地元の公園に体育館があって、建物の横に幼児向けの小さな広場がある。一人乗りの揺れる遊具がいくつも置いてある。子どもたちはそれが大好きで歓声が絶えない。順番待ちのためか、砂場にも子どもたちがあふれている。いずれにしろ。遊具や砂場の廻りを母親たちが囲んで見守っている。なんとも幸せな光景だ。
そんな子ども広場を遠目にしながら、自分の子どものころを思い出してみた。幼稚園前のころ、砂場で遊んだことがあった。親に見守られながら遊ぶなんて時代じゃない。だから、目いっぱい遊んだ。そして、原っぱ端で母の呼ぶ声がしたら、砂をはたいて家に帰った。そんな充実した日々を送ったことになる。
砂場遊びの定番は砂山作りだ。できあがった山肌に小さな溝の筋をつけて、どこからか運んできたバケツの水を流すのだ。始めは砂山が水を吸ってしまい変化がない。バケツリレーを繰り返すうち、川筋ができ、次第に山崩れしていく。それが楽しみで、毎日繰り返した。
砂場に動物の糞尿があった記憶がない。当時、そんなことが話題になることもなく、衛生なんて気にもしないで、砂場がバケツで水浸しになり、灰色にびしょびしょになるまで遊んだ。それだけのことをしでかしたのに、服が汚れたという記憶がないのだ。砂場の水遊びは、子どもにとって無敵な遊びだったのかもしれない。母親がどう思っていたのか知るよしもない。