KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/3)に、文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第13回として、「麻(모시)」について紹介された。
まず麻糸をよるときの歌の紹介から次のように始まった。
・伝統衣装の韓服は、今もわずかだが年を通してお爺さんやお婆さんが着て過ごす。季節ごと素材が違い、夏は雪のような白い麻だ。
・トンボの羽のように細かく編んだ麻服を作るのは至難の技で、4千回に渡る作業工程が必要という。そのひとつに「モシサムギ」があり、(イラクサ科の植物)カラムシ(苧、모시풀)から繊維を取り出し、唇と唾液で糸をよる作業を語る、女性歌曲(가곡)の「モシルル(모시를)」がある。
・切れた糸を再びつなぐように、愛もつなぎつながって永遠なることを祈る女性の心が歌われる。
▼女性歌曲「モシルル」を聴く。糸は愛もつなぎ、命もつなぐよう・・・糸よりの作業で女性の間で歌われたのだろう。淡々とした時間(の流れ)を感じる。
麻布の特徴と歴史について次の解説があった。
・真夏に気温が40℃に近づく湿気の多い韓国では、糊付けされた薄い麻服は、最高級の贅沢品だ。パリッとする生地は、風をよく通し、汗をかいても体につかず快適だ。古くなれば少し手を加えて、新しい服のようによみがえる。
・夏に生い茂ったカラムシを刈り、水につけ、天日に干す作業を繰り返し、白くなった硬い繊維を、つばをつけながら歯で細く割り裂く。歯で作業するため、歯がぼろぼろになったという。
・麻は乾燥に弱く、すぐに切れる。梅雨に、部屋の戸を閉め、湿気の多い室内で作業すると、糸はやわらかく、機織機もスムーズになる。できあがった糸は、漂白したり、米ぬかや紅花などで染めた。
▼慶尚北道醴泉に伝わる「サムサンヌン(삼삼는)ソリ(소리)」を聴く。回転作業のためかリズムをもって歌う、いかにも労働の歌だが、繰り返す旋律が次第に根を張るようだ。
・製作に人手のかかる麻の服は、「自然の風、太陽の光り、そして時間。ひとびとの真心が作りあげた賜物といえるかもしれません」。
・麻服は、高麗時代に王から庶民まで広がり、朝鮮時代に高級化が進み麻の生産禁止令が出たほどだ。近年、麻は超高級品として認識されるが、現在(中国産の麻が増え)、韓国産の入手が難しく、カラムシから糸をとる人々も少なくなっている。
▼「ハヌルソ(하늘소)」を聴く。・・・カミキリムシ。そうか噛み切るところからの選曲か・・・今様だ。