K-POPといわれる以前のこと、1961年にヒットしたトロットの「黄色いシャツの男(노란 샤쓰의 사나이)」は、(発表された)だいぶ後に、日本のおじさんたちにも歌われた。ハイテンションな歌で、演歌とトロットの境界なんて意識もいらない。歌詞の主人公は、黄色いシャツを着た男を気に入る若い女性のようだ。
それがどうして、おじさんたちにも安心して歌われたかというと、歌詞に「なぜか」気になるという表現に、韓国語の「オッチョンジ(어쩐지)」がそのまま使われた。この「オッチョンジ」は、空耳ながら「おっちゃん」に通じる。すると、主人公に気に入られた男が、オッチョンジ>おっちゃん=おじさん、と身近な存在になる。歌がぐっと親和してくるというもの。おじさんでもいいのだ。
ところで、図書館で、ときどき読まれることのない書籍を、自由に持ち帰ってくださいと並べることがある。あるとき、韓国の(K-POP以前の)歌を紹介した本が置かれていた。だいぶ前の発行ながら、貸し出されて汚れた跡もなく、惜しんで持ち帰った。
同書には、民謡、童謡、歌曲、流行歌などいろいろなジャンルの解説と楽譜が収められている。そのなかで、1961年にハン・ミョンスク(한명숙、韓明淑)によって歌われた「黄色いシャツ」の紹介ページだけは、黄色という色彩の明るさ、アメリカンな曲風が語られ、解説に歴史と結びつけた言葉のモザイクがないため、普通な大衆音楽の解説になっている。
( 音量注意! これがオリジナルなら、アメリカンフォークを意識した編曲だ・・・)
(Youtubeに登録のsoundphenomenに感謝)