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2014年3月25日火曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 畑耕し

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/19)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第48回として、「畑耕し(밭갈이)」にまつわる話を紹介した。

まず、ドキュメンタリー映画「牛の鈴音워낭소리)」の紹介から、次のように始まった。
・2008年公開の、農村の<時間>を記録した「牛の鈴音」は、多くの人に感動を与えた。一生、畑を耕した80歳のお爺さん(ハラボジ)と、40年共に生きた牛の「ヌロンイ」が主人公だ。タイトル「牛の鈴音」は、牛の首にかけた鈴(워낭)からきている。農夫にとって牛は単なる家畜でない。田畑を耕し、重い荷物を運ぶ、大切な家族同様の存在だ。耳が遠くなったハラボジも、牛の鈴音だけは聞き分ける。足が不自由に関わらず、ヌロンイの餌の草取りに毎朝山に登る。牛も、平均寿命(15年)をとおに超えて、立つのも難しいほど衰えたが、ハラボジと一緒だと、大木を運び畑も耕す。便利な生活を求める現代だからこそ、静かに時間の流れる古里の風景が心にしみる。

▼ 映画「牛の鈴音」のサウンド・トラックから「タボンネ(따북네)」を聴く。都市生活者の聞く古里のイメージか・・・今様である。

・ハラボジとウロンイは、残念ながらこの世を去ったが、今も山間の村では、牛を利用した畑仕事が行われている。

次に、耕作に使われた牛にかかわる言葉について、次のように説明された。
・古く牛が耕作に使われたのは、4世紀頃と言う。牛は人力より深耕できるため、生産力も高く、農家に大切な財産だった。近年、容易で強力な機械が普及したが、今も山間で牛を利用する訳がある。山の中腹斜面の畑は、機械を運んだり重心を保つのが難しいが、牛は自ら動けるからだ。牛と一体に動くには、互いに通じ合い共感が必要だ。その際に重要なのが歌だ。
・1頭の牛が引く鋤(すき)を「ホリ(호리)」、2頭の場合「キョリ(겨리)」と呼び、左側の牛を「アンソ(안소)」、右側を「マラソ(마라소)」という。古い畑仕事の歌に、マラソとアンソに子供に呼ぶような温かい歌詞が残っている。

▼ 江原道楊口地方の畑を耕す歌(밭 가는 소리)を聴く。牛に語り聞かせて歌う。息遣い、土の香りがするよう。

最後に、済州島の馬を使ったときの民謡を、次のように紹介された。
・農作業で、動物と心通わせる独特な歌に、済州島の畑を踏む歌がある。済州島は石、風、女が多いとされ、「三多島」とも呼ぶ。昔から農作業を行うのも、女性の仕事だった。畑に転がる石を拾い集めて、畑のへりに垣根のように積んで風を防いだ。それでも種が風にあおられることが多かったため、畑に種をまいた後、土中に深く埋めて、しっかり根を張らせるため、馬を使って畑を踏み固めた。済州島だけに見られる農作業方法のひとつで、このときの歌も、他地域では見られない。済州島方言や独特なメロディーが残るこの歌は、伝統が薄れる中で、貴重なものとなりつつある。

▼ 畑を踏む歌(밭 밟는 소리)を聴く。労働の相和す歌は素晴らしい・・・島風に混じって聞こえてくるよう。

・農作業で歌われた歌は、昔の農作業、ひとびとを記録するものとして、重要な価値を持つと言える。