KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(1/9)に、人物シリーズ62回目として、「女性国劇(여성국극)」*を後世に残すため尽力している曹永淑(チョ・ヨンスク、조영숙、1934年~)を紹介した。
(*)女性国劇:「春香伝」がYoutubeに登録されている。(登録者の"文化芸術の殿堂ルル"に感謝)
はじめに、女性国劇の復習と変遷について次のように始まった。
・以前、金素姫(キム・ソヒ)、朴貴姫(パク・グィヒ)名人などを紹介した際に女性国劇について触れた。
・1948年、女性パンソリ名人の金素姫、朴貴姫、林春鶯(イム・チュンエン、임춘앵)たちにより、伝統音楽を基本にした、音楽劇の一種である女性国劇が結成された。
・1949年、「お日様お月様(해님달님)」といった題名の公演を成功裏に収めた。
・1960年代初めまで、全国で爆発的な人気を博し、子供たちの憧れの的でもあった。団員は全て女性で、宝塚歌劇のように、男役も女性が男装して務めた。伝統的なパンソリでなく、説話や歴史的物語を題材にして、新しく物語を作り、それを演劇と音楽で構成した点が特徴。
・1960年代には、テレビの普及とともに、その姿を消すこととなった。
▼曹永淑と弟子による、女性国劇「善花王女(ソヌァコンジュ、선화공주)」中から、「薯童(ソドン、서동)と善花王女が初めて出会う題目」 を聴く。見てないけれどテレビドラマのことかな・・・賑やかだな。
次のように曹永淑のプロフィールが紹介された。
・1934年、咸鏡南道元山に生まれる。音楽一家で、パンソリ名唱の父は各地で働くことが多かった。
・当時、女性としては珍しく師範学校まで通ったが、朝鮮戦争勃発のため学業を断念し、林春鶯率いる国劇団体に入る。
・女性国劇が人気を得たのは短期間だったが、国楽界に与えた影響は少なくなく、伝統的パンソリにはなかった演劇形式を確立し、より効果的な音楽と音響のため、楽器の改良も積極的に行われた。
▼曹永淑と弟子による、「椿花打令(동백꽃 타령)」を聴く。幸せの不安と期待を包む赤い花、椿花節・・・椿娘・・・イ・ミジャ・・・ソン・ソヒ、あれれ。
・重要無形文化財第79号「パルタル(발탈)」の芸能保有者でもある。パルタルとは、演者の足の平に小さなお面をつけ、天幕の外にそのお面のついた足だけを出して歌に合わせて演技をする、ちょっとコミックな変わった演劇だが、現在この分野の後継者はほとんどいない。
・曹永淑は、こうした忘れ去られた伝統芸能をただ一人、その音楽を伝えるため力を尽くしている。
▼曹永淑と弟子による、女性国劇「阿房温達(パボオンダル、바보온달)」中から、「温達と平岡王女(ピョンガンコンジュ、평강공주)の山中生活の題目」を聴く。・・・いい話なんだろうな。