今晩、帰り道がとても明るかった。たなびく雲はくっきりと白く、天頂の満月は雲間から煌々と照らす。星の瞬きのない紺青色の更にその奥は深い。
月明かりに、高揚するのはなぜだろうか。青い光に照らされて、風を受けた帆のように気分がはためく。清清しくそよぐ風。空は大きく広がり、月明かりが充満するようだ。
そんな気分に浸っていると、おじさんに浮かんできたのは、昔の歌謡曲。曲調から、まるで戦前の歌のようだが、気分は戦後だ。菅原都々子(すがわらつづこ、1927年8月5日~)の歌「月がとっても青いから」(1955年、作詞清水みのる、作曲陸奥明)だ。
時代が鷹揚だったとはいえないけれど、古い調子に、新しい二人連れが公然と味付けしている。不安と確信が揺り戻る当時の青春だ。すれ違いはしたくないといった心意気だろうか。子どもの私には、わけもわからず、なんとも古めかしく聞こえたけれど。
(Youtubeに登録のBEGA1947に感謝)