「かくて」という言葉が気になり、ネットで「学研全訳古語辞典」*(学研教育出版)を調べたところ、まさに思いいたる解説があった。
(*)https://tsurezuregusa.com/019dan/
かく-て 【斯くて】([一]副詞): このようにして
----------------------------------------------------------------
出典「徒然草 一九」
「かくて明けゆく空の気色(けしき)、昨日に変はりたりとは見えねど」
[訳] このようにして明けてゆく空のようすは、昨日と変わったとは見えないが。
----------------------------------------------------------------
吉田兼好が「徒然草」で語ったのは、変化がないようでもやっぱり「元旦」ならばこその目出度さだった。私にしても、きょうをいつもと変わりないといきがっても、世間や自然が変化しているのだから、「かくて」と知った風することもない。物事は斯様に変わるわけで。
きょうから、春一色になるはず(きのうと比べて冷え気味だが)。4月になれば、学校は新学年が始まり、企業の大方は1年の決算を報告する。有無も言わさず、世間の時計はしっかり回り続ける。
今年の元旦(2024年1月1日)に襲った「令和6年 能登半島地震」から3か月目である。被災状況が後から次々判明した「東北地方太平洋沖地震」(2011年3月11日)の時と同様、復旧もままならない。子どものころに強いインパクトを受けた「伊瀬湾台風」(1959年9月下旬)といい、日本は自然災害から免れることはないのだろう。
4月1日のきょう、以前は「エイプリル・フール」が賑したものだが、今の状況に相応しくないようで、余り話題にならない。