華麗に咲き誇った桜の花は、惜しまれながら散った。春を知らせてあっさりと去る一瞬のできごと。何ごともなかったように、今は若葉を春の陽に輝かせている。
桜の後を襲うように、ハナミズキが白や薄紅の花を咲かせている。ハナミズキの並木通りはいかがだろうか。でも、桜の余韻が強すぎたせいか、ハナミズキに後釜といった風情がぬぐえないのはどうしてか。原産地のアメリカのイメージがして、桜に続かないのが惜しい。ハナミズキにしても居心地が悪いようだ。
春寒に咲いた桜が、その美しさを満開にした頃の暖さとべて、今晩はやけに寒い。街灯に照らされたハナミズキは夜風に揺れて、どこか分の悪さを感じる。
さっと散ることもできず、いつまでも花を咲き続ける、身の置きどころがないハナミズキに馴染むのに、だいぶ時間がかかりそうだ。