生きていくために、覚えねばならぬことがいっぱいある。けれど、歳とともに忘れてしまう。思い出そうとしても曖昧なとき、妙薬というか霊験あらたかな仙薬を願うものだ。もし科学的な医薬が提供されたら、どんなにありがたいことだろう。
「忘れた記憶を復活させる薬」が見つかったという。その研究成果が発表された。
① ネズミにいっとき関心を向けさせたものを、再び関心持たせる(思い出させる)、②ヒトに一度見せた複数写真の一部を、後日に他の複数の写真と混ぜた中から発見させる(思い出させる)効果のある薬があるという。おぼろに忘れていく記憶(一見忘れたように思える記憶)を、回復させる(留める)ことができる。
(資料)
「忘れた記憶を復活させる薬を発見 -既存の薬物で記憶痕跡の再活性化に成功-」
(要約)https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/z0111_00001.html
(詳細)https://www.hokudai.ac.jp/news/190109_pr.pdf
2.発表のポイント:
◆ 脳内の「ヒスタミン(生体内物質の1つで、覚醒状態の維持や食欲、記憶などを調節する)神経系」を刺激する薬物を投与すると、忘れてしまった記憶をスムーズに思い出せるようになることが、マウスとヒトの試験から明らかになりました。
◆ もともと記憶成績が悪い人ほど薬の効果が大きく認められました。
◆ 本研究成果は、脳内ヒスタミンや記憶のメカニズムの解明に有益であると共に、アルツハイマー病などの認知機能障害の治療薬開発の一助となることが期待されます。
(速報)https://www.biologicalpsychiatryjournal.com/article/S0006-3223(18)32021-3/fulltext
(付記)
新聞記事によれば、ヒトを使った試験のとき、「めまいの治療薬として使われている『メリスロン』を飲んだ場合と、飲まなかった場合で正解率を比較した。」(産経新聞、1/8)と報じている。
(記事)https://www.sankei.com/life/news/190108/lif1901080033-n1.html