KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/4)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、「秋夕(추석)」の家族の食事に関連する曲を紹介した。
始めに、朝鮮後期の実学者、丁若鏞(정약용、1762年~1836年)の農民への思いについて次のように紹介された。
・朝鮮後期の実学者「丁若鏞」は、春のある日、働く民の姿を見て詩作した。農夫にとって春の田植えは重要な時期だが、この端境期に耐えるのは簡単でなく、十分実ってない稲を脱穀し、粥にして食べた。彼は詩に、高位者もその粥を食べねばならぬと歌う。秋の穀物の収穫は、民の唯一の希望。秋夕に先祖を墓参し、伝統を守って奉祀する。一方、秋夕は、端境期を乗り越えた喜びの日でもある。
▼ 月が明るく「丸い月が浩浩と(둥근 달 휘영청)」のカヤグム演奏を聴く。ジャジーに月明かりを楽しむ、今様に。
次に、パンソリ「興甫歌(흥보가)」の「貧打令(가난타령)」から幸運について次のように紹介された。
・秋夕が近づき、村中で馳走の準備で忙しい時期、嘆く人物が登場する話しがある。パンソリ「興甫歌」の「貧打令」の場面だ。興甫は脚を怪我をしたツバメを治すほどの善人だが、とても貧しく、家には食べものがない。妻は嘆くばかり。だが、その後に面白いことが起こる。興甫が助けたツバメが、恩返しに「ふくべ(ヒョウタン)」を運んでくる。それを割ってみると、中から米と金が詰まった箱が出てきたのだ。人生は、予測できぬもの、どう変わるか分からない。
▼ パンソリ「興甫歌」から「貧打令」を聴く。声を絞って貧困を嘆くよう。
最後に、新羅時代の玄琴(コムンゴ)の名手、「百結(백결)」の貧困の逸話について次のように紹介された。
・新羅時代の「百結」はとても貧しく、その名は、服を百回も縫い直して着たことから呼ばれた。玄琴の名手だったが、家族の食事を担う妻の立場にすれば気がかりなこと。秋夕を前に涙を流したという。彼は、妻をなだめるため、玄琴で穀物を搗(つ)く音を演奏したという。果たして妻は、どんな気持ちだったろう。あきれ果てたか、あるいは、慰める夫の姿に感動をしたか。
▼ 穀物を搗く臼(방아)から、珍島の「穀物打令(방아타령)」を聴く。何だかいいなあ、楽しくなる。