訪問先から外に出ると、どんより空の下、雪が舞っていた。まるで行方の定まらぬ花吹雪のよう、風に任せてあちこちへ散った。地面に積もるほどでもない。東京の雪は、今シーズンで5回目だそうだ。
子どもは雪が大好きだ。初めての雪にはしゃぐさまに、懐かしい驚きと興奮を呼び覚ませてくれる。そんな純粋な振る舞いの数々を、Youtubeで見ることができる。よちよち歩きの幼子が、ふっくら積もった雪に、ころり転ぶのに笑ってしまう。
帰り道にも、楽しい場面に遭遇した。ある医院から母親に付いて出てきた小学生の男の子が、空からの雪によろこび、口を大きく開けて感蝕を確かめようとしていた。はたして満足できるほど口に入ったのか。母親は、それをたしなめるでなく、帰りの自転車の準備に忙しそう。
また、小学校の脇道を、傘を広げた低学年のランドセルが横並びしてふさいでいた。雪降りが止んだといっては大騒ぎ、小降りになったといっては傘を振り回す。集団を通り抜けた背後から、「雪だ!」、「雪だ!」と言い合っているのが聞こえてきた。一体、真っ直ぐ家に帰る気はあるのだろうか。