思い込みほどやっかいなものはない。
インド領「アンダマン・ニコバル(Andaman and Nicobar)諸島」*にある「北センチネル島(North Sentinel Island)」に上陸した米国人宣教師が、外界との接触をかたくなに拒絶してきた住民によって命を無くしたという。(AFP通信「AFPBB」(11/24)記事より)
(*)アンダマン・ニコバル諸島: 思いのほかミャンマー(ビルマ)の南沖に近い。
インド政府は、北センチネル島の住民の意思を尊重して(現代人側から病気感染させぬ配慮などで)、今も接近することなく彼らの生き方に任せているという。現代人と違った、自然と融合した独自の世界観をまるごと保護・尊重しているようにも見える。
大航海時代、領土的な野心を満足できる広大でかつ充分な自然産物があれば、とっくに植民されていたことだろう(結果、島民は歴史から知られることなく消え去ったかもしれない)。幸い、現代は宗教に名を借りた侵食や、進化論的な支配を正当化しない。インターネットは、無謀な行動をすぐに世界に知らせ、多くの目で判断することができる。
善意は、他者の自然観、信仰、言語、生活様式、暦行事といった、あらゆる文化を奪い去るかもしれない。これからも、残念なことだが、心配りもない正義や思い込みから無謀な行動が続くだろう。