KBS WORLD「国楽の世界へ」は、先週水曜日(3/4)に文化的なキーワードに基づく韓国文化シリーズの第95回として、小正月に関わる「厄除け・打令(액맥이・타령)」、および他2曲についての話を紹介した。
(本ブログ関連:”小正月”、”啓蟄”)
始めに、「小正月(정월대보름)」の行事・風習について次のように紹介された。
・昔、年明けの風習は、元旦のソルナルから15日後まで続いた。この「小正月」は、「正月(정월)」と陰暦正月の「15日間(대보름)」を合わせた表現で、「上元(상원)」とも言い、中国道教の行事「三元」の一つにあたる。韓国の小正月の間、十二支の順に日を巡る風習があった。ネズミの意の「子の日」に豆を炒って食べる。穀物を守る厄払いで、「豆と一緒に炒めよ(쥐알 볶아라 콩알 볶아라)」と言って炒る。「쥐」はネズミ、「쥐알」は小さいもの。「콩」は豆、「볶아라」は炒めよの意。そのことで穀物を守ろうとした。また、牛は農作業に欠かせぬため、「丑の日」に豆を入れた粥を食べさせ休ませた。ヘビの「巳の日」には髪をとかぬ風習があり、家に蛇が入らぬと信じた。
▼ 「厄除け打令」の歌を聴く。四方と中心、守りを固めて安心繁盛・・・農楽隊が家々(家中も)廻ったようだ。
次に、「ネドウィ(내더위=私の暑気)」の風習、「カンガンスルレ(강강술래)」という遊びについて次のように紹介された。
・昔、時期によって災いの種類が違うとされた。厄払い(액맥이)には、正月の厄払い、2月の厄払いなどといった歌があった。また、「小正月」の風習の一つに、暑気払い*があり、小正月の朝、最初に会った人に「わが暑気を買っていけ(내 더위 사가게)」と叫んで、夏の暑さをなすりつける。相手は、構えていて、言われたらすぐに言い返し、倍返しする。小正月と言えば、「カンガンスルレ」という遊びもある。女性が、体をつなぎ円を描きながら歌う遊びだ。
(*)「東国歳時記」(洪錫謨、訳姜在彦、東洋文庫)の「(旧暦)一月」、「上元」の項に「売暑」としてある。
「朝早く起きて、誰か人を見ればだしぬけにその名を呼ぶ。先方が返事をすればすかさず、『わが暑気を買え!』という。これを売暑という。・・・/かんがうるに、(中国宋代の人)范石湖の『売癡獃詞(ばいちがいし)』に、『除夜は更けても人は睡(ねむ)らず、癡獃(おろかもの)を買えと、人に呼びかける』とある。・・・今わが国で、上元に売暑する風俗も、これに似たものである。」
▼ 遊び歌「カンカンスルレ」を聴く。女性が満月に輪となって踊る・・・海洋性のものなのか、始原的な気がする。
最後に、二十四節気の「啓蟄」、イタヤカエデ(고로쇠)の樹液の薬効について次のように紹介された。
・明日(3月5日)は小正月、翌3月6日は節気の一つ「啓蟄」。節気は、一年を24等分して季節を表わしたもの。昼の長さを表す節気に、冬至、夏至、春分、秋分の日がある。また、春を知らせる節気に、立春や啓蟄がある。啓蟄の頃に、新年に入ってはじめて雷が鳴ると言われる。日本の「虫だしの雷」に通じる、冬ごもりした動物が驚き目を覚ます。さらに、植物も潤う季節になりる。韓国にはイタヤカエデの木があり、樹液を飲むと胃腸薬代わりになるとも言われる。春の気運が人の体にも作用すると信じられた。
▼ 春を知らせる「カエルへ(개구리에게)」をピリ演奏で聴く。子どもが喜びそうな全くの今様。愉快。