KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/27)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第33回として、日本の琴に似た弦楽器「伽椰琴」にまつわる話を紹介した。
まず、弦楽器「伽椰琴(カヤグム、가야금)」の歴史から次のように紹介された。
・世界には多種の、世代、ジャンル、あるいは宗教によっても、それぞれに音楽がある。一国の王ならば、国民固有の音楽に対するプライドを願ったかもしれない。伽耶(3世紀~6世紀中頃)末期の王、嘉悉(カシル、가실、?~?)は、(韓国)史上、最初に音楽の力で民を治めることに注目した。この王の下に誕生したのが弦楽器の「伽椰琴」だ。
▼ 「霊山会相」中の「上霊山(상령산)」を聴く。18世紀以降の両班の風流音楽らしく揺ったり流れる。
次に、伽椰琴の創生に関わる嘉悉王と于勒(ウルグ、우륵)の話題を次のように説明された。
・伽椰琴は改良され、様々な音楽に広く使われたが、「上霊山」の演奏に使われた伽椰琴は、「正楽伽椰琴」と呼ばれ、1500年ほど前に誕生した当時の形を維持しているという。
(注)伽椰琴には、正楽演奏の「正楽伽椰琴」と、民俗楽演奏の「散調伽椰琴」の二種類がある。
・伽椰琴の創始者は、于勒が有名。(「三国史記」に、楽器作成者は嘉悉王とされている)
・伽椰琴の、半円形の上面は「空」を、平らな下面は「地面」を、弦の支えは12ヶ月を表し、奏でる音が自然に溶け込むよう考えられている。楽器が出来た後、嘉悉王から、「各国に方言があるように、音楽もひとつである必要は無い。お前が伽耶という国にふさわしい音楽をつくるのだ」と命ぜられた于勒は、伽耶国の地方名を曲名とし、全12曲を作曲した。最初の曲は「ハガラド(하가라도、現在の金海市地域,)」、2番目の曲は「サンガラド(상가라도、現在の高霊地域)」となっている。
▼ ファン・ビョンギ作曲の「加羅都(カラド、가라도)」(1963年)の第1章を聴く。古趣ただよう・・・透明感のある今様である。
最後に、伽耶から新羅に投じた于勒と、新羅王の真興(ジンフン、진흥、534年~576年)との交流を次の通り解説された。
・于勒が12曲を完成させてすぐ、伽耶は新羅に滅ぼされる。于勒は、国の危険を察し、伽椰琴と作曲した音楽を持って新羅に投降した。新羅の真興は、于勒を歓迎し、自国の若者たちを于勒の元へ派遣し、そのメロディーを学ばせた。于勒の音楽をマスターした若者たちは、さらに思いを込めた編曲と演奏をした。この事を耳にした于勒は、初めは怒りを示したが、若者たちの演奏を聞き、涙を流し感嘆したという。
・また王も、こうした新しい音楽を好んで演奏させた。それに対し家臣たちは、 滅んだ国の音楽は、わが国をも滅ぼすと揃って抗議したが、王は、国が滅んだのは王の責任であり、音楽には何の罪もないと主張し、伽耶伝来の音楽を、新羅のものとして演奏を指示した。伽椰琴が現在までに伝えられたのは、その価値を見抜いた真興王のおかげだとも言える。
▼ ファン・イジョン作曲の「于勒の舞(우륵의 춤)」の中から第1楽章を聴く。軽やかな・・・今様である。