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2015年12月24日木曜日

インディアン・ラブ・コール

昔は筆でしたためた恋文(手紙)、まさか電信はなかったろうから飛ばして、次に来たのが電話だろう。その電話機は、近所に一台に始まり、家庭に一台となり、今は一人に一台の携帯となって、進化を遂げてスマホとなった。わたしはそれに追いつく気もなく、ガラケーを使っているが。

あの重いアナログ据置電話機を使った思い出深い映画場面がある。「パリ、テキサス(Paris,Texas)」(1984年)だ。隣り合わせながら知らず、受話器を通して語りかけるその先に埋まらぬ空白があった。電話がまだ、言葉をひとつひとつ選び費やすことができる時代のものだった。だから映画に共感できた。(イ・ソンヒがデビューしたころの映画だ)

受話器には、恋文の行間にもひとしい息遣いがあった。想いめぐらせ重ねるに充分だった。それなのに、「Indian Love Call」(Slim Whitman、1954年)ときたら、恋の電話に何と呑気なのだろう。もっと昔の時代なのに。火星人をなぎ倒すファルセットが癇に障ったのだろうか、監督ティム・バートンの映画「マーズアタック(Mars attacks!)」(1996年)に採用されたのだ。

もし、「マーズアタック2」が作られたら、どんな歌が威力を発揮するのだろうか。楽しみである。


(Youtubeに登録のLeonard Nosferatuに感謝)