先日、映画「シン・ゴジラ」を楽しんできた。民家の上を巨大な尻尾をよぎらせながら進むゴジラを見て、昔、初めて見た初期のゴジラ映画を思い出した。暗い夜、画面いっぱいに映し出されたゴジラの足から、巨大な全身を想像して、恐怖に落ち込んだまま、座席で息を殺して見ていた。
それ以来、怪獣の夢には無力感がつきものだった。最初のゴジラ映画は、視覚効果を狙ってだろう、夜の破壊シーンが鮮烈だった。当時の大人には空襲や戦場の記憶につながったかもしれないが、子どもにとっては破壊の凄まじさだけだった。だから夢に直結した。
ゴジラ映画は、夢に影響を与えたようだ。登場する怪獣や宇宙人は、圧倒的な力で襲いかかり、逃げるしかなかった。今の子どもはどうだろう。ぼくらは、映画で初めての恐怖を経験したかもしれない。いつも見られるものではない。だから怖さも深かった。
また、上空を様々な隊形した飛行編隊が迫ってくる夢を見た。編隊の数は増え、やがて空いっぱいに真っ黒な宇宙船が覆い浮かんでいるのが見えた。すると、船体から真っ黒な着陸艇が地上に次々と降りて、黒い防備服の大量の宇宙人兵士が隊列を組んで街に侵入を開始したのだ。もう、どうすることもできない。「宇宙戦争」を彷彿させるが、隠れても見つかってしまう・・・。
夢が前向きでなくなったようだ。空を飛ぶ夢を見ても、始めは優雅に羽を舞い飛行したが、すぐに失速を始める。あれっ、戸惑いながら何とか持ちこたえたが、上昇と下降を繰り返しながら墜落してしまう。「イカロスの墜落」ように・・・。