東京国立博物館で催された特別展「ほほえみの御仏 二つの半跏思惟像(はんかしゅいぞう)」に行ってきた。実は、この特別展、今日で終了するのため、混み合いを恐れて、開館9時半前の行列に並んだ。朝から日差しがぎらぎらとしてきつかった。
入館待ちの行列は最終日のせいだろうか、この時点で、チケット事前所有者の列と、購入待ちの列があり、それぞれ横2人並びで20m位いの長さだった。とはいえ、照明を落とした展示室はそこそこ混んでいたが、眺めるに不都合はなかった・・・まだ朝方だったからか。
今回は、日韓国交正常化50周年記念ということで、二つの半跏思惟像、すなわち、日本側は中宮寺所蔵のもの、韓国側は中央博物館所蔵のものが展示された。中宮寺の弥勒菩薩は、尼寺にふさわしい穏やかな眼差しをして、つつみこむような慈愛を感じさせる。中央博物館の像は、金属鋳造の強さと穏やかさを共存させていた。
中宮寺の像は、従来「弥勒菩薩」としてなじんできたが、今回の展示が「半跏思惟像」という造形に焦点を当てたためだろうか、「弥勒菩薩」の言葉があまり聞こえてこない。また、西洋美術への対抗的表現の印象がある「アルカイック・スマイル」という懐かしい言葉もあるが、口元の造形について、中宮寺像は控え目であり、中央博物館像はやや明示的である。
中宮寺の像は、日本で一番親しまれている弥勒菩薩像だろう。寄木のためか曲線に温かみがある。柔和で伏目がちな尊顔は、見る者の心をそっと受け入れる慈愛に満ちている。(見る者に鋭く反問する、あるいは自省を促す鋭さを見せない)
インド、ガンダーラの仏教の造形が、歴史を通じて日本に結実したように思えてくる。(芸術、鑑賞という言葉・視点が当てはまらない態度で)久し振りに心清まる参拝をした気分だった。
(Youtubeに登録のPygmalion0314に感謝)