無料で映画を見られる、動画サイト「GYAO」はありがたい。どれにするか選択する前に、趣向の合わないものを避けたくて、まずはユーザーレビュー(ネタばれしないもの)をつい参照してしまう。評判よいものに間違いはないと信じている。
そこで選んだのが、韓国映画「新しき世界(신세계)」(2013年)だ。日本タイトルは、わざわざ「新しき世界」と銘打っているが、原題は「新世界」。当然ながら、百貨店の名前ではではない。
ヤクザの内部抗争の兆しを嗅ぎ付けた警察幹部の一部は、ヤクザ世界を一掃しようと、「新世界プロジェクト(신세계 프로젝트)」と名付けた作戦を開始する。ヤクザ組織に潜入した警察官を、駒のように扱い、窮地に追い込むことを厭わない非情な警察上司、一方で、潜入者の正体を知りながらもなぜか許容するヤクザの「兄貴」、華僑人脈などさまざまな人間模様が描かれる。卓上に並べられたトランプカードが、次々とあっけなく裏返しされるように変転する。
韓国映画独特の殺伐とした暴力シーンもないではないが、それを前面に押し出すこともなく、微妙な人のつながりを描く。映画の柱でもある、気のいい「兄貴」と潜入者との間に通じる信頼に興味が引かれる。カードの裏になるのは誰かも分からない、先行きの読めない展開に時間を忘れて見入ってしまう。久し振りに映画を堪能した。
監督・脚本
・パク・フンジョン
出演者
・イ・ジャソン(潜入者:警察官): イ・ジョンジェ
・カン・ヒョンチョル(上司:課長): チェ・ミンシク
・チョン・チョン(兄貴): ファン・ジョンミン