたとみている」「九尾の狐の由来を知らないなら、『山海経』を何度も読んで、中国の伝統文化を理解した方がよいだろう」と述べた。(翻訳・編集/原邦之)
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