イ・ソンヒのキャロルアルバム「私たちの物語(우리들의 이야기)」(1991年)に所収の「愛してます 母さん(사랑해요 엄마)」(作詞キム・ミンジョン、作曲ソン・シヒョン、編曲ピョン・ソンリョン/ユ・チヨン)は、情感あふれる美しい曲だ。普通、親子をほほえましく描くことが多いのに比べて、想いを確かめるように歌い上げる。心に母の姿が浮ぶ、まさに賛歌である。
愛してます 母さん、母さんのその微笑を
愛してます 母さん、母さんのそのすべてを
* 隠れたその笑顔の裏に 麗しい皺(しわ)の刻まれたその顔
私にくださった その愛で世界を愛します
愛してます 愛してます
母さんの顔だけ思い浮かべれば 私の心は平和です
(* 以下繰り返し)
音楽サイトIZMの記事「家族として記憶されるわたしたちの歌謡」に再掲されている、「イ・ソンヒ - 『愛してます 母さん』(1991年)」(2011/05 キム・ジンソン)は、この歌について次のように紹介している。
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子どもに向けた<母さん>の愛は、「アンリミテッド」、それこそ無制限だ。厳密に父情とは別の次元の母情. 本来一体から分離して生まれ出た子どもは、<母さん>に(とって)別の分身と等しい。新しい生命を懐妊し、世界の光を見られるようにする<母さん>の存在はそれだけ偉大だ。イ・ソンヒの「愛してます 母さん」は、その偉大な愛に対してただ<母さん>のすべてを愛しているという歌唱曲といえるだろう。
シンセサイザーを主な楽器として、ピアノ、アコースティック・ギター、フルート、ドラム、歌声などを結合した伴奏は典型的な歌謡の感じそのままだ。イ・ソンヒの歌唱は、ゴスペルのように厳粛で敬けんな感じの伝達力で迫ってくる。初めは滑らかに、次第に強い訴える力で<母さん>に対する愛を歌う。「愛してます」という言葉それ以上の何が必要だろうか。常に近くにいながらも、容易に呼んであげられない言葉、「愛してます、母さん」をこの歌で直接伝えてみるのも遅くないだろう。
「隠れた微笑の後にうるわしい皺の刻まれたその顔、私にくださったその愛で世界を愛します。愛してます、愛してます、母さんの顔だけ思い浮かべれば私の心は平和です」、クライマックスという後半部に達すれば、心が涙声になる感動を受けることになるだろう。サウンド的な面で、昔ながらの感性が豊かだけれど清純ながらも生一本のイ・ソンヒのボーカル・パワーをアピールする力は実にすごい。チェ・ブラムとチョン・ヨジンのデュエットで有名な「パパの言葉(아빠의 말씀)」(Anthony Quinn & Charlieの「Life itself will let you know」の翻案曲)と並んで、他の一方で親子の情を交わす代表的な賛歌(さんか)である。
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