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2016年7月27日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 郷歌

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/20)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「郷歌향가)」*に関連した3曲を紹介した。

(*)「古代朝鮮語解読のさわり」(趙義成 東京外国語大学大学院准教授): 「(現存20数種)数が圧倒的に少ないため、解読自体がままならないし、ここから判別される単語の数も微々たるものである。郷歌は全て漢字で表記されているが、表記法は漢字の音と訓を複雑に組み合わせている」・・・言葉の専門家が言語+漢文+歴史など総動員して・・・

始めに、古く歌われた固有の歌「郷歌」について次のように紹介された。
・朝鮮の民は、古い中国の記録に、何かにつけ歌と踊りを夜通し楽しんだとあるほどまでに好きだったようだ。昔の歌には、歴史に記録のない人々の多様な物語が盛り込まれている。「郷歌」は、統一新羅時代に歌われた。当時も外来の歌が入ってきたが、それとは違った、代々歌われた固有のものだ。

▼ 悪鬼を追い払う人物「処容(처용)」の郷歌「処容歌(처용가)」を聴く。雰囲気漂わせた今様の響きをする。

次に、郷歌の歴史と残存する数、例として「処容歌」、「献花(헌화가)」について次のように解説された。
・郷歌は一定の形式を有する歌だが、当時の民謡まで含んでいない。統一新羅時代の歌集に「三代目(삼대목)」がある。今残る郷歌は、高麗時代の11、新羅時代の14だけだ。リズムは忘れられたが、独特な歌詞は残っており、昔の音楽を感じることができる。上記「処容歌」では、龍王の息子「処容」は、自分の妻を奪おうとした疫病神を赦す広い心があり、かつ悪鬼を追い払う霊力ある存在だった。また、他の郷歌に「献花(헌화가)」がある。水路(수로)夫人が絶壁に咲くツツジの花を欲しがると、一人の年寄りが現れてその花を差し出したという内容だ。

▼ 「献花」の歌を童謡にした「赤い花、赤い心(붉은 꽃 붉은 마음)」を聴く。子どものたち声が愛らしい。今様である。

最後に、郷歌「薯童謡(서동요)」の薯童(서동)と善化(선화)姫の物語について次のように紹介された。
・人々は歌に特別な力を信じた。みなが心ひとつに歌うと、いつかそれが現実になるという力だ。そこで、その力を利用したのが、歌「薯童謡」を作った薯童だ。百済の貧しい青年薯童は、新羅の美しい善化姫の噂を聞き、彼女と結婚するため、歌を作り子どもたちに歌わせた。善化姫が毎晩薯童に会いに行くというのだ。この歌が広がると、二人の関係は大きく話題になり、嘘であっても、結局結婚することになった。薯童は姫と結婚した後、百済王となる。南部に彌勒寺(미륵사)を建立した百済第30代武王(무왕)だ。最近、この寺の石塔解体中に発見の資料から、武王の妻は善化姫でなく、他の女性と明らかになった。物語がどこまで真実なのか研究が期待される。

▼ 笙簧(センファン、생황)、短簫(タンソ、단소)、伽耶琴(カヤグム、가야금)演奏で「薯童謡」を聴く。古代をイメージした今様。