「ヒヨ」と呼び捨てにされる「ヒヨドリ」は、探鳥会のフィールドでよく見かける地味な鳥だ。珍しくもないので見向きもされない・・・、似たように名前がくくられるのに「カラス」がいる。「ブト」(ハシブトカラス)とか「ボソ」(ハシボソカラズ)と同じく呼び捨てにされる。
名前がくくられる鳥たちは、うるさくて図々しくて、ふてぶてしい。カラスと近縁の「オナガ」もそんな振る舞いをするが、どうやら略称はないようだ。(九州から東京に来たとき、オナガが庭先に群れているのを見て、最初、そのスマートさに感動したが・・・)
(本ブログ関連:”ヒヨドリ”)
ヒヨドリの名を平仮名で「ひよどり」と書くと、うるさい鳴き声に気も少しはおさまる。けれど、カラスは「からす」と書いてもおさまりが良くない。つまり、ヒヨドリはカラスより大部ましなのだ。
以前、庭に吊るした籠にミカンのむき身を置いたことがある。ヒヨドリが盛んに寄って来て食ったのはいいが、彼らは隣家前の路地にオレンジ色の糞を撒き散らした。あわてて、ミカンをエサにするのを中止した。(そのとき合わせて、高価なオレンジジュースを置いた。野鳥たちは完全に飲み干すが、一ランク下のものには見向きもしないことがわかった)
探鳥会でのっけから、ヒヨドリが目の前を飛びまわったりすると興ざめする。ベテランの方が個体数をカウントして、会の最後に報告されるが、どれほどいても誰も驚きはしない。
そんなヒヨドリだが、海外(欧米)のバーダー(Birder)にとって、来日した際にぜひとも観察したい対象だそうだ。欧米人にとって、日ごろお目にかからない極東地域に固有の鳥だからだ。
■ Youtube
① 「【ゆっくり解説】カラス並の知能⁉身近な嫌われ者…「ヒヨドリ」とは何者なのか?を解説/日本でしか観察できないヒヨドリの生態」
ー https://www.youtube.com/watch?v=ag1WRWN-FKQ
② 「【解説付き】ヒヨドリの鳴き声6種(地鳴き)」
ー https://www.youtube.com/watch?v=kMWUQOW-bTM&t=2s
■ 図鑑
①「くらべてわかる 野鳥」写真・文 叶内拓哉著、ヤマケイ文庫
ポケット版の図鑑では、ヒヨドリ科の鳥として、ヒヨドリが1種掲載されているだけだった。
その他について、ポピュラーな「サントリーの愛鳥活動」サイトに、「シロガシラ」が紹介されている。九州南側の島々から北上しつつあるよう。
「サントリーの愛鳥活動」サイトに掲載の「シロガシラ」
ー https://www.suntory.co.jp/eco/birds/encyclopedia/detail/4654.html
②「庭や街で愛でる野鳥の本」大橋弘一 著、山と渓谷社
ヒヨドリはもともと「漂鳥」(山と人里を季節に応じて行きかう)だったが、40数年前から突如人里に出て「住宅街の鳥」になったとのこと。
■ 歳時記
「野鳥歳時記」山谷春潮著、冨山房百科文庫
「鵯(ひよどり)」は秋鳥のうち、「鵙(もず)」(百舌鳥)に次いで多く俳句に詠まれているそうで、著者は、雪景色のなかの鵯が印象的としている。
■ 語源
「野鳥の名前」文 安部直哉、写真 叶内拓哉、ヤマケイ文庫
平安時代の「和名抄」に「和名は比衣土里(ひいどり)」とあるそうで、著者は、鳴き声からではないかを選択している。