KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/21)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<祝福>(祭祀)にかかわる3曲を紹介した。
始めに、旧暦10月の儀式と、崔南善(최남선)の著「朝鮮常識問答(조선상식문답)」について次のよう紹介された。
・旧暦10月を、一年で最も優れた上の月の意で「上月(상 달)」と言う。今年の旧暦は、一年13ヶ月で閏月がある。今、旧暦9月だが、いつもなら10月が始まる頃。新年を迎える正月でもないのに、10月をなぜ上月と言うのか、崔南善(1890年4月26日~1957年10月10日)の著「朝鮮常識問答」に記載がある。この時期、一年の農作業が終わり、新しい穀物や果物を収穫したことを、天と先祖に感謝の儀式を捧げる。10月は神と人間が共に楽しむ月、最も良い月とされた。高句麗の儀式「東盟(동맹)」や半島南部の部族馬韓の祭天儀式も全て10月に行われた。
▼ 「パン」=ある場面、「ノリ」=遊びの意による、演奏「パンノリ(판노리)」を聴く。賑やかな味付けした今様である。
次に、民間レベルでの村祭り「洞祭(동제)」や、家ごとの祭祀「告祀(고사)」の風習について次のように紹介された。
・朝鮮時代、収穫の秋に国家レベルの祭天儀式はなかったが、民間レベルで「洞祭」と呼ぶ村祭りがあった。これ以外に、家ごとに「告祀」と呼ぶ祭祀があり、面白い風習もあった。告祀を行った夜中、子供たちが温かい小豆をのせた餅「蒸し餅(시루떡)」を籠に入れ家々を訪ねた。餅の種類も多種多様で、そば粉やもち米で作った餅、かぼちゃを入れた餅もあり、食べ比べる楽しみもあった。告祀の祭祀は、先祖に捧げる「祭祀(제사)」や、巫女の巫堂(무당)が捧げる「クッ(굿)」の祭祀と少し違う。告祀はその他の神々に捧げるものだ。また、クッと目的が似ているが規模が違う。クッは、巫堂が演奏に合わせて大規模に歌い踊る。半面、告祀は家族単位で捧げ、時に経を唱える盲人や僧侶を招くこともあり、比較的こじんまりしたものだ。
▼ 告祀の祭祀で行なう、祝福を願う経の意の歌「祝願経(축원경)」を聴く。のりの良い四方めでたい曲。いつ頃の作品だろう。
最後に、告祀の祭祀で、家に関わる(八百万の神のような)神々について次のように紹介された。
・告祀の祭祀を行うとき、「祝願経」や、家庭の平安を祈る「安宅経(안택경)」などを唱える。また、様々な悪鬼を追い払う「罷経(파경)」のようなものもある。神にはそれぞれレベルがあり、待遇の仕方が少し違った。家の敷地を守る土主神(터주신)、家の守護神(성주신)があり、主に台所を守る神(조왕신)には、供え物と共に礼をする。また、庭を意味する庭神(마당신)、門を守る門神(문신)、お手洗いを守る神(측신)は、場所ごとに留まり、不運が入らぬように守る神だ。これらの神には礼をせず、ただ供え物を用意した。告祀の祭祀は、家を守るため、家を持たぬ人はできなかった。
▼ バラジ=若い8人による「バラジ(바라지)の祝願」の演奏を聴く。珍島をオリジナルにした響きだそうだ。今様な洗練した音色だ。