「マツヨイグサ(待宵草)」は、初夏から晩秋にかけて黄色い花を咲かす。その仲間に白い花弁の「ツキミソウ(月見草)」がある。いずれも名前だけは、しっかり頭にあるものの、実際、いつ何処で見たかはっきりしない・・・けれど、見たような気分だけは確かにある。
この「待宵草」の文字を並べ替えて作られた、竹久夢二作詞、多忠亮作曲の「宵待草」(1917年、大正6年)は、微風に揺れ動く待宵草のイメージの通り、儚(はかな)げである。旋律からして、いかにも大正浪漫の香りする。夢二の周りの女性を写真で見れば、彼の挿絵に似た雰囲気がある。当時、美人にあげられた柳原白蓮のごとく、実はもっと奔放な女性たちだったのかもしれない。単に、夢二がだらしなかっただけかもしれないが。時代は斯様に作られる。
(本ブログ関連:”竹久夢二”)
元は、或る女性との再会を期待した夢二の原詩があってのことだそうだが、歌曲になれば、夢二式美人に似つかわしい、いかにも消え入りそうで華奢な女性が、月明かりのない夜を待ち続けるイメージする。
ちなみに、端唄の「秋の夜」は、丸い月明かりのもとで男を待つ女性が浮かんでくる。端唄という江戸の気風を漂わせ、どこかおおらかで、のんびり構えた世界。(「秋の夜」のYoutube登録者の注記によれば、また違った場面が想起されるが)
(Youtubeに登録のakiraplastic5、ototatchinuru18に感謝)