今日は「天皇誕生日」の祝日である。町内は実に穏やかで、まるで正月のような静けさだ。自然に和らいでくる。緊張することの少ない気ままな身だが、更にのんびりとして緩み、くつろぐ気がする。
なのに日頃、アリスの前を「遅れてしまう!」とばかりに走るウサギのよう振舞って、果たして何に遅れるというのだろう。今日のような静かな一日に、いろいろな思いが浮かび、いろいろと考えさせる。
月日の過ぎるのがあっけないと気付き、やがて年月の経つのは早いと実感する。若い頃は傲慢で、歌舞伎や落語ファンが「先代は」とか「何代目は」とかいう話しをうるさく感じたものだ。それが、今では自然に聞こえる。どうやら、背中が重くなってきたようだ。
子どものころ感性をはぐくんだ土地を忘れがたいが、親の転勤にともなって以来、この地に住みここの空気にすっかり染まった。すみかにふさわしい処と思い定めたようだ。遠に、羽ばたくことのたくらみはないけれど、といって仙人の境地にもいたらない。たわむれに仙人の真似ごとをして、壁抜けしようとしても、頭をごっつんことぶつけるのが関の山だろう。