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2014年12月31日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 勧酒歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(12/24)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第86回として、妓生が歌う酒を勧める歌「勧酒歌(권주가)」にまつわる話を紹介した。

まず、パンソリ「興甫歌(흥보가)」でも、酒を勧める「勧酒歌」の場面があることを次のように紹介された。
・国楽に酒と歌を楽しむために妓生が歌う「勧酒歌」がある。パンソリ「興甫歌」にも勧酒歌の話が出る。
・ツバメが運んできた瓢箪の種のおかげで大金持ちになった興甫(흥보)の家に、兄ノルボ(놀보)が訪ねる。ノルボの家から追い出されて以来、始めて兄弟一緒に食事をしたとき、馳走を前に興甫がノルボに酒を勧めるが、ノルボは歌がないと酒は飲めぬと醜態をさらす。勧酒歌は、普通妓生が歌うものだが、ノルボは興甫の妻に勧酒歌を歌わせようとする。当然、興甫の妻は気を悪くし、気まずい雰囲気になり、せっかくの時間が台無しになってしまう。

(本ブログ関連:"興夫歌"、"興甫歌")

▼ パンソリ「ノルボがフンボの家を訪ねる場面(놀보가 흥보 집 찾아가는 대목)」を聴く。

(参考)「パンソリ」(申在孝、訳田中明・姜漢水、東洋文庫)の「朴打令」より、ノルボのせりふ。
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フンボ(興甫)が俄大尽になりたるよと、噂が四方にひろがれば、ノルボは聞きて思うよう、/「その財を、すべて奪って、このわしが、富みたる上に、ますます富まば、これはまことに上々なれど、彼奴めがすなおに渡さぬならば、いかなる仕打ちをしてくれようぞ。万が一にもよこさぬなら、『フンボは長者のくせをして、おのれの兄を大事にせぬ』と、腹ぐろきしたやくにん(役人)に賄賂とらせ、やくしょ(役所)に廉問書かせ、出牌に百文握らせ、郷中どもに書状を廻させ、都邑(まち)にまでその嘘流さば、彼奴の身代も忽ちにひっくり返ってしまう筈」
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次に、パンソリ「春香伝춘향전)」での「勧酒歌」の場面があることを次のように紹介された。
・「春香伝」に、国の高官になった李夢龍(이몽룡)が地方の宴会に行く。不正な官吏を探し出して罰する任務のため、身分がばれぬよう古着のみすぼらしい服装にする。地方の偉そうな両班(양반)はそんな彼を歓迎するわけもない。引き下がるわけにはいかず、図々しく宴会場に入り、妓生に勧酒歌まで歌わせる。妓生にしても上品な両班と違い、この男へ気が進まず、歌うふりをして、歌詞は悪口を浴びせ、この酒を飲んだら一千万年過ぎても今の姿から抜け出せないだろうと皮肉った。外見で人を判断する妓生にまずい面もあるが、状況に合わせ歌を作り出す才能に感心する。

(本ブログ関連:”春香伝”)

▼ パンソリ春香から「宴会の日の官吏の企み(사또 잔칫날 어사 수작하는 대목)」を聴く。歌というより語りが続く・・・。

最後に、朝鮮中期の本来の勧酒歌について次のように紹介された。
・本来の勧酒歌は、朝鮮中期に広く歌われた十二の歌曲(가곡)にも勧酒歌がある。年をとらない不老草でかもした酒を杯に注ぎ、長寿を祈る内容だ。山が崩れる時まで長生きをするようにと祈る。また、酒を一杯飲むたびツツジの花を折って、数を足すという内容の歌もある。酒の一杯もただ飲むのでなく、相手の幸を祈ったり風流をたしなむ風習がうかがえる。

▼ 十二の歌曲の中から「勧酒歌」を聴く。これも風流だろうか、朗々として歌い響く。

最後に、金寶愛さんから、酒の失敗を戒める言葉がありました。ありがとうございます。