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2014年11月5日水曜日

KBS WORLD「国楽の世界へ」 天然痘(媽媽)

KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(10/29)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第78回として、天然痘を指す「媽媽(마마、マーマ)」にまつわる話を紹介した。

(参考) 韓国民間信仰の伝統的シャーマニズム「巫俗(무속)」で行なわれる祭儀を「クッ(굿)」という。地に根ざした姿をYoutube映像で知ることができる。

始めに、おそろしい感染症と民間信仰の儀式の関わりについて次のように紹介された。
・恐ろしいものを指して、「虎患媽媽(호환마마)よりも怖い」という。恐ろしい人や飲酒運転などのスローガンやタイトルとしても使われる。虎患媽媽の「虎患」は「虎に襲われる災い」を指す。韓国は山が多く、山奥の虎が村に下りてくることも少なくなかった。
・「媽媽」は「天然痘」を指す。昔は、世界的に最も脅威を与えた病のひとつだ。薬もない当時、世界中の死者の1割がこの病で亡くなった。神にお告げを行う「クッ」の儀式で、必ず天然痘を退ける順番があった。また、天然痘を客の意の「ソンニム(손님)」とも呼び、この儀式を「ソンニム・クッ(손님굿)」とも呼んだ。

▼ 東海岸地域の「東海岸別神(동해안 별신)クッ」の中から「ソンニム・クッ」の雰囲気を、近似のYoutube映像と合わせて聴く。

次に、天然痘に敬称を付ける習わしについて次のように説明された。
・「憎い者にほど良きことをしてあげる」ということわざがある。災いを追い払う方法もこれに似て、災いをむちゃに退けるのでなく、心を込めてもてなすという。王や王妃につける最高の敬称「媽媽」を、最も恐ろしい天然痘にこの敬称を付けた。また、お客様を「ソンニム」とも言い、心を込めてもてなすが、召し上がった後は留まらずに去ってくださいの意があった。
・済州島でも面白い呼び方で「神夫人拝送(マヌラ・ペソン、마누라배송)」とした。現代韓国語で、マヌラは自分の妻を指し、家内とか女房の意だ。媽媽と表現したように、王族や官吏を指す言葉としてマヌラと言った。拝送は見送るの意で、早く去って欲しいことを指す。大切な客でも、早く帰って欲しい相手であった。

▼ 黄海道のクッ「マングデタク(만구대탁)クッ」の中から「ビョルサン・コリ(별상거리)」(ビョルサン:天然痘の神)の雰囲気を、近似のYoutube映像と合わせて聴く。

最後に、天然痘の予防接収と撲滅の歴史について次のように紹介された。
・朝鮮後期、天然痘予防の「種痘」という予防接種が伝わり、一部地域で実施されたが広く伝わらなかった。薬もない天然痘にかかると、迷信以外に頼るものがなかった。WHO(世界保健機関)は、1967年から天然痘の撲滅を推進して、ソマリアで発生した患者を最後に、1977年には天然痘の根絶を宣言した。

▼ 珍島地域のクッ「珍島シッキム(진도씻김)クッ」の中から「ソンニム・クッ」の雰囲気を、近似のYoutube映像と合わせて聴く。