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2012年8月28日火曜日

みつばちの記憶

思い出というのは実際不確かなもので、母親の背におぶられた写真から、記憶の底にあるとは思えない背景の町並みを定着して確信に変える。幼ければ幼いほど、原風景や心象は刷り込みに似て形作られるのかもしれない。

それでも、そんな親が伝える写真や言葉もないのに、自分だけの心にある光景がある。
ずっと幼い3、4歳の頃だろうか、母の干す白いシーツがまぶしい、そんな小さな庭先に咲いたヒナギクの花弁に蜜を求めて飛んでくるみつばちを素手で捕まえていたのだ。それも、手のひらに包むほどにたくさん。不思議なことに、みつばちはどれも刺さなかった。まるで眠るようにじっとかたまっていたのだ。
そんな思い出は、思い込みで作られたのではと解してしまいそうだが、間違いのない懐かしい記憶だ。

公園の花壇にみつばちを見るたび、手のひらにじっと一緒にいたみつばちの記憶がよみがえる。