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2025年12月9日火曜日

甘酒

寒い夜、甘酒は体をよく温める。甘酒に二つの作り方がある。

一つは、米麹(こめこうじ)を原料にしたものだ。若いころ、3月12日に奈良東大寺の二月堂で行われる「お水取り」の晩の火祭りに何度か訪れた。堂の舞台から舞い散る火の粉を浴びると縁起が良いといわれて、できるだけ接近したものだ。
祭りが終わって、上気した気分も、奈良公園を抜けて帰る途中冷えてくる。園内に小さな売店があって、米麹の甘酒を売っていた。生姜の香りがして、冷えた体を温めてくれた。

(本ブログ関連:”お水取り”)

もう一つは、酒かす(酒粕)を原料にしたものだ。地元の酒屋で、冬になると店先に酒蔵特製の金色と銀色の袋に入った二種のものを並べる。袋の色の通り、金色のものは値段が少し高いが真っ先に売り切れてしまう。
鍋に酒かすと水を入れてゆっくり温め、米粒を感じられるようにほぐしながら溶かす。後半に砂糖と少しの塩を加えると、実にまろやかで上品に仕上がる。(この酒かすは、温めるとき、スーパーなどで販売しているものと比べて、絞りカスのような独特な匂いがしない)

ところで、子どものころ、和菓子の甘さについて父から教わったことがある。和菓子屋の息子だった父がいうには、塩の塩梅が和菓子職人の腕の見せどころだというのだ。結局、サラリーマンになった父から、どのような塩梅か、精密な量目やタイミングを聞きそびれたが。酒かすで、甘酒作りに塩分を入れるとき、親父の言葉をいつも思い出す。

(小豆で汁粉を作ることがある。そのとき、塩分により甘みが増すのに気付く。)