KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(7/15)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズとして、朝鮮時代の妓生「黄真伊」(황진이、1506年?~1567年?)に関わる3曲を紹介した。
(本ブログ関連:”黄真伊”、”황진이”)
始めに、開城の地に伝わる「松都三絶(송도삼절)」について次のように紹介された。
・北の黄海道開城は、別名松都と呼び、三つの優れた「松都三絶」がある。① 朴淵瀑布(박연폭포)の滝は、高さ37m、幅は1.5mもあり、金剛山の九龍瀑布(구룡폭포)、雪岳山の大勝瀑布(대승폭포)と共に三大滝といわれる。② 学者徐敬徳(서경덕、1489年~1546年)だ。独学で学問の境地に達し、官職に就かず一生ソンビとして隠遁した。③ 妓生の黄真伊だ。妓生の身分だが、文芸、音楽に才があり、堂々と人生を生きたと伝えられる。松都三絶は、彼女が直接付けたという。
▼ 黄真伊詩による、冬至の夜に人を待ち望みながら歌う時調(시조)「冬至の月(동짓달)」を聴く。まるで詩吟のよう。
截取冬之夜半強 冬至の長い夜を少し切り取って
春風被裡屈幡倉 春風の布団の下にしまっておいて
有燈無月郎來夕 恋しいあの方がいらっしゃる夜に
曲曲鋪舒寸寸長 曲げたものを広げたいものだ
次に、金剛山へ行った黄真伊とソンビの関係について次のように紹介された。
・黄真伊には、親しいソンビも少なくなかった。中には、ソンビの威厳を捨て、大胆に風流を楽しむ者もいたという。金剛山に行きたいという黄真伊に同行したソンビがいた。二人は、使いを連れて輿に乗ることなく、粗末な格好で、食糧を背負って出かけた。一万二千もあるという金剛山の峰を見て回った。食糧が底をつく頃、黄真伊は人々の前で歌を歌い、その後食べ物を注文した。、同行のソンビを、自分の使いと紹介して養ったという。
▼ 黄真伊とソンビが旅立った、「金剛山打令(금강산타령)」を聴く。天下名山、見晴るかす光景が浮かぶよう。歌謡的。
最後に、黄真伊の生い立ちや生き方を語る伝説について次のように紹介された。
・黄真伊は、朝鮮初期の1500年頃の人物だ。ある両斑の妾の子であった、盲人の娘であった、あるいは黄真伊を片思いした青年が亡くなり、自ら妓生になったともいわれる。また、長い時間、修行した「生きた仏」と言われる老僧を訪ね、戒律を破らせたりもした。徐敬徳にも同じように試みたが失敗し、彼の弟子になったという。今に至るまで、彼女の話は尽きないが、どれが真実かはっきりしていない。彼女が残した詩を通じて、推測するだけである。
▼ 互いに思慕する 男女が夢で出会う、コムンゴ他演奏の「相思夢(상사몽)」を聴く。どこからか風が吹いてくる。今様である。
相思相見只憑夢 あなたに会えるのは夢の中だけ
儂訪歡時歡訪儂 おなじ道をたどり、ふたたび会うことができた
願使遙遙他夜夢 願えばいつも夢の中で
一時同作路中逢 いつもあの道で会える