自然にシンクロしてしまう北原謙二の歌「ふるさとのはなしをしよう」(歌詞:伊野上のぼる、作曲 キダ・タロー、1965年)には、《ふるさと》の原風景がある。夕陽に染まる漁港、縁日のざわめきする下町、遠く桃の実が彩る丘。そこは、住んだことのない、ぼくらのこころの《ふるさと》でもある。
60年代の高度経済成長時期に、都会の人々は《ふるさと》の、光り、彩り、ざわめき、匂いを喪失した。その渇きに正面から応えてくれたのが、映画の寅さんシリーズだったのだろう。そう、寅さんは自己矛盾した存在だったし、日本の最大公約数だった。
未来に伝えるべき《ふるさと》の復興を祈るばかりだ。
(Youtubeに登録のo94tm2に感謝)