街のハンバーガー屋で(ホット)コーヒーを、最初の一口飲んだとき火傷しそうになることがある。フッと息を吹きかけても冷めることはなく、コーヒーメーカーで熱せられた高温のままのようだ。思い当たる節がある。マグカップに入ったコーヒーを家庭用電子レンジで温めたときもそうで、熱さに揺らぎがないのだ。
ショップや家庭用電子レンジの湯沸しは、高温で恒温状態に暖められ、熱が(冷めないほど)均一になって「対流」がない。そのため、風味や触覚の揺らぎも発生しない。どんなも美味でも、平盤なものには魅力がない。微妙な変化があってこそ魅かれるものだ。
ところで、冬の冷え込みに部屋をエアコンで暖めたが、温もりが単調で飽きがくる。ガスストーブを加えれば、温もりに尻尾があるように室内を巡るのが分かる。対流の妙味は、変化を感じとれることだ。(あえて低速の扇風機を回したりすると埃が舞う。空気清浄機も必要になる)
均一で単調なものは苦手だ。人工的平盤さに不自然を感じるからだ。わが身四方に一律でない変化があってこそ自然であり、微妙な変化の兆しを感じとれてこそ生命力なのだと思う。ハンバーガー屋のコーヒーに、熱の微妙な揺らぎを(スマイル以外に)「0円」でサービスして欲しいなんて思ったりする。