イ・ソンヒの珍しい映像がある。1990年4月28日、世宗文化会館(大講堂)で公演された、子ども向けミュージカル「オズの魔法使い(오즈의 마법사)」で主役のドロシーを演じた。そのときの「Over the Rainbow(虹の彼方)」を歌う姿をYoutubeで見ることができる。
(本ブログ関連:”オズの魔法使い”)
このミュージカルに出演した翌年、イ・ソンヒは長文の自伝を著している。その中で、彼女が珍しい舞台姿(いつものズボンから童話に相応しいスカート)になったことなどについて、次のように語っている。既に本ブログに紹介したものだが、抜粋再掲する。この語りの前文に、ファン層は女学生だけでなく、男性ファンもいたと説明している。このように子ども向けとはいえミュージカルを次々と連続することで、彼女のファン層が厚くなった理由もうなずける。
(本ブログ関連:”資料:이선희 Profile”)
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・昨年の春(1990年4月)、ミュージカルに出演したことがある。世宗文化会館で幕を上げた「オズの魔法使い」の主人公「ドロシー」役だった。ドロシー役は、米国ではダイアナ・ロスが引き受けたとか。とても手に余る舞台であった。
・スカートを着て靴をはいたまま、幕間ごとに明かりの消えた舞台裏を飛び回ったら、台詞をいうたびに息があがってフウフウしなければならなかった。また、緊張の連続だったので、体と心が別々に動いた感がなくはない。気球に乗って帰宅する最後の場面では、靴のかかとに装着された豆電球に点灯しなくて慌てたりもした。確かにかかとをぶつければ明かりが「パッ」と入ってくることになっていたが・・・分かってみれば、あちらこちら暴れる(?) 間に、つながれた電線が切れてしまったのだ。
・何も知らずに飛びまわったミュージカルを通じて、私は多くのことを悟った。中学2年生だった末っ子の弟(妹?)*が生まれて初めて私の姿を見に公演会場にきて、また非常に不思議に思った。漫画の映画やビデオでは味わうことが出来なかった夢と希望を感じたと言った。「ずっと大きな」子がそうなのだから、まして子供たちが・・・
(*)イ・ソンヒは長女で、弟とさらに2人のきょうだい(男?女?)がいる。
・公演練習のために、放送出演など私の「生業」が支障をきたすことになって、公演後遺症で病んで横になることが心配だけれども、私は今春にもミュージカル「ピーター・パン」に出演する。ズボンではないが、草色のタイツを着た万年少年のピーター・パンの役に。
・体が「パキムチ(葱キムチ)」*になれば、いいのだが。私には、万病に効く、薬のような参鶏湯(サムゲタン)一杯あれば軽く「元気回復」するのを・・・
(*)葱キムチ: 疲労回復に効能があると、ネット上に記述ある。
・ミュージカルにすっぽりはまってみると欲が出る。子どもと青少年に夢と希望をあたえる専用の文化空間をたてたいのだ。それで、今でも日本や米国など外国の資料をこまめに集めている。合わせて、誰かが「コンチュイ・パッチュイ」*など、私たちの話をミュージカルで脚色してくださるように祈る。
(*)忘れ形見の娘コンチュイが継母とその娘パッチュイにいじめられるが幸せをつかむ。(シンデレラと似る)
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(Youtubeに登録のD I V A ■ LEE SUN HEE ■に感謝)