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2009年11月6日金曜日

結晶世界の夢

子ども時代は夢を見るものだ。机の上で手のひらの石を眺めていた。スタンドの明かりをつけると、握りこぶし大の石(母岩)に群がった、数ミリ立方体の黄鉄鉱の結晶が突然反射した。光を受けた結晶面は黄金色に輝き、影の側は結晶を深く母岩にはりつけていた。

眩しく反射する黄鉄鉱の結晶群は誘う。虫眼鏡をとりだして、まるでルーペを使うように目に近づける。冷たい凸レンズの向こうの黄鉄鉱の結晶は、さらに巨大化して輝きをます。ゆっくりと、結晶世界を回転させる。ゆっくりと。あらゆる方向へ光のおもむくままに廻していくのだ。

そのとき、レシプロエンジンの音が聞こえてくる。そうだ、この結晶世界の上空を泳いでいることに気付く。機体を揺するようなレシプロエンジンの排気音は途切れることなく重く響く。石の表面を縫うように滑空しては、谷をまたぎ、尾根を越え、地平線を目指していく。すると、またその先に新しい結晶の世界がひろがる。

結晶世界に降下して低空をかすめるとき、手の揺れる分だけエンジン音が轟く。ゆっくりと反転上昇して高度を上げると、結晶世界はようやく落ち着きを取り戻した。光と影の無機質の結晶世界をいつまでも飛翔しつづけた。

(余談)
黄鉄鉱の英名Pyriteは、打撃で火を発する意を持つ。YouTubeの「Winterplay & Ibadi - Come Together」はそんな感じかな。
(YouTubeに登録のWinterplayboxに感謝)

2019年10月23日水曜日

結晶洞窟

地下深くに結晶に覆われた洞窟がある。巨大な結晶で、まるでSFに出てきそうな・・・そういえば、レンタルDVDで見た映画「ザ・コア」(地球の中心部分に核爆弾を仕掛けて、地磁気異常から地球を救うというとんでもない話だが)に、地中に水晶が林立する洞窟が登場した。まさに「地底探検」のよう。

地底に、荒唐無稽ではなく、素晴らしく巨大な結晶が存在する洞窟がある。NHKは洞窟好きで、たびたび国内外の洞窟探検ドキュメンタリーを放送する。その中に、洞窟最奥の壁一面に「硫黄」結晶が張り付いている、メキシコ鉱山「ヴィラ・ルース」の映像が紹介されたとき、硫黄好きな私は大いに喝采したものだ。再放送をVHSビデオに収録したりして・・・。

同じく、メキシコの鉱山「ナイカ」の洞窟(「クリスタル洞窟」という)の結晶についても放送された。透明度のある「石膏」の柱状結晶が複雑に交差しているのだが、それはSF映画もどきで巨大。調査研究の人間の姿が小さく見えてしまうほど。まるで舞台装置のようなスケールなのだ。

(本ブログ関連:”ヴィラ・ルース”、”ナイカ”)

今回、ニューズウィークの記事「ヨーロッパ最大の『結晶世界』、『プルピ晶洞』一般公開される」*(10/23)に、<スペイン南部の「プルピ晶洞」(1960年代に閉山した「ミナリカ」鉱山で、最近1999年に発見された晶洞>が紹介されている。結晶は、メキシコの「ナイカ」鉱山と同じく透明度の高い「石膏」で、尖った結晶構造に見える。
(*)記事: https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/10/post-13248.php

両者の「石膏」は、透明度のある鉱物「透明石膏(セレナイト)」の結晶で、いわゆる石膏像にあるような真っ白なイメージと違う。ナイカと比べて、プルピ晶洞の透明石膏は規模が小さいようだが、今年の8月5日から一般公開されているという。ナイカの場合、地底深くあって研究者にも調査困難な環境のため、現在は地下水を入れ戻しているという(鉱山閉山のためとも)。その方が、貴重な結晶の保存のためにもいいことだろう。
ちなみに、観光ガイドにヴィラ・ルース洞窟の紹介があるが、硫黄結晶のできている場所は「硫化水素ガス」が充満しているわけで観光は絶対に無理・・・安全で観光可能なエリアが洞窟にはあるのだろう。

Youtube映像
・ナイカ鉱山(BBC): https://www.youtube.com/watch?v=HeiMfLmJtzk
・プルピ晶洞(EFE): https://www.youtube.com/watch?v=dItEmYzZknI


(追記)
ニューズウィークの記事タイトルにある「結晶世界」という言葉がたまらない。もし地上世界が結晶化したらどうなるか・・・、恐怖であり狂気的な光景だが、見てみたい気がしないわけではない。J.Gバラードの「結晶世界」は、作家の評価から文芸的とすることもあるようだが、鉱物好き(つまり結晶好き)にいわせれば、SF+アクション風な映画感覚で楽しんだ。

(本ブログ関連:”結晶世界”)

2013年4月28日日曜日

結晶の世界

アフリカの奥地で、世界が結晶化する事件が起こり、そこに関わる登場人物や生き物たちが透明な硬質状の膜に覆われて結晶化していく・・・あるいは、ある病原体に感染したひとびとの血液がサラサラと顆粒状に結晶化する。

結晶の美しさは、規則性をもって析出したとき美しい・・・ことに透明で直線的な稜や等角な面があれば更によい。

アルプスの奥、氷河の上に転がった岩肌に、しっかりと根付いてきらめく水晶・・・辺りの雪景色から、これが氷の化石だと思っておかしくない。

わたしたちに"CO2"の世界があるように、"SiO2"の世界があってもおかしくない・・・だから、"Si"を体の構造に持つ生命体がいるのではと面白おかしく語った文章を読んだことがある・・・でも、体が硬いだろうというのがオチだったけれど。

そうだね、人間の体の中に石ができると困ってしまう・・・腎結石、尿結石、それに石頭。

(本ブログ関連:"結晶世界")

2013年6月26日水曜日

結晶洞窟のこと

何気なくテレビのチャンネルを回していたら(古い表現だねえ)、NHKで以前放送されたもので、プレミアムアーカイブスの「ハイビジョン特集 驚異の結晶洞窟」に行きあたった。

鉛、亜鉛を採掘するメキシコのナイカ鉱山の洞窟で偶然発見された、まるで人間がミニチュア世界に置かれたような錯覚をする巨大結晶群を見ることができる。洞窟ドキュメントが大好きなNHKは、この巨大結晶について、これまで何度か取り扱っているが、ここではその成因などについて興味ある話題を提供している。

・鉱山採掘のため、地下水を排出したことにより洞窟が発見された。
・石膏の巨大結晶中に存在する水の中の空包を基に、結晶が50℃代でできたと推定される。
・巨大結晶の折れた部分が再結晶化する速度から、結晶の起源を50万年前と推定される。
・そもそも洞窟は、硫化水素を食性とするバクテリアが排出した硫酸で侵食拡大したと推定される。

最後のバクテリの存在の例証として、同じくメキシコのヴィラ・ルース洞窟が紹介されたが、あの美しい硫黄結晶の空間が見られなかったのは残念。わたし的には、硫黄結晶が好きなんですが・・・ナイカの石膏結晶は余りに巨大過ぎて想像を超えてしまう。まさに、上記番組が主軸にした、ジュール・ヴェルヌの「地底探検」の世界だ。

(本ブログ関連:"結晶洞窟")

2011年1月9日日曜日

石の世界(3)

入れ子になっている石

ロシアの入れ子人形「マトリョーシカ」は、中空の入れ子構造になっていて、内側に我が身と相似の小型の人形が次々収まるようになっている。どこまで入れ子が繰り返されるのかと戸惑ったりする。
世界を細分化した先に途方もない世界がまた広がっているという、輪廻に似た無限の循環を空想したりしたことはないだろうか。手塚治虫の漫画「火の鳥」にも、入れ子に循環する宇宙が描かれていたように記憶する。
尾崎放哉は随筆「」に、「私はしばしば、真面目な人々から、山の中に在る石が児を産む、小さい石ツころを産む話を聞きました。」と伝聞している。

石の中に見えるもの

「水晶」に細い草が入っているように見える「草入り水晶」は、実は「緑泥石」などを内包したものだが、どう見ても水晶中に草が在るようにしか思えない。昔の人が草入りと考えたのは自然だ。石と生命体が共存するという、人知の及ばぬものを見た驚きもあっただろう。
そこで、石の中に草以上のものの存在を想像する。例えば、「水入り瑪瑙」という決して珍しくない構造に、そこに魚がいると幻想するのもおかしくはない。
子どもにとっては、魔女が水晶球を通して、彼方の世界を覗き見ているほうが分かりやすいけれど。

(本ブログ関連:”石の世界”、”石の世界(2)”、”結晶世界の夢”)

★★★★★ 孫が、母方の家族と一緒に沼津漁港に行き、夕日の海を凛々しく眺めている写真が届いた ★★★★★

2010年12月3日金曜日

NASA発見の細菌(P→As)

マイコミジャーナルの記事(12/3)によれば、NASAの調査の結果、「塩湖において、リン(P)の代わりにヒ素(As)を用いて生命活動を維持することが可能な細菌『GFAJ-1』を発見した」とのこと。

この細菌(GFAJ-1)は、周期表の同族(15列)の元素の、リン(P)の代わりにヒ素(As)を構成物として取り込んでいるという。そんなことが許されるなら、SF風にいわれることだが、同じく同族(14列)の炭素(C)の代わりに珪素(Si)が取り込まれたら、J.GバラードのSF小説「結晶世界」もありかもしれない・・・。水晶(SiO4)のように輝く世界が・・・。でも、小説中、腕から結晶を剥がす描写は痛そうだったしなあ。

ところで、この細菌(GFAJ-1)の代謝系はどんな仕組みなのだろうか。そして、砒素は絡んで(置換して)いるのだろうか。ついつい真核生物の、ATP(アデノシン三リン酸)によるエネルギー代謝イメージが対比して浮かんでくる。知りたいところである。

(本ブログ関連:”結晶世界”)

2010年7月5日月曜日

輝きの科学

先日、NHK教育TVの番組「極める!」で、「佐野史郎のなぞの石学」(全4回)が始まったことを本ブログに記した。

(本ブログ関連:6/28

第2回の今日は、「輝きの科学」である。<鉱物学>の立場で、堀秀道氏から鉱物結晶の美しい世界が語られた。堀先生は、鉱物科学研究所長であると同時に、鉱物同志会の会長をされている。
番組テキストの解説とは別に、番組内では、美しい鉱物結晶の紹介や、瑪瑙採集がレポートされた。

<堀先生による鉱物の解説>
・鉱物標本の瑪瑙(めのう)、ペンタゴン石、霰(あられ)石、水晶、蛍石(紫外線照射で蛍光を発する)などの紹介。
・鉱物の属性について、金属光沢(反射)/非金属光沢(例:透明な水晶)、結晶と組成(水晶と瑪瑙は組成が同じだが結晶が違うこと)、鉱物生成の温度と圧力などについて説明。
・自然の水晶の種類と、合成水晶の現代の利用を「水晶時代」という言葉を使って紹介。

<佐野史郎氏の石への思い入れ>
・SF小説「結晶世界」(J.Gバラード)から鉱物結晶への思いを紹介。
・検波器に方鉛鉱を利用した鉱石ラジオの実験。

<お二人による瑪瑙採集レポート>
・三浦半島某海岸での瑪瑙の採集。
・瑪瑙採集のポイント:①大き目の砂石がある波打ち際、②透明度のある石、③縞模様がある石
・瑪瑙の生成について、火山の(温泉)熱水の珪酸成分が冷えてできることの紹介。

2017年7月28日金曜日

鉱物好きの心理

対象が「鉱物」というだけかもしれないが、鉱物好きの心理にどんな側面があるか、思いつくまま列挙する。鉱物好きのそれぞれにとって、以下の好奇心が多かれ少なかれ織り交ざっているだろう。とはいえ、鉱物マニアの集いでは、「理科(科学)的好奇心」だけを語らざる得ない。他の好奇心については、口外せずひそかに心にしまっておくようだ。

理科(科学)的好奇心:
・いわゆる鉱物マニアが賛同する、まさに好奇心の本流であり、基層を成す心理だろう。(アマチュアの世界)
・博物学の出発点であり、科学との接点を大事にする科学信仰がある。(科学者を頂点にしたピラミッドの世界)
・他の自然物(化石、昆虫など)採集マニアと太い共通点がある。(古典分類学の世界)

貴族所有的好奇心:
・ヴィクトリア/欧州貴族風な博物学を母胎とした、世界自然を把握(征服支配)する手段としての収集と陳列。
・財力と知恵が合一したサロン的世界に酔いしれることができる、うらやましい世界。
・知的孤高を貴種とする高踏的な社会。意識せずとも、世間から自然に遠ざかる。

美意識的好奇心:
・鉱物好きの原点に、結晶の美しさがあって、「水晶に始まって、水晶に終わる」とか。
・石から雲や水が湧き出るのを見るような超自然で幻想的(文学的)世界へ誘う好奇心。
・石の姿形(形態)に、自然との抽象的相似を感じとる凝縮された、水石的古来の美意識。

産業的好奇心
・鉱物と宝飾が混在した世界で、とくに女性の宝石好きとつながる。男は黙って見守る。
・鉱物を社会に産業として応用する。実は、好奇心を経済的に支えてきた土台骨。鉱物マニアは黙って見守る。

神秘的好奇心:
・石に霊的力(Power)を感じとる、鉱物好きにとって近寄りがたい、外来種グループ。


(本ブログ関連:”鉱物マニア”)


(付記)
鉱物採集マニアについて
・国内産の鉱物標本を最重視する。(完全な結晶、大きな標本は自慢になる)
・自分の手で採集した「標本」にこそ価値を置く。(仲間との標本交換もあるが)
・標本に「鉱物名・鉱山名」など記載した「ラベル」が必須。(日付は特に重視しない)
・具体的な「採集地点(位置)」については、仲間内でも秘匿するケースがある(多い)。
・鉱物鑑定(鉱物名を判別)能力により、身分はヒエラルキー化される。
・採集の際、身の丈に合った量を心掛ける・・・むやみに産地を掘り返し大量獲得しない。
・結局、健康でないと採集活動は続けられない・・・しみじみと。

2010年12月31日金曜日

石の世界

國木田獨歩の掌編「石清虚(せきせいきょ)」(青空文庫掲載)を読んで石幻想にひたってみたい。

手元にある石に世界が閉じ込められていると夢想できるなら、立派な石狂いです。古今東西、手にした石を眺めて、「四面玲瓏、峯秀(みねひい)で溪(たに)幽(かすか)に、亦(また)と類なき奇石」*と鑑賞する者はいますが、命を削いでまで石への愛着が度し難く、いささか狂気じみて周囲を混乱させるなら、彼の心性に応えて、老人がいずこからともなく現われて言うでしょう。「天下の宝といふものは総(すべ)てこれを愛惜するものに與(あた)へるのが当然じや、この石も自ら能(よ)く其主人を選んだので拙者も喜(うれ)しく思ふ」*と。でも、石狂いの彼はその言に身を落ち着かせることが結局できないのです。
(*)國木田獨歩「石清虚(せきせいきょ)」

江戸川乱歩の短編「押絵と旅する男」(日本ペンクラブ掲載)では、閉じ込められた世界の中に入ってみたい。

石を生み出す鉱物の結晶には、無機的な構造でありながら、光を変化(へんげ)して妖しくきらめくものがあります。光を閉じ込め放射する結晶の世界に身を置いてみたいという誘惑にかられた経験はおありでしょう。静謐な、そして熱を感じさせない世界に。でも拍動するあなたの血管の音が聞こえることでしょう。
羽子板の押し絵よりも精巧に作られた世界は、思い出の兄が双眼鏡で探し当てた人形と共にこもった処なのでしょうか。もしかしたら、其処は思い出語りの老人が構築した投影世界かもしれないのです。物語の最後に、「私の気のせいだったのか、押絵の人形たちの顔が、少しくずれて、ちょっと恥かしそうに、唇の隅で、私に挨拶の微笑を送ったように見えたのである。」**と。押し絵の世界は、本当は生きているのかもしれません。
(**)江戸川 乱歩「押絵と旅する男」

2026年1月26日月曜日

新鉱物

朝のテレビで、群馬県の「茂倉沢鉱山」で新鉱物を発見したというニュース知った。同鉱山は、マンガン鉱床にあり、マンガン鉱物の産地で知られている。ただし、行ったことがないので、以前、石仲間からロードナイト(バラ輝石)の標本をいただいたことがある。

マンガン関連の鉱山で、都内で最も近場といえば、JR青梅線の終点「奥多摩駅」裏の山にある「奥多摩鉱山」だろう。図鑑にあるような、桃色~紅色にいたる各種マンガン鉱物を期待はできないが・・・。

(本ブログ関連:”新鉱物”、”鉱物趣味”、”鉱物好き”)

鉱物趣味の醍醐味は、現地鉱山跡で採集することだ(マニアとしての価値は、あくまでも国内産へのこだわりがある)。つい標本を増やしたくなるものだが、世界で約6.000種日本産は(幸運にも*)その2割ほどあるという。年間の新発見数は、世界で約100種前後日本で1~5種程度という(生成AI Geminiより)
(*)「日本は火山活動プレートの沈み込みが激しいため、狭い国土に多様な環境(高温高圧など)が揃っており、世界的に見ても新鉱物が見つかりやすい非常に珍しい場所といえます。」(Geminiより)

今回の発見は、レアアース(セリウム、ランタン)を含む新鉱物といったことで、話題を集めているようだ。むかし、長野県茅野市金沢にある「金鶏鉱山」に「セリウム・フローレンス」の美しい結晶を大いに期待して行ったことがあるが(結果は残念だった)。

(本ブログ関連:”セリウム”、”ランタン”)

ニュース記事を、記録のため次の通り保存させていただく。(山口大学の研究者が、どうして群馬の鉱山なのか?・・・ なんて思ったりした)

■ ITmedia NEWS
「レアアースを含む“日本産新鉱物4種”、山口大が発見 発見場所は群馬県」(松浦立樹、2026年01月23日 18時51分)
    ー https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2601/23/news117.html
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山口大学は1月23日、レアアースを含む新鉱物4種を発見したと発表した。発見場所は、層状マンガン鉱床である群馬県の茂倉沢鉱山だ。

今回見つかった4種の鉱物の名称は、
・「セリウムバナジン赤坂簾石(れんせき)」vanadoakasakaite-(Ce)
・「セリウム赤簾石」akasakaite-(Ce)
・「ランタン赤坂簾石」akasakaite-(La)
・「ランタンバナジン赤坂簾石」。vanadoakasakaite-(La)
このうち、セリウムバナジン赤坂簾石は2024年10月に国際鉱物学連合が新種として承認、残り3種の鉱物も25年5月に承認された。

石英中にみられる新鉱物「セリウムバナジン赤坂簾石」の暗褐色の柱状結晶 (東京大学物性研究所の浜根大輔博士が撮影)
ランタン赤坂簾石(この研究の論文から引用

4種類の新鉱物は、「バラ輝石」という鉱物を豊富に含む岩石中にある、石英の塊の中に存在していた。見た目はいずれも暗褐色の柱状結晶で、それぞれを区別するには化学分析と結晶構造解析が不可欠だ。またどの鉱物も「赤坂簾石」というグループに分類され、ランタンセリウムなどのレアアースを多く含む。

この研究成果は、科学雑誌「Journal of Mineralogical and Petrological Sciences」に同日付で掲載された**。
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(**)Journal of Mineralogical and Petrological Sciences: JMPS
「New epidote-supergroup minerals from the Mogurazawa mine, Gunma, Japan: akasakaite-(Ce), akasakaite-(La), vanadoakasakaite-(Ce), and vanadoakasakaite-(La)」
    ー https://www.jstage.jst.go.jp/article/jmps/121/1/121_250927/_article/-char/en


そこで、生成AI Gemini に、山口大学の研究チームが群馬県の鉱山で発見したのかについて回答してもらった。

■ Gemini

Q.最近トピックの新鉱物の発見に、何で山口大学の研究者が、群馬の鉱山でと素朴な思いをしますが。
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A.「山口大学の研究チームが、なぜわざわざ群馬県の鉱山を?」という疑問、ごもっともです。物理的な距離を考えると不思議に思えますよね。

これには、日本の地質学・鉱物学界における <「研究の歴史」と、「研究室の専門性」> という2つの大きな理由があります。

1. 日本の「マンガン鉱床研究」の権威だから

山口大学(特に理学部の赤坂正秀名誉教授らのチーム)は、長年にわたってマンガンを含む鉱物や、それらが変成作用でどう変化するかを専門に研究してきました。

  • 茂倉沢は「教科書的な」場所 茂倉沢鉱山は、かつて日本屈指のマンガン産地であり、学術的に特異な元素(バナジウムなど)が濃集していることが古くから知られていました。

  • 「鉱物のカルテ」を読み解く力: 特定の山を深く研究し続けると、「この場所ならまだ未知の組み合わせの石があるはずだ」という予測が立ちます。山口大学のチームは、茂倉沢の石を数十年にわたり精密に分析し続けてきた、いわば <「茂倉沢のスペシャリスト」> なのです。

2. 分析機器の進化と「執念」

新鉱物の発見は、現地で石を拾うこと以上に、<「持ち帰った石をどれだけ細かく調べるか」> というラボでの作業が重要です。

  • 数ミクロンの世界: 今回発見された「赤坂簾石」などは、石英の中に埋まった数ミクロン(1ミリの1000分の1)単位の極めて小さな結晶です。

  • 山口大学の設備と情熱: 電子顕微鏡(EPMA)などを使って、その微小な粒の化学組成を一つずつ突き止める根気強い作業が行われました。地元の研究者でなくても、世界最高レベルの分析技術と「新種を見つける」という情熱があれば、遠方の鉱山の石でも世紀の発見に繋がります。

3. 「赤坂簾石」という名前に込められた意味

実は、今回発見された4種類の新鉱物の名前にある <「赤坂」は、この研究を主導した山口大学の赤坂正秀(あかさか まさひで)氏> の功績を称えて名付けられたものです。

背景: 鉱物の世界では、発見者自身が自分の名前をつけることはできません。通常、共同研究者や弟子たちが「これまでの先生のマンガン研究への貢献」に敬意を表して、師匠の名前を新鉱物に冠することが通例となっています。

つまり、<「山口大学の赤坂先生がずっと群馬の茂倉沢を研究してきたからこそ、その恩返しとして新鉱物に名前が残った」> という、非常に熱いストーリーがあるのです。

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2009年4月18日土曜日

結晶洞窟

今回もこのブログの趣旨と異なるが記す。今晩、メキシコのチワワ砂漠の下に生まれた巨大な結晶世界が放送(NHK ワンダー×ワンダー)された。
下記の「(参考)」の雑誌に掲載の鮮明な写真と比べて、動画にはまた違う感動がある。

童話の世界は、銅山の銅が溶けて緑色の孔雀石となり、石の花の幻想を生む。しかし自然界には想像以上に驚異の光景がある。

メキシコのヴィラ・ルース洞窟には、地下から噴出する硫化水素ガスが充満して、洞窟奥壁面をきらめく黄色の硫黄結晶で埋める(「イエロー・ローズ」)。そして今回、メキシコのナイカ鉱山の、硫酸カルシウムを含む地下水から析出した巨大な透明石膏(selenite、CaSO4・2H2O)でできた「結晶の洞窟(Cueva de los Cristales)」が紹介された。
小さな晶洞しかし知らないので、スタジオ同様に大画面で見ることができたら、その規模の大きさを更に感じることができるだろう。 (NHKは洞窟取材が続いている)

(参考)
「ナショナル ジオグラフィック(日本版)」2008年11月号(Vol.11、No.11)に詳細記事がある。

2015年11月6日金曜日

(雑談)自然の美しい形

石好きの理由に、鉱物結晶の美しさがある。直線的で平らな表面をもった様々な晶系が作り出す不思議な世界だ。きれいな結晶にいきなり巡り会うことができるとすれば、鉱山業に従事する者の特権で、坑道で遭遇するケースだろう。そうでない、アマチュアは、選鉱した後に捨てられたズリの斜面で探すだけだ。

結晶を持つ母岩を見当づけて割る。運が良ければ出会いがある。ベテランは闇雲に割るわけではなく、母岩の特徴も知っているので確率も高い。そうでない者は、手当たり次第割るわけで、やがて疲労と空しさが押し寄せて来る。

自然の中で、美しい結晶を探すとき、自然と相似な姿を求めているのだろうか。山、谷、沢といった複雑な地形を考えると、美しい結晶は異様であり異質である。自然の景観とは違った、シンプルでめったに目にすることのない形だ。自然金は金ということで貴重だが、そのままの形は美しいものでない。むしろ水晶の六角柱や玄武岩の節理の方が驚異的なのだ。奇妙なことに、その姿を人工的と例えようとする。

人間の住居で当り前にしていることに、窓は四角で、柱は垂直で、床や階段は水平である。また、ディスプレイだって四角の直線で囲っている。自然の美しさを口にしながら、実際は直線的なものや、水平で平らなものを求めている。現代的だからというわけでもない。昔から、人間の生活には、直線的な造形が採り入れられている。そうでないと不安定で落ち着かない。

自然を唱えているが、僕らは他の動物たちとは違った観念で実際の生活をしているようだ。ぐにゃぐにゃな空間、ルールのない社会に耐えられそうもない動物なのだ。

2013年7月27日土曜日

この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。

ブラジルの肩に当たる、大西洋に面した北東部州の海岸に「レンソイス・マラニャンセス国立公園(Parque Nacional dos Lençóis Maranhenses)」がある。砂漠と見間違えるほどの広大さであるだけでなく、何よりも特徴的なことに、真っ白な砂つぶからできていて「純白の砂漠」と形容されること、雨期に点在する大きな池に、そのときだけ産卵のため魚が出現することを、TBSのテレビ番組「奇跡の絶景ミステリー 地球46億年!大自然の神秘はこう創られた」が紹介した。

15万5000haの公園に広がる砂丘の白砂は、100%石英砂でできている。石英の砂が集まると、雪と同じで原理で、白く見える・・・と解説していたが、幾重にも繰り返される白砂の砂丘世界は想像を超える。室内でテレビ画面から知る、白い世界はどうだったのだろうか・・・太陽光まぶしさ、砂漠の風、気温、白砂の反射光と熱気、そして白い世界の香り・・・直接経験してみたいものだ。

ブラジル北部の地質は火成岩の花崗岩(石英を成分のひとつとする)でできていて、それが地上に押し上げられ、やがて川に削られ、海へ流される。遠浅の海岸に流されついたとき、石英だけが分離され、風の力で逆に内陸へと運び打ち上げられることで、巨大な石英粒の海岸を形成したという。

真白の世界、それはファンタジーのような夢の舞台だ。手にする砂が、白く輝き指の間をサラサラと流れ落ちる・・・まるで、銀河の乳白色の世界を確かめる、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」のようだ。
二人の少年、ジョバンニとカムパネルラが、「銀河鉄道」の停車駅「銀河ステーション」で降りて見た光景を思い出す。

ちなみに、石英の中で透明な結晶をしたものを水晶という。
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カムパネルラは、そのきれいな砂を一つまみ、掌(てのひら)にひろげ、指できしきしさせながら、夢(ゆめ)のように云っているのでした。
「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている。」
「そうだ。」どこでぼくは、そんなこと習ったろうと思いながら、ジョバンニもぼんやり答えていました。

河原の礫(こいし)は、みんなすきとおって、たしかに水晶や黄玉トパースや、またくしゃくしゃの皺曲(しゅうきょく)をあらわしたのや、また稜(かど)から霧(きり)のような青白い光を出す鋼玉やらでした。ジョバンニは、走ってその渚(なぎさ)に行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河の水は、水素よりももっとすきとおっていたのです。それでもたしかに流れていたことは、二人の手首の、水にひたったとこが、少し水銀いろに浮ういたように見え、その手首にぶっつかってできた波は、うつくしい燐光(りんこう)をあげて、ちらちらと燃えるように見えたのでもわかりました。
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2010年6月28日月曜日

佐野史郎のなぞの石学

今晩(22:25~)からNHK教育TVの番組「極める!」で、「佐野史郎のなぞの石学」(全4回シリーズ)が始まった。

第1回は、タイトル「古代のパワーストーン」で、古代日本の神々と石の関係を<祭祀考古学>の立場で、「神話のふるさと・島根県出雲」ほかを訪ねて検証する。山中の自然巨石にいます神々を想う古代人の精神世界に触れてみることからこのシリーズは始まる。(【講師】國學院大學名誉教授…椙山林繼)
ところで、「パワーストーン」という言葉には違和感があるが、流行り言葉を使う番組の苦心の立場として了解しよう。

次回の第2回は、タイトル「輝きの科学」(7/5、22:25~)で、堀秀道先生から<鉱物学>の立場で、美しい結晶世界を教えうけることになるだろう。楽しみだ。うらやましい。
そうだ早速、番組テキストを求めねば。(テキスト:「極める!6・7月」 佐野史郎のなぞの石学ほか)

2026年5月18日月曜日

地質の日(5/10)

今朝のNHKニュースの解説で、今月の「母の日」(5/10)は、合わせて「地質の日」(日本での初の地質図作成)でもあったことを聴いた(NHK解説委員 水野倫之氏)。遅れたが、下記のよう追記する。

(本ブログ関連:”地質図”)

■ 日本記念日協会
「地質の日」
    ー https://www.kinenbi.gr.jp/yurai.php?TYPE=ofi&MD=3&NM=479
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・日本地質学の偉大な恩人(ライマン)B.S. Lyman*(Benjamin Smith Lyman:1835.12.11-1920.8.30;以下ライマンとする)は,1873(明治6)年1月17日来日(副見1990)すると,東京 芝に創設されたばかりの開拓使仮学校札幌農学校-北海道大学の前身)において教鞭をとる.
・一般社団法人日本地質学会が制定。地層、岩石、土壌などで構成される大地の性質である「地質」について、多くの人に理解を深めてもらうのが目的。日付は1876年(明治9年)5月10日に、ライマンらによって日本で初めて広域的な地質図、200万分の1「日本蝦夷地質要略之図」が作成されたことから。また、この日は1878年(明治11年)に地質の調査を行う組織(内務省地理局地質課)が定められた日でもある。
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*Lyman: 米国鉱山技師、アマチュア言語研究で日本語の「連濁」の再発見者。

■ 日本地質学会
「ライマン『日本蝦夷地質要略之図』彩色指定稿」より抜粋
    ー https://geosociety.jp/faq/content0086.html
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新生明治日本の将来に順風を送る幌内炭田群(石狩炭田)の発見報告などとともに,1876(明治9)年5月10日,日本最初の広域地質図幅「日本蝦夷地質要略之図」を刊行して日本地質学史に金字塔をうちたてる.
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鉱物採集から見た地質図
鉱物マニアからすると<鉱物> と、地質図の基本である<岩石>は近いようで遠い。アマチュアの採集家で、鉱物採集はあっても岩石採集とあまり巡り会ったことはない。いってみれば、鉱物結晶のハンティングは、アマチュアの物欲志向があるが・・・それに反して、岩石学はプロフェッショナル(学究的)の世界なのだ。薄片を作って偏光顕微鏡で観察したりするのは大変だから・・・。

鉱物は、独自の結晶構造を持っている。同じ組成でも結晶化の環境によって結晶の構造が異なることがあるが、できあがったものはすべて美しい。それに比べて、さまざまな鉱物の集まりである岩石は、絵の具の色々混ぜ合わせると色彩が地味になってしまう傾向がある。そこにアマチュアが寄ってこない原因があるのかもしれない。

とはいえ、地質からその地域の鉱山資源(石炭・鉄・銅など)が推測される。それを地図上に面で示した「地質図」は、国の興産の礎となる重要な情報源でもある。<地質の日>は、「「日本で最初の広域地質図『日本蝦夷地質要略之図』(B.S.ライマンほか著)が発行されてから今年で150年になります。」(地質標本館)とのこと。

(本ブログ関連:”山師”)

■ 産業技術総合研究所:(つくば)地質標本館
「地質標本館 地質の日関連展示『日本で最初の広域地質図:日本蝦夷地質要略之図』」(2026年4月28日 ~ 6月7日)
    ー https://www.gsj.jp/Muse/event/archives/2026geologyday_event.html
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 5月10日地質の日の由来となった日本で最初の広域地質図「日本蝦夷地質要略之図」(B.S.ライマンほか著)が発行されてから今年で150年になります。これを記念して「日本蝦夷地質要略之図」の原本を展示します。
・展示資料: B. S. ライマンほか著「日本蝦夷地質要略之図」:明治9年(1876年)5月10日 開拓使発行 ほか
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■ Youtube(登録: 茨城新聞動画ニュース)
「 地質図150周年で特別見学会  つくば」(2026/04/27)
    ー https://www.youtube.com/watch?v=2GeVSoFjclU

2024年12月12日木曜日

(資料)金鉱山: 菱刈鉱山

以前、体が丈夫なころ、鉱物採集のベテランの方に従って関東近辺の鉱山を巡った。基本的に閉山した跡地で、旧い「ズリ」*を探しては鉱物を見つけた。採集仲間の一部は、腰の深さまでズリを掘り返す者もいたが、私たちはもっぱら表面採集が中心だった。
(*)ズリ: 鉱山で選鉱後、不用になった岩石の捨て場(=坑道に入れぬマニアの採集場所になる)。

(本ブログ関連:”鉱山”)

ベテランの方は、ズリ場の傾斜地などで、目指す鉱物を含んだ岩石を見定め、ハンマーで割り進める。すると、見事な結晶を取り出すのだ。母岩付きの結晶の何と美しいこと。つねづね思うのだが、いずれの世界でも、ベテランといわれる人は「勘」と「記憶力」**がまるっきり違う。一方、勘どころのない私ときたら、やみくもに岩を叩き割るしかない。
(**)勘と記憶力: 鉱物の鑑別だけでなく、産地の道筋や地形、草木一本についても。

採集地につづく道の途中、つくば市にある産業総合技術研究所の「地質標本館」に立ち寄ったりしたことがある。アマチュアには及びもつかない鉱物標本が陳列されているのだ。いっとき、夢を見ることができる場所だ。分類展示室の順路の終わり出口近くに、(鹿児島県)伊佐郡菱刈町「菱刈鉱山」の「金銀鉱石」標本***が置かれている。いつも見ても感心する。
(***)標本データベース: https://gbank.gsj.jp/musee/#M12212

(本ブログ関連:”金山”)

標本ラベルに、金銀の含有量について「"Ginguro(銀黒)"  ore(鉱石); Au 3,600g/t、 Ag 9,720g/t」と表示されている。トン当たり、金(Au)が 3,600g/t 産出したというのだから、すごい標本だ。

ちなみに、鉱石とは「さまざまな鉱物や岩石が混在している状態のもの」であり、鉱石中に含まれる産業的な鉱物を「有用鉱物」という。
アマチュアが入手する、金を含む鉱物標本は「ギングロ」といわれ、名前の通り黒い筋しか見えないのが普通。金の粒の標本は、川辺で水と大きな皿を使って採取する砂金採り(パンニング)がもっぱらだ。

ところで、Youtubeを巡っていたとき、菱刈鉱山の金採取の紹介があった。
世界的に 1~2g/t のところ、400g/t 採取できる切羽(きりは)の場面があった。なにより、金鉱山の金鉱床に、まさしく潜入できる映像なんて珍しい。

■ Youtube(登録: 鹿児島ニュース - KYT鹿児島読売テレビ、2024年11月5日 20:23)
「【特捜隊】令和の鉱山は驚きの進化!Wi-Fiで遠隔操作も 日本一の金山・伊佐市の菱刈鉱山に潜入」
https://www.youtube.com/watch?v=EjPIx3Chy8o

現在の鉱山経営は、IT技術を使ったいろいろな工夫がされていることも知った。

2012年5月27日日曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 風の岬

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(5/23)に、人物シリーズ29回目として国楽演奏グループ、風の岬(パラムコッ、바람곶を紹介した。

まず、韓国神話から、シャーマンの祖先といわれる捨姫公主(パリコンジュ、바리공주)の話題から始まった。
・娘だけ授かる王は、七番目も娘だったため、娘捨姫公主と名づけ海に捨てる。海亀に助けられて竜宮に育った娘捨姫公主は、やがて病の両親と対面し、命駆けで薬を手に入れ救う。その功績で、あの世を司る神となる。
・風の岬グループは、この娘捨姫公主の神話に着目し、音楽で表現しようと結成された。

▼風の岬による「捨姫シナウイ(바리시나위)」を聴く。現代的な色調はするけれど、十分に伝統的な響きを残していて、楽器を借りただけのものではないように感じる。素晴らしい。

(「シナウイ」について本ブログ関連:"韓国の風景")

風の岬グループについて、次のような紹介があった。
・風と岬が合わさったグループ名には、岬が陸地と海が出会うように、天と地と海が出会う場所から吹いてくる音の風の意味がある。風のように留まることなく、音楽を通じて新しい世界を切り開くことも込められている。
・韓国の神話や説話を、伝統あるメロディーと長短を基盤として、現代的な音楽感性で再創造することを活動の目的としている。

次のように風の岬グループプロフィールが紹介された。
・2004年 映画音楽やミュージカル作曲家で、韓国芸術総合学校伝統芸術院教授ウォン・イル(원일)により結成。
・メンバーは、パク・スナ박순아(カヤグム)、パク・ウジェ박우재(コムンゴ)、イ・アラム이아람(テグム)、パク・ジェロク이아람(インド弦楽器シタール)、そしてウォン・イル(作曲、ピリ、打楽器)の5名である。

▼風の岬グループによる「羅針盤」を聴く。羅針盤は、船だけでなく人生も文化も様々なものを含めたものだろう・・・国楽の新しい方向を示すようだ。

▼風の岬グループによる「ピンビン(빙빙)」を聴く。ちょっと南欧の風味から琴の音にも似て、風がぐるぐると廻ってあらゆるものをミックスするようだ。でも、統合化に向いてしまうのだけは・・・。

(追記)
昨日の、蓮台寺鉱物採集の成果についてメールをいただいた。なんと、採集者のひとりがテルル石(TeO2)と自然テルル(Te)を採集したのだ。「2~3ミリの綺麗なテルル石の板状結晶でまわりに自然テルルが確認できました。大当たりです。」とのこと。
ああ、羨ましい・・・行けたらなあ。

2012年1月29日日曜日

世界記憶遺産

昨日、朝日トンネルの鉱物採集で、いただいた緑柱石の結晶が壊れないように、注意深く新聞紙にくるんだ。それは朝日新聞の11月26日の朝刊紙だった。

新聞紙面には、「炭鉱の記憶再び光」、「田川炭鉱絵 記憶遺産へ」とあり、福岡県飯塚市に生まれて、父親のあとを継いで炭鉱で働いた山本作兵衛氏(明治25年:1892年~昭和59年:1984年)が生前書きためた、炭鉱時代の生活や労働の絵記録を、ユネスコが世界記憶遺産に登録したと掲載している。

今朝、何気なくNHKテレビの「日曜美術館」を見ると、「よみがえる地底の記憶」(再放送:2011年9月11日放送)が放送されていた。上記、山本作兵衛氏の紹介である。同氏は、炭鉱時代の記憶を、文に著したものの(多分生々しい出来事も記したのだろう)周囲の反対もあって焼却したが、思い絶ちがたくあらためて絵詞に残した。墨絵で始め、後に彩色の水彩画にしたそうだ。

美術番組なので最終に、絵に対する山本作兵衛氏と画家との違いまで語られた。見えたものを生きた記憶をたどって描いた立場と、見たものを芸術的に追求する立場である。共感のみなもとが違っているからこそ、山本作兵衛氏の視点を通じて、記憶された時代の生活や息遣いまで実感できるような気がする。


(付記)
今日も地震、地元の体感通り震度3だ。震源が富士山麓(山梨県東部・富士五湖)について、当地で体感したものは、昨年11月10日のM3.3、昨日28日のM5.5、(他にもあったかもしれないが)、そして今日のM4.7である。気象庁の地震情報を見ると、同地域(山梨県東部・富士五湖)を震源とする地震が、昨日から頻発している。
ちなみに、昨年3月11日の東日本大震災のとき、前々日から三陸沖に地震が多発していた。
地震が連続集中するとき、気象庁はどのような見解を出すのだろうか、気になる。

2014年6月9日月曜日

東京国際ミネラルフェア2014

何年振りだろうか、しばらく遠のいていた、「東京国際ミネラルフェア」に出かけた。新宿の小田急第一生命ビルの地階を主会場にして、世界各国(150社以上)の専門業者が鉱物、化石、宝飾素材など展示即売するフェアだ。

今回の第27回フェアは、特別展「ザ・シーラカンス」にシーラカンス及び関連の化石、実物大模型など展示され、公式ガイドブックには、その生態と化石について詳細が語られている。(化石マニアにはたまらないことだろう)
鉱物マニアにとって、何より素晴らしいのは、鉱物図鑑に載っている美しい鉱物結晶と、ここで出会えることだ。それらの産地は日本よりも海外が圧倒的多く、フェア出展者の半数が海外からというのも、むべなるかなだ。

今日の梅雨の蒸し暑さのせいか、それとも運動不足で水ぶくれのせいか、汗が止まらない。タオル地のハンカチがしとしとになってしまったほどだ。何かいいもの(標本)はないかと会場を2周した。

展示ブースには、アマチュア団体のものがあって、次のものを手に入れた。
・東京側団体のブース: 標本「自然鉄」(群馬県下仁田上蒔田)を求めた。
標本断面に、鉄の薄い脈状の筋が見える。綺麗に磨くと、もっとはっきりするといわれた。以前、この産地に団体で出かけたことがある。そのとき、岩の表面にぽつぽつ小さな突起があるもの探せということで採集した。展示品の中から、いくつか金属鉱物を示していただいたが、採集経験のある産地だけに、この自然鉄を選んだ次第。
・京都側団体のブース: 書籍「必携 鉱物鑑定図鑑」(藤原卓編著)を求めた。
サブタイトルに「楽しみながら学ぶ 鉱物の見方・見分け方」とある。何よりうれしいのは、書名の通り、鉱物鑑定、すなわち<同定ポイント>が各鉱物ごとに掲載されていることだ。結晶の形状、劈開(へきかい)の有無、希塩酸に溶けるかなど様々な観点でポイントを示してくれる。そして、<間違いやすい鉱物>に比較点があるなんて、まさに鉱物採集に焦点を当てた、今までにないユニークさを持っている。

(付記1)
鉱物に興味を持ち始めた頃、といっても随分と遅咲きだったが、一体何から・・・と手探りしていたときに出会ったのが、このフェアだった。当初、毎年通っていたが、恩知らずの私は財布と相談しているうちに次第に縁遠くなった。一つに、採集の味を覚えたからかもしれない。たぶん、永遠に手に届かぬ海外産の鉱物より、身近に手元に感じられる国内産に関心が移ったせいもある。

(付記2)
フェアの帰り道、地下道にある書店ブックファーストでDVD「大統領の理髪師(原題:孝子洞 理髮師、효자동 이발사)」(2004年、主演 ソン・ガンホ他)を購入。

2014年8月25日月曜日

緑色の橄欖(かんらん)石

「貧者の金(poor man's  gold)」といえば、金融関連では「銀」、合金世界では「真鍮」だそうだ。鉱物採集では「黄銅鉱」、砂金採りでは「金雲母」がいわれる。

それじゃあ、「貧者のエメラルド(poor man's  emerald)」は何だろうとネットで探すと、宝石「ペリドット(peridot)」*だそうだ。金と黄銅鉱ほどに大きな落差はないと思うのだけど・・・。確かにペリドットも緑色の範疇だが、エメラルドのような絵の具箱の緑色でなく、光の陰に茶褐色を感じさせる、ほどほどに落ち着いた味わいがある。

(*)ペリドットとエメラルドの宝石の歴史話題がFB「Marry Me Jewelry」に紹介されている。感謝。

「ペリドット(peridot)」の鉱物名は「橄欖石(olivine)」。橄欖石は、通称オリビンの名の通り、植物のオリーブ色を思わせる。
私の鉱物・・・好物の一つに、オリーブ樹の実を塩水に漬けたものがある。調子に乗って食べ続けてはいけない。せいぜい一回5粒程度かな・・・ああ、いけない、関係なかった。

橄欖石の有名な産地は、ネイティブ・アメリカン居留地のアリゾナはサン・カルロス、ホットスポットの活きのいいハワイ島海岸、日本では三宅島海岸、けれど何処にも行ったことがない。

どこで聞いたのか、アメリカ人の好きな鉱物の色は緑色という。エコグッズだけでなく、日常のポロシャツにも流行って・・・今じゃ、モードの理論通り、日本でも当り前の色になってしまった。

一般に鉱物標本の橄欖石は、小さな緑色結晶が多様に変化して群がったものが多い。宝石エメラルドのように濃い緑色でなく、ペリドットほどの豪華さはないが、地中マントル上部の記憶を伝えてくれる鉱物のこころざしを感じる。


(Youtubeに登録のjstsciencechannelに感謝)