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2024年7月11日木曜日

テルスター

昔、真空管ラジオでチューニング(選局)するとき、ダイヤルを回して緑色の「マジックアイ」が、まるで爬虫類の目のように全球輝くのがうれしくて、放送局をいろいろ巡ったものだ。いってみれば、新時代を先取りしたような気分だった。

(本ブログ関連:”マジックアイ”)

新しい放送に、AMラジオでステレオ放送*を聴くという実験があった。仕掛けは簡単で、二つの放送局から同時に、右・左の音を流すというものだった。そのために、ラジオを2台用意する必要があったが、なにしろ出力が小さくてステレオを楽しめるにはいたらなかった。(他の方式もあったそうだが、一般に公開放送されたか知らない)
(*)ラジオでの本格的なステレオ聴取は、FM放送が出現するのを待つしかなかった。

その後、「シンセサイザー」という新しい電子音が登場して、音源の幅が広がった。エレキバンドのギターの響きはそれなりに新しさがあったが、シンセサイザーは異質で飛びぬけていた。

(本ブログ関連:”シンセサイザー”)

テルスター
いまから62年前の、1962年(昭和37年)7月10日に、米国のケープカナベラル空軍基地から通信放送衛星「テルスター衛星」が打ち上げられた。当時、ぼくらは「ケープカナベラル」という地名を聞くだけで、宇宙時代を感じたものだ**。
(**)現在、日本のロケット射場(しゃじょう)は、鹿児島県内之浦と種子島、北海道大樹町、和歌山県串本町の4か所。

衛星にあやかって同年、バンド演奏曲「テルスター」がリリースされた。初めて聞いたとき、楽器音が実に新鮮で、時代の息吹を感じた。演奏は、ビートルズ以前の世代である、英国の「ザ・トルネイドース(The Tornados)」で、発表と同時に全英チャートで1位を獲得し、同じ週に全米でも1位になったという(Wikipedia)。

(本ブログ関連:”テルスター”)

曲は、ロケットの点火とリフトオフを思わせる轟音から始まり、分離された衛星がグングンと青い天空を駆け抜けるさまを、楽器を替えて爽快に表現する。実は、この演奏に使われたのは、初期シンセサイザー(アナログ)よりもさらに前の世代の「クラヴィオリン」という鍵盤(電気)楽器だったそうだけど、僕ら悪ガキには、通信放送衛星テルスターと相まって、十分に十分に新しい時代の響きが聴こえた。

(The Tornados ~ Telstar (1962): 登録者 TheOldrecordclub)