いえ、別にこれといった話じゃないんです。コンビニの雑誌棚に、ある週刊誌の別冊が目に入ったのです。週刊誌サイズの表紙に「お徳用 (佐藤)愛子の詰め合わせ」、「大活字」と書いてあるじゃないですか。
中をあけたら、何Qか何ポイントか分からないが、でっかい活字が並んでいる。とにかく大きい、それも見やすい。以前、岩波文庫の大活字版を買うのを躊躇した。買ってしまうと降参した気になりそうで、やせ我慢したのだ。
この「詰め合わせ」は見やすい、おまけに読みやすい。内容も身辺雑記で肩がこらない。読み飛ばしても叱られそうにない。忘れても苦にならないだろう(失礼なことではあるが)。この手軽さは何だろう、週刊誌の紙質のせいかもしれない。
だから、眼鏡なしでも疲れることはない。
そうそう、若いときのことを思い出す。学生時代、ある作家の文学全集を揃えたことがある。全部読めなくたっていい、いずれ、読書三昧のときがくるのだから。そう思っていた。しかし、そのときが来て、函(ケース)から本を取り出して驚いた。若いころ読めた、2段組の小さな活字が、まったく霞んでいたのだ。あわてて眼鏡を求めたりした。