KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/18)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、西便制のパンソリ名唱/作詞・作曲家であった林芳蔚(임방울、1904年~1961年)に関連した3曲を紹介した。
(参考) ブログ「キム・ミョンゴンの世界の話」に、林芳蔚について詳細な話題がある。感謝。
始めに、1925年9月、毎日新報社主催の「朝鮮名唱コンサート」でデビューした 「林芳蔚」について次のように紹介された。
・1925年、新聞社主催の演奏会が開かれ、当時、最高の歌い手が出演した。そんな中、一人の見知らぬ男が舞台に上がった。背は低く、デコボコな皮膚の若い男で、服装も田舎風だった。そんな姿を見てあざ笑ったり、休み時間と思って立ち上がる観客もいた。しかし、その青年が歌いだすと、雰囲気は一変する。罪なくて投獄された女性の悔しさを歌に表現した「春香歌(춘향가)」が終わると人々は熱狂した。青年は、この日以来、最高の歌い手となる 「林芳蔚」だ。彼の歌を録音したレコードは、コロンビアレコードやビクターレコードなどから100万枚以上売れたという。
▼ 獄中の春香が恋人を恋しく想う「スクテモリ(쑥대머리、髪が乱れた様子を指す)」(歌林芳蔚)を聴く。悲しみに暮れる・・・。
次に、林芳蔚と妓生の「金珊瑚珠(김산호주)」とのラブストーリーについて次のように紹介された。
・春香の絶望感を鋭く歌った林芳蔚は、パンソリ界で最高のロマンチストでもあった。林芳蔚と妓生の金珊瑚珠にはラブストーリーがある。二人は出会った瞬間から恋に落ち、林芳蔚は歌うことを止めて、彼女の家で過ごした。毎日練習せねばならぬのに、何年間も無為に過ごした結果、彼は喉を傷め、きれいな声を出せなくなる。彼はふと気を取り戻し、山中に入った。彼女に何も言わず、山中で歌にまい進した。その間、彼女は彼を捜し歩いて病になり、亡くなってしまう。その知らせを聞き山を下りた林芳蔚は、彼女の亡骸を抱いて歌を歌った。それは、時間を取り戻すことのできない、残念な気持ちが表れた曲 「思い出(추억)」だった。
▼ 短歌 「思い出」(歌林芳蔚)を聴く。己が空しさを嘆くが、珊瑚珠への直接の言葉は・・・。
最後に、林芳蔚が庶民の友として長く記憶されることについて次のように紹介された。
・林芳蔚は、当時最高の歌い手と言われたが、貧しく力のない人々のそばにいつもいた。後に、彼がこの世を去ると、葬儀に本当にたくさんの人々が参列したという。長蛇の列の最後には、100人以上の乞食もいて注目を浴びた。林芳蔚が、公演を無料で観覧できるようにしたという。そこで彼らは、その心に報いる気持ちで、葬列に加わった。林芳蔚は、歌で人々の悲しい心を慰めた。今も庶民の友として記憶されている。
▼ 林芳蔚作曲 「八道遊覽歌(팔도유람가)」を、コムンゴ演奏と歌で聴く。朝鮮八道、全国遊覧・・・