昼どき、桜並木の通りに寄る。陽光を受けて桜が真白に映える。もっともっと花に埋もれて見上げたい。花びらを透した薄紅色の明かりに包まれてみたい。子どものころ、貯水池の堤に連なる桜の花の下で遊んだ思い出がよみがえる。
桜の花に記憶が伴うようになった。目の前の桜が当たり前のようでなくなった。今年から、仙人の境地して過ごしたいと思ったが未練が残るようだ。
与謝野晶子の歌に、「清水(きよみず)へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢ふ人みなうつくしき」がある。このときばかり、だれもが善人になれる気がする。
イ・ソンヒ ファンの日々よしなしごとの綴り