KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(11/9)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、<海>に関連した3曲を紹介した。
始めに、平安道民謡「ペタラギ(배따라기)」と、朝鮮後期の朴趾源(박지원、1737年~1805年)について次のように紹介された。
・朝鮮半島北部の平安道民謡に、「ペタラギ(排打羅其、배따라기)」があって、海辺で船が出る悲しい別れを歌ったものだ。漢字で「船離」、または「離船」とも言った。使臣として中国に向かった実学者、朴趾源も、「ベタラギ」について記録を残している。「ベタラギ」は、妓生が船に乗り、実際に旅立つように演じながら歌うものだ。朴趾源は、これほど悲しい歌はないと言った。海辺の人々にとって、船出は日常の生活のこと、どうであれ行かなねばならない。しばしの別れが、永遠の別れになるかもしれなかった。
▼ 西道地域(黄海道、平安道地方)の雑歌で海の別れの歌「ベタラギ」を聴く。なぜか読経の雰囲気がする。
次に、海浜の女性の労働と慰労、仁川地域の歌「ナナニ打令(나나니타령)」について次のように紹介された。
・男が船出する間、女性は干潟に行き、カニや貝、海藻などを採り、ざるに入れて持ち帰えった。陸の女性が機織りをする様に、海辺の女性は干潟に出た。女性が集まると、夫や家族の話で盛りあがり、ご馳走と酒を飲食して楽しんだりした。誰かが歌い出すと、みな声を合わせる。水汲みの壺にふたをして、それを楽器にして叩きリズムをとった。そんなとき歌ったのが、ソウル近郊の仁川地域の浜辺の歌、「ナナニ打令」だ。仁川は島が多い地域で、ソウルを横切る漢江下流にも近いため、人口密度が高い。それだけ歌も多く伝わっている。
▼ 浜の女性を歌った<風刺的な歌詞と比喩の内容が楽しい歌>「ナナニ打令」を聴く。海洋性の庶民は明るいのだろう。
最後に、江華島の漢江を行来する船「シソンベ(시선배)」と、それにまつわる歌について次のように紹介された。
・仁川に江華島がある。韓国で四番目に大きな島だ。同島に、「シソンベ」という独特な形の船がある。海釣りの船ではなく、漢江を行来する運搬船だ。先が広く、底部は平らなため、浅い川底でもよく進み、渡し場に止まるのも便利だった。シソンベは、江華島からソウル(漢陽)まで、魚や焚き物を、戻りには色々な生活用品を積んだ。江華島は人口が少なく、シソンベに乗る人も限られていた。いつもの仲間で、歌を歌いながら働いた。この歌は、先に音頭を取り、残りの人がそれについて歌う。労働しながら歌うため、歌詞とリズムが整い、洗練する歌と評される。
▼ 運搬船の歌、「シソンベの歌(시선뱃노래)」を聴く。漢江の流れが速いのか、勢いよくて元気だ。今様の風味もする。