以前(2/24)、本ブログの雑談として「アオ(青)とミドリ(緑)」の混用について記した。絵の具の「青」と「緑」は容易に区別できるのに、言葉になると使い分けが曖昧になる点だ。例えば、交通信号機の青ランプ=実際は緑色、青い山脈=実際は緑の木々におおわれている、といった言語と視覚の差異でもある。
(本ブログ関連:”アオ(青)とミドリ(緑)”)
そこで、今回は言葉に即して「青」と「緑」の発生を、日本語と英語について、Google の生成AI Geminiに問うてみた。長い回答を得たがそのまま載せる。
結論: 日本語と英語ともに、「青(Blue)」から「緑(Green)」が分化したという。
■ 日本語の「青」と「緑」の発生
Q.日本語で「緑」と「青」は曖昧です。「緑」と「青」のどちらが先に発生したと言えますか?
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A.日本語における「緑」と「青」の曖昧さはよく知られており、歴史的にも興味深い現象です。結論から言うと、「青」の方が先に色の概念として存在し、その後に「緑」が分化してきたと考えられています。
以下にその理由を解説します。
1. 古代の色の認識:
古代の言語、特に色の語彙が発達していない段階では、色の区別が大まかでした。明るい色(白、黄、赤など)と暗い色(黒)といった基本的な区別は早くから存在しましたが、中間色である緑や青は、他の色との境界線が曖昧だったと考えられます。
多くの言語で、青と緑を区別する語彙が比較的新しい時代に現れる傾向があります。
2. 日本語における「青」の広範な意味:
古代日本語の「青(あお)」は、現代の「青」だけでなく、緑色のものに対しても広く使われていました。例えば、青葉(あおば - 緑の葉)、青菜(あおな - 緑色の葉野菜)、青々とした(あおあおとした - 緑が鮮やかな様子)などがその名残です。
これは、「青」という言葉が、未熟で生き生きとした植物の色、あるいは自然の色全般を指す広い概念を持っていたことを示唆しています。
3. 「緑」の成立:
「緑(みどり)」という言葉は、平安時代頃に「萌葱色(もえぎいろ)」など、植物の芽出しの色を表す言葉から独立してきたと考えられています。
「みどり」の語源は、「瑞々しい(みずみずしい)」や「芽出し(めだし)」といった言葉と関連付けられています。これは、「緑」がもともと植物の新芽の色、つまり生命力溢れる色として認識されたことを示唆しています。
徐々に、植物の色、特に葉の色を表す独立した概念として「緑」が定着していきました。
4. 現代語における曖昧さの残存:
現代日本語でも、「青信号」「青りんご」「青汁」のように、実際には緑色のものを「青」と表現する例が残っています。これは、かつて「青」が緑を含む広い範囲の色を指していた名残と考えられます。
まとめ:
以上のことから、日本語においては、まず「青」という広い概念の色名が存在し、その後に植物の色、特に新芽の色を表す「緑」が分化・独立してきたと考えるのが自然です。現代に残る「青」の曖昧さは、その歴史的な経緯を物語っています。
これは、言語における色の認識が、文化や自然環境との関わりの中で徐々に細分化・明確化されていく過程を示す興味深い例と言えるでしょう。
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■ 英語の「青」と「緑」の発生
Q.それでは、「英語」の単語の場合、「Blue」と「Green」の発生はどちらが先だったのでしょうか?
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A.英語の単語「Blue」と「Green」の発生に関しても、日本語と同様の傾向が見られ、「Blue」の方が先に色の概念として存在し、その後に「Green」が分化してきたと考えられています。
以下にその理由を解説します。
1. 歴史的な記録:
インド・ヨーロッパ祖語(PIE)に遡ると、青を表す語根である *bʰlēw-* が存在していました。この語根は、ラテン語の flāvus(黄色)、古代教会スラヴ語の blěvъ(青白い)、古高ドイツ語の blāo(青)など、多くのインド・ヨーロッパ語族の言語に痕跡を残しています。英語の "blue" もこの語根から派生しています。
一方、「Green」に対応する明確なインド・ヨーロッパ祖語の語根は特定されていません。これは、緑が初期の色の語彙において、他の色(特に黄や青)との区別が曖昧だった可能性を示唆しています。
2. 古英語の状況:
古英語の時代には、現代の「blue」に相当する語(blāw など)が存在していました。これは、空や海の色を表す基本的な色として認識されていたと考えられます。
「Green」に相当する古英語の grēne は存在しましたが、その意味範囲は現代英語の「green」よりも広く、未熟な、新鮮な、活気のあるといった意味合いも含まれていました。これは、緑が植物の成長や生命力と強く結びついて認識されていたことを示唆しています。
3. 言語間の比較:
多くの言語において、青を表す基本的な語彙が古くから存在し、緑を表す語彙が比較的後から分化する傾向が見られます。これは、空や水といった自然界の顕著な青色の存在が、初期の色認識において重要だったためと考えられます。
緑は、植物の色として多様であり、他の色との境界も曖昧だったため、独立した色概念として確立するのに時間がかかった可能性があります。
4. 文化的な要因:
古代社会において、空や海の色である青は、神聖さや遠い世界といったイメージと結びつけられることがありました。一方、緑は身近な植物の色であり、生命や成長の象徴ではありましたが、独立した色名として強く意識されなかった可能性があります。
まとめ:
英語においても、歴史的な言語学的証拠や他の言語との比較から、「Blue」の方がより古い起源を持ち、基本的な色の概念として先に存在していたと考えられます。「Green」は、植物の色、特に成長や生命力を表す意味合いを持ちながら、徐々に独立した色概念として確立していったと考えられます。
この現象は、人間がどのように自然界の色を認識し、言語化していくかの過程を示す興味深い事例と言えるでしょう。基本的な自然の色、特に空や水の色が、初期の色の語彙において重要な役割を果たしたと考えられます。
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ジャングルを出てサバンナへ向かった我々の祖先は、「緑」に覆われたジャングルを忘れ、「青々」と天空の広がる大地の記憶から始まっているのだろうか? それとも、植物の緑が当たり前過ぎたのだろうか?