地元図書館の駐車場に隣接して、小さな稲荷神社がある。参道は、いくつも並ぶ鳥居をくぐるようにして社殿へつづく。
鳥居の赤い色と、花弁を重ねて今を盛りに咲く八重桜の薄紅色のコントラストが美しい。まさに西陽が射して、その色合いを互いに強調していた。奥の簡素な社殿に参拝して家内安全を祈ったのはもちろんだ。
総本社は、京都府京都市伏見にある伏見稲荷大社とのこと。そして、入り口の石(花崗岩)の鳥居の額束には、笠森稲荷神社の額が掲げてある。また、「笠森稲荷の『かさ』の音は『瘡』に通じることから疱瘡や皮膚病除けの流行神としても知られている。」(神社文化振興評議会)という。以前、郷土史家の方から、江戸期には遠く川崎(宿)からもこの稲荷を訪ねてくる女性たちがいたという。
薩長による明治以降の官製文化に対して、江戸風を期待するものもあるが、決して洒落た粋な世界だけだった訳ではなかったことを忘れてはならないだろう。
(本ブログ関連:"稲荷神社")