スタジオジブリのアニメ作品に、2006年公開の「ゲド戦記」(監督:宮崎吾朗=宮崎駿の長男、原作:アーシュラ・K・ル=グウィン)がある。先日、ラジオの深夜放送で、劇中挿入のヒロインの歌「テルーの唄」*(作詞:宮崎吾朗、作曲:谷山浩子、編曲:寺嶋民哉、歌:手嶌葵)を聞いた。
(*)「テルーの唄」歌詞付き Youtube: https://www.youtube.com/watch?v=OdY1BR0gZls
正直、このアニメは未見だし、原作を読んだこともない。ただ、明かりを落として広がる渺茫(びょうぼう)とした闇の中で、深夜ラジオから流れるこの歌に聞き入った。寝床で聴取しながら、何となく漂泊感、デラシネ(根無し草)の気分に耽ったりもした。
ちなみに、Amazon掲載の本曲のCDに、次のような解説がある。(多分、CDの解説カードに書かれているものだろう)
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どんな言葉も追いつかない、彼女のすばらしい歌声は、時に切なく時に優しく、聴くものの気持ちを掻き立て虜にして行きます。心に深く沁みいるその歌は、懐かしさと切なさを現代人の心に覚えさせる現代のフォークソングとも言える楽曲に仕上がっている。
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「テルーの唄」の歌詞にある「心を何にたとえよう」というフレーズは、萩原朔太郎「純情小曲集」(大正14年、1925年)**のロマンチックな詩「こころ」から着想を得たといわれている。
(**)青空文庫: https://www.aozora.gr.jp/cards/000067/files/1788_18740.html
「こころ」は、彼の少年時代の作で、「やさしい純情にみちた過去の日を記念するために、このうすい葉つぱのやうな詩集を出すことにした。」そのひとつであるようだ。
萩原朔太郎「こころ」 (← ~):Google Search Labsより
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こころをばなににたとへん
こころはあぢさゐの花
ももいろに咲く日はあれど
うすむらさきの思ひ出ばかりはせんなくて。 (← どうにもならない)
こころはまた夕闇の園生のふきあげ (← 夕闇に浮かんでくる公園の噴水)
音なき音のあゆむひびきに
こころはひとつによりて悲しめども
かなしめどもあるかひなしや (← どうにもならない)
ああこのこころをばなににたとへん。
こころは二人の旅びと
されど道づれのたえて物言ふことなければ
わがこころはいつもかくさびしきなり。
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