日本経済新聞の記事「大きめ微粒子もイトカワ由来 はやぶさ採集の50個」(3/11)によれば、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の小惑星探査機「はやぶさ」が採取した微粒子は、分析結果から、小惑星「イトカワ」のものであることが明らかにされた。
・「イトカワ」は、太陽系が誕生した46億年前の状態を保っているとされ「宇宙の化石」といわれる。様々な元素の同位体比(ネオンやヘリウムなどの同位体と呼ばれる元素の比率)や結晶構造をさらに詳しく調べれば、「いつごろできたか解明できそう」(JAXA藤村彰夫教授)。太陽系の誕生時期が正確にわかる可能性がある。
「JAXAプレスリリース」(3/11)は、1月下旬より開始された「はやぶさ」カプセル内の微粒子(50個程度)の初期分析の結果を報告している。(日経記事と合体)
1.岩石質と同定された微粒子(0.03~0.1 mm)の3次元構造(大型放射光施設「SPring-8」を駆使した分析)ならびに主要元素組成、酸素同位体比の分析結果により得られた物質科学的特徴は特定種の石質隕石の特徴と合致する。
2.宇宙風化作用の痕跡ならびに希ガスの分析結果から、微粒子はイトカワ表面に由来する事が明らかにされた。
3.ひとつの岩石には複数の鉱物種(斜長石、硫化鉄、カンラン石)が存在し、複雑な3次元構造をしている(写真参照)。
4.現在のところ(赤外線分析で)、(炭素やアミノ酸などの)有機物の証拠は同定されていない。
大きなスケールで太陽系を旅した「はやぶさ」がカプセルに入れて持ち帰った微粒子を分析した結果、小惑星「イトカワ」由来であることが確証された。この小さな微粒子が再び、太陽系のはるか昔の起源に遡るという大きなスケールの物語を提供してくれることになる。
(本ブログ関連:”イトカワ”)