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2025年6月28日土曜日

「醒睡笑」: 躻(うつけ)

今朝は目覚めが悪く、早朝の野鳥観察(探鳥会)参加を怠けてしまった。掛け時計の針がスローモーションのように進んでいくのを見ながら、ずるずると過ごすうち、集合時刻に間に合わなくなった。

昼に隣り街に出かけた帰り道、古本屋に寄って、平凡社の東洋文庫「醒睡笑」(安楽庵策伝* 集、 鈴木棠三 訳)を手にした。戦国時代の笑い話集で、いってみればポテトチップスを食べる感覚で読めばよい・・・つぎつぎ美味い話が飛び込んでくるのだ。編者の策伝は仏僧なれど、笑い話は宗教臭くない、それが良い。喫茶店でしばらく読んで賞味した。
(*)安楽庵策伝:天文23年(1554年)~ 寛永19年(1642年)

第二章の中の「躻(うつけ)」<愚か者の笑い・・・ばか、まぬけ、「躻」の字は、体の中に大切なものがあるべきなのに、それがないという国字> に、面白い阿保話があって、次のようなものがある。
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ある男が銭を隠すため地面に埋める時、「必ず人の目には蛇に見えて、わが見る時ばかり銭になれよ」と言っているのを、内の者が聞いていて、後で銭を掘り出し、代わりに蛇を入れておいた。例の亭主が後で掘ってみたら蛇が出て来たので、「やれ、おれじゃ。やれ、見忘れたか」と幾度も名のったのは、なかなかの聞き事だった。
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他にこんな話がある。男たちが三人集まって語り合った。しっかり者の家内について、唯一の欠点は怒ったときに亭主の頭を叩くことだと、二人とも同じことを口にした。三人目の男が「お前たちは日本一の躻(うつけ)者じゃ」といって、自分ならこうすると秘訣を得意気に披瀝した・・・「履物をはかずに逃げるがよい」と。

(本ブログ関連:”阿呆”、”ヘルム”)

まあ云ってみれば、落語の原点であって、オチがある。そのためには、躻(うつけ)者=阿呆が必要のようだ。