若い頃、仕事を早めに切り上げて、何度か奈良の東大寺二月堂で行なわれる「お水取り」の行事に出かけたことがある。記憶のままとどめておくには惜しい、今年こそと思いながら機会をかなえずにいる。
(本ブログ関連:”お水取り”)
夜がふけて、斜面に建つ二月堂の舞台から、長い竹の棒の先に火を灯した松明(たいまつ)の火の粉を撒き散らす。「童子」と呼ばれる世話役(僧侶の付き人)が担う。二月堂の下に集ったひとびとは、直接浴びることはないが、少しでも火の粉が降りかかることを求める。本来。仏教の法会(ほうえ)の「修二会(しゅにえ)」(天平勝宝4年(752年)以来連綿と続く)のひとつであるが、庶民にとっては、新たに春を知る行事ともいわれる。
実は、急いで駆けつけたものの、行事が終わっていたことが2回もあった。人々の帰り道にばったり出くわしたわけで、帰りの流れに合流して寒い奈良公園の夜道を抜けると、甘酒の屋台が立っていたりする。生姜風味のきいた甘酒は、チャンスを逃して残念な思いをしている者を温めてくれた。
一番最近といっても随分昔のこと、子どもと一緒に見たことだろう。少し小雨がぱらついていた。今夜の奈良の天気はどうだったろうか。(気象協会によれば、夕方6時は曇り空で、気温は12℃とのこと)